脳腸相関

 

【腸が第二の脳と言われる理由】

脳の大脳皮質(脳の表面)には約150億の神経細胞があります。腸の神経細胞は
1億とされていています。そして脳と腸は約2000本の神経繊維でつながって
連携して働いています。また神経伝達物質のひとつであるセロトニンは、
90パーセントが小腸の粘膜にあるクロム親和細胞内にあります。約8パーセ
ントは血小板に取り込まれ、脳内(中枢神経系)には約2パーセントしか存在し
ません。こうした理由から脳と腸は密接な関わりがあり、腸は第二の脳と言わ
れるようになりました。

【腸と脳は相似象】

腸管には筋層間神経叢と粘膜下神経叢の二つの神経叢(しんけいそう)がありま
す。そしてこの二つの神経叢は自律神経の副交感神経とつながっていて、脳の
視床下部からの司令を受けています。しかし腸管には独自の神経系(腸管神経系)
も存在するため、脳からの司令をうけなくても働くことができます。つまり腸
管の二つの神経叢は単独でも機能し、さらに脳ともつながっているということ
になります。腸管神経系の構造は、脳のネットワークと相似象(類似機能)と言
えます。

【脳は腸から誕生する】

胎内の受精卵は、まず腸から発生します。そのあとに胃や食道等が消化管とし
て形づくられていきます。そしてその先にできあがるのが脳になります。
つまり脳より腸の方が生命体形成において先だったということです。

「脳が腸にある子ども」という逸話が日本にあります。その子どものIQ(知能
指数)3歳で200を超えていて、1歳からの記憶をもちながら成長しました。
その子どもは腸にも脳があると言われていました。知能が高すぎて、頭部の脳
だけでは機能が請け負えなかったのです。腸が異常に発達し、睡眠時に腸で思考
するようになりました。腸で考え腸に感情が存在していたのです。脳が腸から
誕生した事実がある以上、こうした逸話も事実として存在している事でしょう。

【脳腸相関】

脳の状態が腸に影響を及ぼし、また逆に、腸の状態が脳に影響を及ぼすことを、
「脳腸相関」と言います。脳と腸は自律神経等を介して関連しています。腸の
状態が悪いと、脳へ悪影響を及ぼします。腸内環境が良くないと、良い脳内物
質が生成されず、精神不安や不眠症等の精神障害を発症させます。逆に脳の状
態が良くないと腸へも影響が出ます。極度の不安や緊張時に急におなかが痛く
なって下痢になる症状は、この脳腸相関に起因します。以前は脳が全身の機能
を支配すると考えられていましたが、腸管神経系というネットワークが解明さ
れてから脳と腸は互いにリンクし合い、情報交換し合う相関関係にあることが
明らかになりました。
脳内環境が整えば腸内環境も整う相関関係が脳と腸の間には成立しているのです。