多発性骨髄腫の本質と対処法
~多発性骨髄腫、急性白血病、悪性リンパ腫~
血液細胞は骨髄に存在する造血幹細胞から生まれます。免疫力
が低下すると根幹をなす造血機構が破綻し血液の病気としてあ
らわれます。つまり血液疾患には免疫力の低下というあたりま
えであまりにも身近すぎる背景があるのです。
多発性骨髄腫、急性白血病、悪性リンパ腫は三大造血器腫瘍
(血液腫瘍)と称され極めて完治が難しい疾患とされています。
罹患した方や御家族が知りたいことはデーターや分析ではあり
ません。知識を羅列した論文でもありません。自分はどうなる
のか、治るのか、先が見えない不安の中、どう日常生活を営ん
でいくかになります。
先人たちが長い歴史の中で築いてきた家庭療法の数々と治療の
すべを日本伝承医学は継承してきました。皆様方の健康回復の
一助とならんことを願います。
※本章では多発性骨髄腫を考察していきます。
全参考文献:有本政治著
【多発性骨髄腫とは】
多発性骨髄腫は形質細胞が骨髄の中でがん化して異常に増えて
しまう血液の病気になります。形質細胞は体の中に入ってきた
ウィルスや細菌を攻撃して抗体を作る重要な役割を担う細胞で、
免疫の主体となる白血球のリンパ球に属するB細胞が成熟した姿
と言えます。※B細胞が成熟する場所はBone Marrow(骨髄)
B細胞の段階では血液の流れにのって体中を廻っていますが、
形質細胞に進化すると骨髄だけに留まるようになります。この
形質細胞ががん化すると、骨髄が破壊され血液が作れなくなり
ます。
正常な血液が産出されないため赤血球、白血球、血小板が減少
するので、重度の貧血、頭痛やめまい、息切れ、動悸、鼻血、
歯茎からの出血が起きます。骨髄が破壊されて骨がもろくなる
ので少し動いただけでも激しい腰痛や背中の痛みが起きる場合
があります。ささいな転倒でも圧迫骨折しやすくなります(脊椎、
胸腰移行部等)。またこれらの症状が全く出ないで、検査によっ
て診断される場合もあります(無症候性多発性骨髄腫)。
現代医療では抗がん剤、分子標的薬、ステロイド剤等が用いら
れます。造血幹細胞移植が行われる場合もありますが、完治が
極めて難しく再発を繰り返す病状とされています。そのため医
療の現場でも単にがん化した形質細胞だけを消し去るのではなく、
苦痛のない体の状態をできるだけ長く保ち、病状と上手に付き
合っていくことに主体をおいた治療法がとり入れられてきてい
ます。
日本伝承医学では多発性骨髄腫をはじめ急性白血病、悪性リン
パ腫、血小板減少症、再生不良性貧血等の血液の病気の方々が
全国から多く来られます。
それは日本伝承医学が骨髄機能を発現させ、造血力を高めること
ができる治療法だからです。
≪参考文献≫ 「日本伝承医学は現代の遺伝子治療」
「悪性リンパ腫の本質と対処法」
「血小板減少症」
「血球貪食症候群」
【免疫システム】
人体の免疫機能は主に血液中の白血球が担っています。この
システムは自然免疫と獲得免疫の2段階の機構と8種類の免疫細胞
が相互に連携することで、体内に侵入した抗原を効率的に排除
するネットワークを構築しています。つまり生命は最後の最後
まで命を守り抜くようにプログラムされているのです。
多発性骨髄腫をはじめ血液疾患は、免疫力が低下してこの免疫
システム全体が破綻(機能不全)してしまうことで発症します。
※8種類の免疫細胞・・・骨髄の造血細胞から分化し、体内で
異物の排除や免疫システムを担う白血球を構成する以下の主要
な細胞群を指します。
マクロファージ、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、
T細胞(胸腺Thymusで成熟する細胞)、B細胞(形質細胞を含む)
