悪性リンパ腫の本質と対処法
【悪性リンパ腫】
悪性リンパ腫は免疫の中心を担う白血球の中のリンパ球の異
常で起こり、リンパ球ががん化する病気になります。単にリン
パ球だけの問題ではなく免疫機構全体(骨髄・脾臓・腸・胸腺等)
が正常に働かなくなることで発症します。
初期症状としてはリンパ節(首、脇、鼠蹊部等)が腫れてしこ
りができます。38度以上の発熱やひどい寝汗、体重減少、倦怠
感等もみられます。体の深い場所にあるリンパ節が腫れると周
囲の臓器を圧迫するため、胸の痛みや息苦しさ、膨満感、腹痛、
背中の痛みも生じます。
現代医学では薬物療法(抗がん剤)、放射線療法、免疫療法
(CAR-T細胞療法)、造血幹細胞移植等がありますが、悪性リンパ
腫の種類は100種以上に細分化され、リンパ球の中のT細胞、
B細胞、NK細胞等の種類によっても性質が異なるので治療法も
多様になります。
日本伝承医学では全ての疾患を正反の二面性から捉えています。
180度視点を変えることで、その本質が見えてくるのです。
血液のがんと言われる悪性リンパ腫も「正の対応」として捉え
ていきます。
【免疫システム】
免疫は病気から体を守る防衛システムで、免疫の主体は血液
の中の白血球が担っています。この白血球を主体とする免疫シス
テムには生まれつき備わっている自然免疫と一度侵入してきた
細菌やウイルスの情報を記憶する獲得免疫があります。これら
は外敵の侵入に応じて、何段階、何種類もの防衛システムを駆
使して病原菌、細菌やウイルスを除去し体を守ります。この免
疫システムに破綻が生じることで悪性リンパ腫は発症します。
【自己免疫疾患】
リンパ球の機能不全による疾患に自己免疫疾患という難病が
あります。自己免疫疾患は、リンパ球のT細胞の情報誤認が原
因とされます。このT細胞は自己(味方)と非自己(敵)の識別を
担うため、胸腺で厳しく教育されますが胸腺の機能が低下する
と不良免疫細胞であるT細胞が生き残り、自己と非自己の判別
ができなくなり、自己の正常細胞を攻撃する自己免疫疾患を引
き起こしてしまうのです。自己免疫疾患は、がん細胞が増殖し
て組織器官に及ぼす影響よりも、生命にとって、はるかに危険
な状態を招きます。
命を守るために体はT細胞の不良免疫細胞を排除しようとし、
制御性T細胞を働かせます。この制御性T細胞を駆使しても不良
免疫細胞を除去できなくなった場合の次なる対応手段として、
不良免疫細胞を故意的にがん化させます。がん化させることで
貪食細胞であるマクロファージやナチュラルキラー細胞を可動
させ、がん化したリンパ球を追い出そうとします。体はこのよ
うに自在にがん細胞を生み出し、これを除去する機構を有して
いるのです。
私たちの体は約37兆個の細胞からなり、古くなった細胞を新
しくするために毎日7000億個から1兆個の細胞分裂が行なわれ
ます。がん細胞も5000個から7000個発生しては免疫機構を使っ
て除去されています。つまりがん細胞は生まれては消え、生ま
れては消えを毎日繰り返しているのです。免疫機構が正常に働
いていればがん細胞は自然に除去できるのです。
【免疫機構を正常に戻すためには】
免疫機構を守るためには腸の機能を整える必要があります。
腸は多量の免疫細胞が集まる体内最大の免疫器官だからです。
ストレスや心労により脳に炎症が起こると、腸機能は著しく低
下します。腸と脳は「脳腸相関」と言われ密接に関わっている
からです。脳の炎症を除去するためには氷枕を用いて就寝時に
頭部冷却を行なうことが必須です。
免疫力を低下させないためには睡眠時間も大事です。8~10
時間位は横になるようにします。代謝を良くするために週に2日
は夜10時には床に就きます。
食生活では小麦製品(パン、パスタ等)や乳製品(バター、チーズ、
ヨーグルト等)は控えます。日本人はこれらの製品の消化吸収
能力が低いため腸に負担がかかるからです。
【日本伝承医学の治療】
免疫機構の主体である白血球は骨髄で作られます。日本伝承
医学は骨髄機能を発現させ、骨髄機能を高めることで正常なリ
ンパ球を産み出します。血液疾患である急性白血病、血小板減
少症、再生不良性貧血等にも著効を示します。治療は血液の再
生周期に合わせた2週間に1度の受診が有効です。受診時には血
液検査表のコピーを持参して頂いています。
【胸腺の機能低下を戻すためには】
胸部に熱がこもると胸腺(胸骨の裏側)は機能低下します。
またストレスや心労が続くと脳の虚血を補うために心臓に負担
がかかります(心臓熱の発生)。
体は心臓のポンプ力低下を補うために胸部を突出させ胸骨を
固着し、胸腺機能を低下させます。胸腺はリンパ球のT細胞と
いう免疫の要(かなめ)を育てる唯一の場所なので、胸腺機能が
低下すると免疫力が著しく低下します。
日本伝承医学では心臓調整法によって胸腺機能を回復します。
また家庭療法としての局所冷却法で胸部と心臓の熱のこもり
(心臓熱)を除去します。
全ての病気は炎症から始まります。それは炎症が体や弱った
臓器を回復させるための復元のためのプロセスだからです。
炎症が起きるとサイトカインが放出され弱った体を修復するた
めにマクロファージ等を引き寄せるのです。
【脾臓は重要な免疫器官】
脾臓には免疫細胞であるB細胞やT細胞のリンパ球がぎっし
りつまった白脾髄(はくひずい)という組織があります。白脾髄
は免疫の要(かなめ)と言われ体の免疫にとって極めて重要な働
きを担っています。この脾臓に慢性的な炎症が続き機能低下す
ると、がん化したリンパ球を産出するリスクを高めます。
日本伝承医学では「膵臓脾臓調整法」を用いて低下した脾臓
機能を高めていきます。脾臓(左脇腹)の腫れと炎症を鎮めるた
めに局所冷却法も行ないます。
悪性リンパ腫はリンパ球だけにアプローチするのではなく、
低下した免疫機構全体に目を向け、免疫力を高め、体に備わる
自然治癒力を発揮させることで改善に導いていきます。
≪参考文献≫ 『がんを捉えなおす』 著:有本政治