≪ 眼と脳と全身の密接な関係 ≫  2023.2.19. 有本政治

眼病を眼だけで処置すると脳血管障害を起こしやすくなる       
      

 病名に関わらず眼病の診断において、失明の恐れがあるという様な事を医者
から言われると、誰しも恐怖心がわき何とかなるものなら何でもしたいという
心境になるものです。また治療する事で視力の低下が改善できるものと期待を
もちます。当然の様に眼科の治療を受け、外科的な処置や薬物療法をする事に
なります。

しかし白内障・緑内障・黄斑変性・黄斑前膜・視野狭窄・視力低下・飛蚊症
等の眼病を目だけで処置してしまうと、脳溢血、クモ膜下出血、脳梗塞等の
脳血管障害を起こすリスクが高くなります。そしてこの事を認識している人は
皆無といえます。私は当院に来ている患者に対しては、徹底してその事の危険
性を説き、病院での処置を中止するか日本伝承医学の治療と併用していくよう
に説得しています。眼病は眼だけを治療するのではなく、全身との関連という
両面からのアプローチが必要だからです。眼と脳との密接な関係を考慮しての
治療が必要になるからです。眼と脳は連結しており表裏一体の関係にあります。
それでは何故眼病を目だけで処置してはならないかを以下に解説していきます。

『眼は脳ミソが球状に外部に飛び出したような存在である』
 眼というものを象徴的に表現するならば、「脳ミソが、マヨネーズの容器から
球状に絞り出された様な存在」になります。つまり眼と脳と密接につながって
いるという比喩表現になります。眼と脳は直接的につながっていて、眼圧が
高くなるのは脳内の脳圧が上昇して、その圧力が眼内に影響して、眼内の圧力
が高くなるからです。この眼圧の上昇が持続的に続く事で、白内障や視野狭窄
等の各種の眼病を発症させていきます。
 脳圧の上昇が眼球を前方に押し付ける事で、眼内の圧は上昇します。
マヨネーズの容器内の圧が高まり、球状に絞り出されたマヨネーズが拡大膨張
する現象と同じようなもので、これにより内部の圧力が高まるのです。故に、
眼圧の上昇を除去するためには、眼だけの治療をしていてはとり除くことは
できません。眼と脳の密接な関係を考慮していかなければならないのです。

『一切の眼病の原因は脳全体の血液不足(虚血)と眼自体の虚血が根源にある』
 眼病に限らず全ての病気の原因は、組織器官に命の源となる血液が十分に供
給されず虚血になる事が挙げられます。これが持続的に続く事で、組織器官の
生理機能に失調が生じ、機能低下が起こり次第に病気に移行してくのです。
 眼に置き換えれば、まず脳全体に虚血が生じ、脳の一部である眼にも虚血が
生じていくのです。これにより眼の機能が低下し、症状の強く出たものに病名
が付されるのです。ただし眼だけに虚血が生じ、症状が出たのではありません。
その前提に脳全体の虚血がまずあり、それが眼に虚血をもたらしているのです。
故に眼だけを対象にして回復を図ろうとしてもそれは達成されないのです。
では何故脳と眼に虚血が生起されるのでしょうか。

『脳や眼は人体内で一番虚血が生起しやすい場所となる』
 脳や眼という場所は全身の組織器官の中で、一番血液の消費量が多い場所に
なります。常に新鮮な血液が大量に供給されないと機能を維持できません。
故に全身の血液の循環・配分・質(赤血球の連鎖と変形により毛細血管に詰まり
と停滞が起きる)の乱れで血液不足が起きやすくなるのです。
 また脳や眼は立位において唯一心臓より上にある臓器です。立位において
心臓より上にあるという事は、重力に抗して血液をもち上げなくてはならない
事になり、心臓の強いポンプ力が必要になります。故に遺伝的に心臓機能の弱い
タイプの人は、元々虚血が起きやすい場所にあたります。脳の血液不足は頭痛
の最大要因でもあり、これが進行する事でめまいに移行していきます。