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)
※抗原・・・免疫システムに異物(敵)とみなされて、攻撃の
標的になる物資
【免疫システムは病原体だけではなく
がん細胞を除去する機能を有する】
免疫システムは外部から侵入する病原体だけではなく、体内
で発生したがん細胞をも認識して排除する機能を備えています。
すなわち免疫系は外敵に対する防御機構であると共に、自己の
異常細胞(がん細胞等)に対する排除機構としても働いているの
です。
私たちの体内では、日々5000~7000個余 のがん細胞(異常細胞)
が発生と消滅を繰り返しています。これは生体ががん細胞を生じ
させつつも、免疫機構の働きによって制御していることを示して
います。
このような現象が恒常的に行われている背景には、「発がん」
という事態を回避するために、免疫系が事前演習を常に行なっ
ているという側面が挙げられます。この事実は生体の免疫機構
が正常に機能している限りは、初期のがん細胞は自然に退縮で
きることを示唆します。
逆に免疫力が低下し、免疫機構が正常に機能しなくなると、
がん細胞が活性化し、血液のがんと言われる三大造血器腫瘍を
発症しやすくなります。極度のストレスや睡眠不足、暴飲暴食、
過労、休日をとらない生活を続けると免疫力は著しく低下して
免疫機構が破綻するという認識をもって、今からでも生活習慣
を見直すようにしていきます。
≪参考文献≫「食・息・動・想・眠」~生活習慣について
【形質細胞(抗体産出細胞)のがん化により
不良抗体が増えるとどうなるか】
本来形質細胞は細菌やウィルスに対応するため、様々な種類
の抗体を作ります(抗体とは抗原(外敵)に対して異的に結合し
異物の排除を促進する作用をもつ分子を言います)。しかし形
質細胞ががん化して異常増殖すると、異物を攻撃する能力を持
たない不良抗体が増え続けます。正常な抗体が作られなくなる
ので免疫システムが破綻し、免疫不全や自己免疫疾患が誘発さ
れます。この病態はある意味がん疾患よりも生命に危険をもた
らします。
これまで根本的治療が難しかったこの免疫不全や自己免疫疾
患は、制御性T細胞の発見により改善、完治できる可能性がみえ
てきました。
【制御性T細胞】
免疫細胞の一種である制御性T細胞は、免疫システムの過剰な
暴走を制御する役割を担っています。制御性T細胞は1970年代
から研究され続け、2025年に坂口志文らによってノーベル生理
学・医学賞を受賞しました。
これまでの免疫学の歴史における研究は、いかに敵を攻撃する
かでしたが、制御性T細胞の研究は、攻撃するのではなく、暴
走を食い止め、なだめながら、収束させるという発想から行わ
れました。まさに逆転の発想から生まれた生命の防衛手段と言
えます。
しかし生命力の低下や長期の慢性炎症等でこの反応が機能しな
くなった場合、生命体はさらなる防衛段階へ移行することになり
ます。最終対応はがん化になりますが、身体はあえてがん化さ
せることで貪食細胞(どんしょくさいぼう)を活性化させてその
駆除にあたらせるのです。
体ががん化すると貪食細胞(マクロファージ等)にスイッチが
入ります。貪食細胞には正常細胞と異常細胞を見分ける超高性
能なセンサーが備わっているので、がん化初期の細胞をいち早
く見つけて食べてくれるのです。
体はこのように幾重にも防衛手段を兼ね備えており、最後まで
生き抜くように造られています。がん化は一方的に悪ではなく
正への対応の姿として捉えてみると、隠された本質が見えてき
ます。≪参考文献≫『がんを捉えなおす』
【対処法】
~日本伝承医学では免疫機構全体(脳と腸、骨髄、胸腺、脾臓)
を修復させることでがんを自然消滅に導く~
免疫機構を回復させるためにはまず脳と腸の炎症を除去する
