自律神経調整法と後頭擦過法

 自分の意識では調整することのできない自然に働く神経を自律神経
といいます。自律神経には緊張するときに働く交感神経とリラックス
しているときに働く副交感神経があります。この二つの神経が拮抗的
に働き、緊張と弛緩を繰り返し無意識に調整し合っています。
 心労やストレスが続くと交感神経が過度に緊張し、精神状態が不安
定になります。脳波が覚醒状態になるため眠りが浅くなり、常に不安
感、倦怠感、疲労感にみまわれます。また、イライラしたりささいな
ことでも悲しくなったり怒ったりと、感情面のコントロールがうまく
できなくなっていきます。自律神経失調症といわれるこうした症状は、
脳内神経、脳内ホルモンが正常に働くように、脳内の熱をとり去り
身体機能を整えていけば回復することができます。
 

日本伝承医学では如何なる精神疾患でもまず心臓調整法を用い心臓
機能を高め脳の虚血を改善していきます。そして自律神経調整法で
副鼻腔の熱をとり、脳内の神経と脳波を調整していきます。骨髄機能
を働かせ細胞を復元、新生させることができるため脳障害、記憶障害
にも有効です。また後頭擦過法では、交感神経の緊張をとり、脳内に
こもった余計な熱を速やかに除去していきます。後頭骨の骨膜を擦過
することで、頭部に滞電している電気を放電させます。極度の緊張感
や勉強、仕事等で頭を使い過ぎたときに、頭を両手でかきむしり擦過
する行為は無意識に頭部の熱を除去している姿になります。精神的
症状の場合は2週間に1度のペースでの受診が望ましく、治療と共に
家庭でできる家庭療法のアドバイスをしていきます。
 本来私たちの体は身に危険が及ぶと、交感神経を緊張させ、眠ら
ないように自己防御する本能を兼ね備えています。眠りを浅くし、
日中の身体の活動状態にすることで、心臓の拍動を活発にし、心停止
しないように身を守っているのです。つらく悲しいときは沈み込み、
うつ状態になり、うれしいときには喜び舞い上がり、そう状態になる
こうした気もちの推移は病気ではなく人間が本来もっている感情の
変化であり自然現象のひとつといえます。自律神経も感情の変化と
共に、常に緊張と弛緩を繰り返し脳神経が断ち切れないように脳内
のバランスを保ってくれているのです。

 自律神経失調症等の診断名がついてしまうと、大変な病気にかかっ
てしまったように思われますが、精神に現れる症状はすべて、その
人が命を落とさないように、守っている対応の姿になります。疲れた
とき、心労が続いたとき、不安感があるときは、頭部(脳内)に異様
な熱を帯びてきます。睡眠時に氷枕とアイスバッグで後頭部や額、
首すじ等を冷却することにより、この熱は除去することができるので、
日本伝承医学推奨する局所冷却法は毎日実践するようにしてください。
体は、不調な部位だけを一時的に治しても、精神状態が不安定だと、
またすぐにもとにもどってしまいます。心と体は密接に関わってい
ます。疲れたときや不安感があるときはゆっくり静養できる環境と、
そばにいる人の理解と協力が必要になってきます。