錦織圭選手復活への提言 2023.6.25. 有本政治

 プロテニスプレイヤーの錦織選手が18カ月ぶりにツアーに
参戦しました。日本人としては嬉しい限りです。しかし今後傷害
を回避するには総合的な身体のとらえ方に基づいた対策が不可欠
になります。私は25才~55才迄、バレーボール、バスケット
ボール、サッカー等のトッププレイヤー達のスポーツトレーナー
を努めてきました。その経験と身体の探求から導き出された解答
が以下になります。
 運動選手が体調を崩したり怪我や傷害を発生するのは、ある
法則から逸脱した時になります。それはその人の遺伝的体質と
生活習慣の乱れからくる生命力と免疫力の低下を背景において、
病状の直接的要因となる全身の血液の「循環・配分・質(赤血
球の連鎖と変形)」の乱れが存在した時です。これはすべての
病気や症状にあてはまります。
 運動選手の傷害の筋肉・関節・腱・じん帯等の疾患は、運動系
(筋、骨格等)の弱りだけで発生するのではなく起きるべくして
起きています。その証拠に如何にトレーニングで筋力、柔軟性、
持久力、スピード等を徹底的に鍛えても、傷害を防ぐことは
できません。
 スポーツ傷害を発生するもうひとつの重要な要因として、
縦長な構造体の人体の体幹部に起きる「ねじれのゆがみ」が
挙げられます。体幹部に発生したねじれのゆがみは上肢と下肢
に波及し、各関節にねじれの応力が集中します。その個所に
故障は生起されます。故に体幹部に生じたねじれの応力が除去
されない限り、繰り返し故障は起きてしまうのです。上体の
右ねじれは心臓との関連で起こり、左ねじれは肝臓胆のうの
機能低下から発生します(詳細は人体バナナ理論・積木理論参照)

 錦織選手はこれまで最先端のトレーニングや食事療法等を、
専門家の元でとり組んできましたが結果として故障を防止でき
ていません。観点を変え内臓を含めた全体的、総合的な対処が
必要になります。その為には低下している生命力・免疫力を高め、
全身の血液の「循環・配分・質」の乱れを元に戻し、体のねじれ
のゆがみを修復することが不可欠になります。
 生活習慣においてできることはまず、横たわる時間を徹底的
に多くとることです。四つ足の動物と異なり縦長な構造体に
なった人間は、構造的弱点として頭と心臓に血液が戻りにくく
なったため、脳と心臓に血液不足が生じるようになりました。
脳の虚血(血液不足)は脳に炎症()と脳圧の上昇をもたらし、
この持続が人体のすべてに中枢の指令を出す「脳幹」の機能を
狂わせ症状を発生させていきます。心臓の血液不足による心機能
低下は全身の血液の循環に影響を及ぼし、筋肉の弱体化を起こす
要因となります。

 こうした状況を防ぐ為には、身体(各臓器)を重力から解放させ、
体を横たえる時間を長くすることが不可欠となります。体を縦
にする(立位)時間が長くなると脳と心臓だけではなく、血液の
貯蔵場所で、血液の配分に最も関わる肝臓にも負担がかかり
血液が還らなくなります(立位時4、座位時6、横たわる時10
比率で肝臓には血液が集まります)。肝臓機能の低下は内包して
いる胆のう機能にも支障をきたします。
 血液の質に関わる臓器は胆のうと脾臓になります。体の中で
抗炎症作用を担う苦い胆汁の分泌不足は、血液に熱を発生させ、
赤血球の連鎖(血液がドロドロでべたべたの状態)、変形の大元
になります。脾臓は人体の免疫機構の中のリンパ球の貯蔵庫で、
古い赤血球を分解することで血液の質の低下を防止する役割が
あります。このように脳、心、肝、胆、脾臓が全身の血液の
循環・配分・質の乱れに大きく関与しています。
 錦織選手は遺伝的に心肺機能が弱い体質をもち、既に全身の
血液の循環・配分・質のすべてに支障がきています。特に赤血球
の連鎖と変形が全身の毛細血管の流れを悪くし、毛細血管の流れ
の停滞した筋肉、関節に故障が頻発しています。体を鍛えて故障
を防止、回復させることには限界がきています。今後故障を回避
し復活を果たすには徹底的な生活改善と体のねじれのゆがみの
修復が必要になります。
 まず一日2食にして、就寝5時間前迄には消化を終えることです。
そのためには78時の朝食と午後12時の昼食の2食にします。
就寝時間は夜7時に体を横たえ、朝6時迄横たわります。縦の
重力から解放する時間を徹底的に増やすためです。そして、
肝臓胆のうと脾臓の機能を元に戻すために内臓の氷冷却法を
毎日実践します。アイシングは筋肉・関節の炎症を除去する
だけでなく、内臓の炎症をとる最善の手段となります。また脳幹
の熱のこもりをとるために、就寝時に後頭部冷却と両首冷却を
毎日行ないます(詳細は家庭療法としての局所冷却法参照)
 こうした生活習慣に改め、家庭療法としての局所冷却法をとり
入れるだけで人は低下した生命力・免疫力を元に戻し、全身の
血液の循環・配分・質の乱れを改善することができます。これ
は運動選手だけではなく万民に共通する病状の改善方法になり
ます。
≪参考文献≫ 有本政治:著 
   「人体バナナ理論/人体積木理論
   「頭部冷却法と横たわることの重要性
直接的要因となる血液の循環・配分・質の乱れはなぜ起きるのか
   「病気の根本原因には生命力と免疫力の低下が存在する
   「家庭療法としての局所冷却法」 
   「適応症/各種スポーツ傷害