ウィリス動脈輪閉塞症(もやもや病)
脳血管の撮影像がタバコのけむりがもやもやした様子に似ていることから、
もやもや病と呼ばれるようになりました。もやもやとけむりのように細く広がった
血管は、ウィリス動脈輪(どうみゃくりん)と言い、血管の環状交差点(ロータリー)
のようになっていて血流を確保するために迂回路を形成しています。
ウィリス動脈輪閉塞症という正式名称より、もやもや病の呼び名の方が一般的に
なっています。厚生労働省の難病指定であり、小児慢性特定疾病にも指定されて
います。
もやもや病と言うと何かもやもやした精神症状のように思われがちですが、脳の
血管が狭窄・閉塞してしまう病気になります。脳の虚血により(血液不足)、内頸
動脈と言う主要な脳血管が狭く細くなります。主要部の血管が狭くなるとこの状況
を回避するため、多数の細い側副血行路(バイパス)を作り、脳の血流を守ろうと
します。人体は一部の血管が詰まると、迂回できる経路を作る能力が備わって
います(脳血管可塑性)。血流を守るために迂回路を作る作業は脳内をフル稼働させ
るので、脳に炎症を生じさせます。脳の炎症は自律神経のバランスを乱し、
精神状態にも影響を及ぼします(不眠、情緒不安等)。脳は炎症(熱)に最も弱い臓器
なので、炎症は局所冷却法を用いて速やかに除去しなければなりません。
ウィリス動脈輪閉塞症は、脳血管を細くして血流の流れを速くして脳内に血液を
行き渡らせようとする対応ですが、血管は柔軟性を失い細くもろくなっている為、
脳梗塞や頭蓋内出血を起こすリスクを負っています。脳への血流が低下するので
頭痛、嘔吐、言語障害、手足のしびれ、麻痺等が発症します。過呼吸や呼吸困難、
胸痛、息苦しさ等の一過性の脳虚血発作を引き起こすこともあります。
症状を改善するためには脳の虚血の根本要因となる心臓のポンプ作用、肝臓の
充血(胆のうの腫れ)を正常にし、血液の循環・配分・質を整える必要があります。
日本伝承医学では脳に起こる症状をこのように内臓との関連の中で捉え、心臓調整
法で心臓のポンプ作用を高め血液の循環を助け、肝胆叩打法で血液の配分を整え、
胆汁の分泌を促進することで、血液の熱を冷まし赤血球連鎖を除去します。これに
より脳への血液供給を改善し、脳内の血管の停滞と詰まりを回復させていきます。
脳は精神状態とも関わるので自律神経調整法を用い、交感神経の緊張をとり、情緒
(脳波)を安定させていきます。脳内の熱のこもり(脳の炎症)、脳圧の上昇を改善
するために、家庭療法として首筋、ひたい、後頭部、耳の後ろの局所冷却法も実践
します。
※下記参考文献は日本伝承医学の公式ホームページの各項目から入りご覧下さい。
≪参考文献≫ 有本政治:著
「血液の循環・配分・質の乱れはなぜ起きるのか」
「自律神経調整法」
「脳腸相関」
「眠りの質」
「脳梗塞・脳血栓をとらえなおす」
「めまいと脳梗塞の関係について」
「脳疲労」