『脳と眼の虚血は、全身の血液の循環・配分・質の乱れが原因である』
 血液は人体の全ての生理機能の死活を担う最重要物質になります。血液の不
足する場所は必ず機能低下を生じ、症状や病気を引き起こします。
全身の血液の循環を担うのは心臓になります。心臓のポンプ力が落ちれば、当
然血液を全身に送り出す能力が低下し、血液不足を起こす場所が発生します。
心臓のポンプ力の低下は一番先に脳に虚血を生起させます。
 人体の血液の量は、その人の体重の約12分の1位で、体重が60キロの人の
血液量は約5リットル位です。この血液が全身の組織器官に必要に応じて配分
されます。しかしある特定の場所に大量の血液がとられてしまうと、全身の
血液の配分が乱れ、血液が不足する場所が生起されます。この血液不足が一番
起きやすい場所が脳になります。
 次に血液の質(赤血球の連鎖と変形による毛細血管の停滞と詰まり)に乱れ
が生じると、全身の毛細血管の中の血液の流れが遅くなったり、詰まったりして
きます。これにより全身の毛細血管の流れが遅くなり、血液不足を起こす場所
が現われます。この影響を一番受けるのも脳になります。このような理由により
脳や眼に虚血が生じるのです。では全身の血液の循環・配分・質の乱れは何に
よってもたらされるのでしょうか。

『全身の血液の循環・配分・質の乱れに関与するのは肝臓と胆嚢と心臓』
 心臓は、心臓のポンプ力が低下すれば必然的に血液の循環は悪くなります。
故に遺伝的に心肺機能(心臓と肺の機能)の弱い人は、全身への血液の循環供給
に支障が生じやすく、脳の虚血を起こしやすくなります。
 全身の血液の配分に大きく関わるのは肝臓になります。肝臓は”レバー”と
呼ばれ、血の固まった様な中身の詰まった大きな臓器になります。肝臓という
臓器は、精神的なストレスの影響を最も受けやすく、肝臓機能が低下すると、
機能を元に戻すために、肝臓に大量の血液を集め、熱を発生させる事で機能回復
を図ろうとします。その時中身の詰まった大きな臓器である肝臓に大量の血液
がとられる事で、全身の血液の配分が大きく乱されてしまうのです。これが脳
に虚血を招くことになります。
 全身の血液の質(赤血球の連鎖と変形)に関与するのが胆嚢(たんのう)
なります。胆嚢から分泌される胆汁(たんじゅう)は、極めて苦い物質で、1日に
600mlから1000ml位分泌されます。胆汁の働きは、脂肪分の分解吸収を助ける
だけでなく、この苦い成分によって、体内の炎症を鎮め、血液や体液の熱の
上昇を抑え、一定の温度に保つ作用があます。この胆汁の分泌が低下する事で、
血液が熱を帯び、熱変性によって、赤血球の連鎖(ドロドロでベタベタの状態)
と変形が生起されるのです。これが全身の毛細血管の停滞と詰まりを生じさせ、
血液の循環を遅くさせます。このように肝心要(かんじんかなめ)と言われる
内臓の肝臓(胆嚢)と心臓の機能低下が全身の血液の循環・配分・質を乱す最大
要因となるのです。

『眼と肝臓の関係』
 東洋医学(漢方医学)では、「肝は眼に開竅(かいきょう)する」と表現され、
肝臓(胆嚢を含む)の状態は眼に最も反映されると教えています。眼病一切の
根源は肝臓の機能低下が原因としているのです。故に眼の治療は眼だけでなく、
肝臓の機能低下と合わせて調整する事を教えています(東洋医学の教えは、
何千年にも亘る先人達の叡智による実証医学になります)。
 東洋医学の肝臓と眼(脳を含む)の関係は、前項の肝心機能の低下が、全身
の血液の循環・配分・質に乱れを生じさせ、脳や眼に虚血を生起する機序と
つながっていたのです。眼に生じる症状は、眼と脳、眼と肝臓、脳と全身の
血液の循環・配分・質の乱れとの関連の中でみていく必要があるのです。