必要があります。脳の中心部の脳幹は基本的生命維持機構に指令
を出す場所であり、ストレスや心労により脳に炎症が起きると、
この機構が正常に働かなくなり著しく免疫力が低下します。
また腸は多くの免疫細胞が集まる体内最大の免疫機関です。
脳と腸は「脳腸相関」で密接に関わっていて脳の炎症は腸にも
波及します。これに対処するには氷枕を用いて就寝時に頭部冷
却を行なうことが必須です。
腸の炎症を除去するためには、日本人の腸に負担がかかる小
麦製品(パン、パスタ等)と乳製品(バター、チーズ、ヨーグルト、
牛肉等)を極力控える必要があります。これらの食品を控える
だけで腸の炎症はかなり軽減できます。
また免疫力を低下させないためには、一日8時間~10時間は
横たわるようにします。週に2~ 3日は夜10時には床につくよ
うに心がけます。
≪参考文献≫ 「一日二食のすすめ」
「横たわることの重要性」
~胸腺の機能を元に戻すためには~
胸腺は免疫細胞の自己と非自己を判別するT細胞を教育する唯
一の場所です。胸腺機能が低下すると敵と味方の識別機能を持
たない不良T細胞を産み出し、多発性骨髄腫を誘発させます。
免疫破綻を修復するためには胸腺の回復は必須となります。
日本伝承医学では、胸腺に関わる心臓を調整する「心臓調整法」
を用います。心臓に熱(炎症)がこもると胸腺機能が低下するので、
家庭療法として胸腺がある胸骨上と心臓を背面からアイスバッグ
で氷冷却します。冷却により心臓の熱が除去され、炎症がおさ
まり、胸腺機能が回復できます。
≪参考文献≫「日本伝承医学家庭療法」~局所冷却法
(注)氷を用いた局所冷却法は受診時に指導していますので、
文章を読んだだけで行なわないようにして下さい。
~脾臓の機能を元に戻すためには~
脾臓(ひぞう)には多発性骨髄腫の要因となるB細胞やT細胞の
リンパ球がぎっしり詰まった白脾髄(はくひずい)という組織が
あります。この白脾髄は免疫の要(かなめ)と言われ、体の免疫
にとって極めて重要な働きを担っています。脾臓に慢性的な炎
症が起こり機能低下すると、形質細胞のがん化を招きやすくな
ります。
日本伝承医学では「脾臓調整法」を用いて低下した脾臓の機能
を高めます。脾臓(左脇腹)の腫れと炎症を鎮めるために家庭
療法の氷冷却法も有効です。
【脾臓と血液疾患の関連性】
骨髄が血液を作る場所であるのに対して、脾臓は血液細胞が
働く場所で、その生涯を終える所になります。そのため血液に
異常が起きると脾臓に最も影響が及びます。
血液疾患によって骨髄がダメージを受けて正常な血液を作れ
なくなると、脾臓は最後の力をふりしぼって血液を作り出そう
とします。これを髄外造血(ずいがいぞうけつ)と言いますが、
この過程は脾臓にものすごく負担がかかります。
この負担により脾臓が機能低下すると強い細菌(莢膜保有菌)に
対しての防御力がなくなり感染症を発症します。最悪の事態と
して敗血症(はいけっしょう)に陥ることもあります。
脾臓は一般的にあまり知られていない臓器ですが、左の肝臓
とも言われ、血液に関わる極めて重要な中枢的役割を担ってい
る臓器になります。脾臓は大気からエネルギーを吸収する場所
でもあり脾臓の弱りは生命力の弱りと直結します。脾臓をとっ
ている方は、血液組織を再生する力が弱いので不摂生をしない
よう日常生活に十分に気をつけて過ごすようにします。
体はこのように全ての臓器が関連し合って生命を営んでいます。
多発性骨髄腫をはじめ血液の病気は、血液だけをみるのではなく、
体全体との関連の中でみていかなければなりません。破綻しは
じめた免疫機構に目を向け、免疫力を上げることが急務です。
免疫力が上がれば自己治癒力が最大限に引き出され、重篤とさ
れる病態でも改善へ向かわせることが可能になります。