一日二食のすすめ
社会生活において1日三食という習慣が定着化していますが、
この食事の摂り方は正しいのでしょうか。残念ながら大きな間
違いです。これは明らかに食べ過ぎになります。
食物の消化活動にかかる時間は約4~5時間となります。肉類
や油物を摂取した場合はその3倍程の時間がかかります。食物
はこれだけ胃腸に負担をかけているということです。また、夕
方から夜間にかけては消化器を空にする時間が16時間必要とさ
れます。この計算で食事の時間と回数を割り出すと、朝の6~
8時に食事をとり、次は昼の12時~2時の間に食事を摂る一日二
食の生活が理想と言えます。夕方から夜にかけては消化器が働
かず、消化能力が低下するため、食事を摂ってしまうと胃腸に
炎症を生む大きな要因となります。飲酒は肝臓(胆のう)に負担
をかけるため当然禁物です。二食にしたら栄養不足で体を弱め
るのではと思われがちですが、逆になります。三食の方がはる
かに寿命を縮めてしまうのです。以下一日二食の重要性を記し
ていきます。
【オートファジー理論】
※詳細は日本伝承医学のHP『オートファジー理論』の項を参照
細胞が正常に働き健康を維持していく為には、常に細胞内が
生まれ変わり新陳代謝されることが不可欠です。そのための仕
組みをオート―ファジー(自食作用)と言います。オートファジ
ーとは細胞内の古くなったたんぱく質を新しく作り変え、細胞
を内側から新しく生まれ変わらせていきます(細胞新生)。この
理論は50年程前から提唱され、東京工大の大隈良典教授が2016
年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。16時間食物をと
らないことにより細胞内のミトコンドリアという小器官がオー
トファジーにより生まれ変わり、細胞活動を活性化し、細胞エ
ネルギーを高め、細胞新生させるという理論になります。
細胞新生力とは生命力のことを指し、生命力がつけば免疫力(
造血力)も高まるので、病気や様々な疾患に対して有効になり
ます。16時間の間は水以外は一切とらないようにするこのオー
トファジーによる効果は以下が実証されています。
① 身体の疲れがとれて、内臓機能(五臓六腑)が高まり免疫
力が上がる
② 胃腸が休まる為、脳腸相関から自律神経が整い不眠が解
消される
③ 血糖値が下がりインスリンの分泌が促進され血管障害が
回復する。脳梗塞、脳いっ血、クモ膜下出血等を未然に
防げる
④ 脂肪が分解され、肥満が改善し心臓機能への負担が軽減
される
⑤ 細胞新生力が高まり、生命力と免疫力が高まる
⑥ パーキンソン、アルツハイマー型認知症等の神経変位疾
患に有効
【心臓疾患・脳血管障害を誘発】
四つ足動物から二足直立という水平型から垂直型になった生
き物が唯一人間になります。しかし上部に頭と心臓が位置する
ことから構造的弱点として脳と心臓に血液不足(虚血)を生じや
すく、心臓疾患、脳血管障害等を誘発させるリスクを負うこと
になりました。これを益々助長させたのが、三食の食生活です。
夕方から夜にかけて食事を摂ることで消化のため胃腸に大量の
血液が必要とされ、脳と心臓に、より一層血液不足をまねいて
しまったのです。脳の虚血は、めまいや頭痛、精神疾患、記憶
障害や認知症のリスクも高めてしまいました。
【脳腸相関から脳と腸に炎症を生起させる】
三食は胃や腸の消化器に慢性的に負担がかかるため、胃腸に
炎症を生じさせます。脳腸相関から脳への炎症も誘発させるた
め、生命維持機構である脳幹部の視床下部から発令される自律
神経のバランスを大きく乱していきます。自律神経は心拍・呼
吸・血圧・脈・代謝・排泄・発汗・循環・消化・睡眠等の生命
維持にとっての中枢であるため、自律神経が正常に働かなくな
ることであらゆる病気を発症させていきます。
【不眠を助長し、慢性化させる】
不眠の原因は自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスの
乱れになります。交感神経を優位に働かせることで、低下した
心臓機能を元に戻そうとします。
交感神経と副交感神経は拮抗的に働くため、もう一方の副交感
神経が抑制を受けます。副交感神経は消化器を活発に働かせる
ため、抑制されることにより消化能力が極端に低下していきま
す。この状態で三食とってしまうと消化器は益々弱り、副交感
神経の抑制が進行し逆に交感神経優位がさらに助長されていく
という悪循環を引き起こします。不眠を改善するには一日二食
が絶対条件となります。
※詳細は日本医学のHP『眠りの質を良くするには二食にする』
の項を参照
【なぜ朝食を抜いたらいけないのか】
一日二食ならば朝食をぬいても良いのではと思われがちです
が、朝食は抜いてはいけません。昨今様々な健康法が氾濫し、
朝食は食べない方が良いと記されたものを目にしますがこれは
誤った健康法になります。朝は一日の始まりで体が最もエネル
ギーを必要とします。食事から必要なエネルギーがとれなくな
ると、脳内が養われなくなり脳に虚血(血液不足)を生じさせま
す。脳の虚血は頭痛、めまいの他、精神状態を大きく左右させ
ることになります。無気力、精神不安、うつ症状、イライラ、
倦怠感等が生じ、その日一日が健康に活動できなくなります。
朝食は6~8時内にとり、夕食を制限する一日二食が有効になり
ます。
【あらゆる病気の直接的要因となる】
三食による食生活は五臓六腑に負担がかかるだけではなく、
全身の血液の循環・配分・質に乱れを生じさせます。血液の質
が低下すると血液がどろどろになり毛細血管が詰まり循環が悪
くなります。血液は循環されないと関節内の滑液(関節液)が停
滞し、股関節痛、腰痛、膝痛、肩痛等の各関節炎をも引き起こ
します。皮膚、筋肉、腱、靭帯も弱らせていきます。一日二食
にして横たわる時間を多くとることで病気は防げるのです。
≪参考文献≫ 有本政治著: 『日本伝承医学家庭療法』
『横たわる時間と睡眠が最重要』
『食・息・動・想・眠』