『眼圧が上昇する理由』
 冒頭で眼圧の上昇と脳圧との関係を述べましたが、眼病の原因の一つである
眼圧の上昇が何故起きるのかその理由を知る必要があります。
眼圧の上昇は眼だけの問題ではなく、脳との関連の中から発生しています。
の理由は二つ考えられます。一つは、脳内の圧力(脳圧)の上昇が生じた
場合、脳圧の上昇による脳溢血やクモ膜下出血、脳梗塞等を回避する対応として、
の圧力を眼の方に抜く対応が生じるのです。これにより眼球が前方に押し
出され、眼圧が高まるのです。
 もう一つの理由は、脳内の虚血(血液不足)が眼にも波及し、眼の組織全体
に血液不足が起きるのです。この場合、少ない血液を速く眼の隅々まで供給
するために、眼内の圧力を高める事で血液の循環を促進する対応が起きるのです。
これが眼圧の上昇をもたらすのです。
以上の理由から、眼圧の上昇は起きています。眼圧の上昇は、脳圧の上昇を防
ぎ脳内の血管が切れるのを防ぐために発生にしています。また、眼の組織に
充分な血液を供給する必要な対応として、発生しているのです。

『眼だけを処置して、眼圧を抜いてしまうと脳血管障害のリスクを高める』
 眼圧の上昇は脳圧の上昇を抜くだけではなく、脳内の熱のこもりの”抜け口”
としても作用しています。この必要な対応を無視して眼だけを処置してしまう
と、脳圧の上昇をさらに高め、脳内の熱のこもりをさらに助長させてしまう事
になります。
 脳内の熱のこもりは、脳の中心部にある基本的生命維持機構に指令を出す「脳
幹」の機能を低下させ、生命力や免疫力を著しく低下させます。これは重篤な
病気(がん、心臓病、脳血管障害等)への移行を招く大きな要因ともなります。
また前述の様に、脳圧の上昇は、脳溢血、クモ膜下出血、脳梗塞等の脳血管障
害を引き起こす最大要因ともなるのです。私のこうした忠告に反して、眼だけ
の処置を行ない、脳血管障害等を発症した事例は多くあります。だからこそ、
眼と脳、眼と肝臓、脳と全身との関連を知る意義は大きいのです。

『眼の充血を目薬等の薬で抑える事も脳血管障害のリスクを高める』 
 生きている体の起こす反応には全て意味があります。眼(白目)が充血したり、
疲れ目、目のかゆみ、瞼の腫れ等にも、全て意味があるのです。これらは眼の
機能を回復させるためには、眼に血液を集め(充血)、熱を発生させる事で
機能の回復を図ろうとする対応になります。この意味を理解しないで、見た目
の理由や眼の違和感や疲れをとるために、目薬等を使用してしまうと、体は
さらなる対応を迫られる事になります。薬はやめれば症状が再発するために、
目薬は常用する事になります。この状態が持続すれば、眼自体に血液不足が
常に起きる様になります。体はこれを回避するために眼圧をさらに上げて、
少ない血液を循環させたり、眼の血管を収縮させて、血液を速く流す対応を
余儀なくされます。この状態が続くと眼だけに留まらず、さらに脳内の圧力や
脳内の熱のこもりを助長させる結果につながっていきます。これが脳血管障害等
のリスクを高めていくことになるのです。

『眼疾患の本質は、光や色の刺激を軽減し、脳への刺激を抑える対応』
 日本伝承医学の理論の特徴は、全ての病気を”負”の対応ではなく、”正”
の対応の視点で捉え直して、病の本質を解明し、その根拠と機序を明らかに
している所にあります。生物として生まれて、生きとし生けるものは、自らの
体を悪くなる方向に導いたり、ましてや早く死ぬ方向に進めていく事はありま
せん。
 眼に症状が出たということは、命を守る対応に迫られたと考えるべきなのです。
つまりこれ以上脳への刺激が過剰になると、脳溢血やクモ膜下出血、脳梗塞の
命への危険が迫ると生命体が判断し、故意に視力を落とし、視野を狭め、光や
色の刺激を軽減させたのです。これ以上脳に刺激を入れないように刺激を抑え、
脳圧の上昇と熱のこもりを防ぎ、脳血管障害を回避しようとしたのです。 
 命あるもののやる事はこのように人智を超えた対応を示します。
そこまでやるかという驚嘆に値する対応をみせます。命を守るためには視力すら
も奪ってしまうのです。その対応の一環が、視力の低下、視野を狭窄、水晶体
を曇らせて光と色を遮断させることなのです。自身にとってはどれも辛い症状
ではありますが、以上の理由が存在する事を認識し、自分に起きている症状を
受け止め、共存していく姿勢が大事です。

『どう対処すべきかーーー手術や薬の使用が処置の手段ではない』
 眼の症状の根源的な要因の根拠と機序を明らかにしてきました。全ての眼の
疾患は眼だけの問題ではなく、脳との関連、肝臓との関連、脳と全身の血液の
循環・配分・質の乱れとの関連が明らかになりました。
 眼だけの処置を行なうと、脳血管障害のリスクを高めるになります。
まずとり組まなくてはならない命題は、全ての眼疾患の最大要因となっている
眼と脳の虚血(血液不足)と眼圧と脳圧の上昇を除去するという事です。
そのためには、全身の血液の循環・配分・質の乱れを回復させる事が不可欠に
なります。全身の血液の循環・配分・質に関与するのが肝臓、胆嚢と心臓に
なります。また肝臓と眼の関係からも肝臓の機能を上げる事が必要です。
肝心要に当たる、肝心機能を基に戻す事が、眼と脳の虚血と眼圧、脳圧の上昇
を除去するための絶対必要条件になります。さらに言えば、もっと根源的な
自身の生命力や免疫力の低下を改善する事も必要です。


『上記の全てを網羅できる日本伝承医学の治療法』
 日本伝承医学の治療法は、世界で唯一骨髄機能を発現できる技法になります。
骨髄機能が発現する事で、細胞新生と造血が活発になり、低下した生命力や免
疫力を短期間で回復に向かわせます。また内臓的には肝臓(胆嚢を含む)と心
臓の機能を高める事を目的に技術が構築されています。
眼自体の機能を回復させるためには、涙が充分に出せる状態に眼の電気力を
回復させる事です。眼は心臓に次ぐ電気の発生場所になります。全ての眼疾患
の根源には眼の起電力の低下が挙げられます。これを回復させる方法を日本の
古代人は開発しています(目の操法)。目の操法は眼に電気を発生させ、涙の分泌
を促すことを目的に技術が構築されています。眼の機能を回復させるためには、
眼の起電力を回復させ、涙成分の分泌促進が不可欠だからです。
 眼病を患っている人は、微妙な眼球の動きを失っています。動きを失うと、
目に電気が発生しないため、機能低下していきます。この機能を改善するために、
目の操法では、施術者は親指を受者の眼の遠近に動かし、受者が瞳を閉じたく
なるのをしっかり開眼させて涙が出るまで操作していきます。涙を出させること
で脳圧を抜くことができるのです。また、眼圧調整法を用いて、脳内の圧力を
調整していきます。日本伝承医学ではこのように、眼病に対しては全体と部分
との二面からアプローチしていきます。日本伝承医学の治療を併用していくこと
で、眼だけを処置してしまったことによる副作用も軽減していくことができます。
 さらに家庭療法として推進している氷を使用した頭と肝臓の冷却法が、脳内の
熱のこもりと脳圧の除去に効果を発揮します。また肝臓と胆嚢の腫れと熱を
除去し機能を回復させます。このような合理的で統合的なとり組みにより、
眼科の処置をしなくても眼の疾患に対処していく事ができます。眼病、目の症状
は連日、週一回の治療のペースで行なっていきます。症状に改善が見られ間隔
をあけていきます。

≪参考文献≫:『シリーズ病気をとらえなおす』~
             文責者:有本政治
              発行:有限会社日本伝承医学研究所
             発行日:2004414


脳・心臓の血栓症について

脳梗塞・脳血栓をとらえなおす

めまいと脳梗塞の関係について

脳循環障害と心臓との関連

脳・心疾患の正しい対処法

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もの忘れや認知症

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目の操法