日本伝承医学の心臓疾患の治療
心臓の内部は4つの部屋に分かれています。上部左右にあるの
が心房で下部左右にあるのが心室になります。心房は血液を受
けとる部屋で心室は血液を送り出す部屋になります。
心室細動は心室が無秩序にけいれんし、ぶるぶると不規則に
震える不整脈になります。回数は1分間に300回以上で、この
けいれんが起きると、脳や全身に血液を送る機能が停止して
心停止の状態に陥ります。心室細動は心筋梗塞や心筋症、心不
全、心室頻拍等の心臓疾患の方に発症しやすい傾向があります。
心房細動も無秩序にけいれんを起こす不整脈になりますが、
すぐに重篤な状態に至ることはありません。どちらの不整脈も
心臓の電気系統が混乱することで発症します。
私たちの体の中には常に微弱な電気が流れています。微弱な
電気信号が発生することで心臓は動いています。日本伝承医学
の心臓調整法では、手技療法により骨に圧を加え電気を発生さ
せ、低下した電気レベル、混乱した心臓の電気系統を正常に復
していきます。全細胞の母体である骨髄幹細胞にスイッチを入
れ造血力と細胞新生力を高めていきます。
【不整脈は調整脈】
日本伝承医学では不整脈を「調整脈」と称しています。脈は
速くしたり遅くしたり、間隔を飛ばしたり、強弱をつけたりし
て血液の循環を確保するために調整しています。走ったり興奮
してドキドキすると脈が速くなり(頻脈)、落ち着くとゆっくり
脈打つように、体は内外の環境の変化に応じて、心臓のポンプ
の拍動や、脈拍を自動調整しているのです。不整脈についての
詳細はホームページから下記「不整脈の本質」の項を御覧下さ
い。
≪参考文献≫ 有本政治:「不整脈の本質」
【不整脈とストレスの関係】
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、心臓のリ
ズムをコントロールしているのは、交感神経になります。緊張
や興奮すると脈が速くなるのは、交感神経が心臓の拍動を速め、
血液を大量に送り出すためです。
自律神経はストレスの影響を受けやすく、ストレスを受け続
けると交感神経が常に緊張状態になり、心臓のリズムに乱れが
生じます。交感神経の緊張は免疫力を大幅に低下させる事にな
ります。日本伝承医学では自律神経調整法を用い、交感神経の
緊張をとり去り、脈を正常に復し不整脈を改善していきます
【期外収縮】
不整脈の中でも、正常な拍動の間に時々不規則な拍動が現わ
れる、脈がとぶ現象を期外収縮(きがいしゅうしゅく)と言いま
す。期外収縮は健康な成人の約98.7%の人に見つかると言われ
る不正脈になります。そしてほとんどの人が検査をしなければ
自分に期外収縮が起きていることに気が付きません。
期外収縮は自律神経のバランスが乱れた時に起きやすくなり
ます。自律神経は脳幹の視床下部から発令されますが、ストレ
スや心労で脳内に熱がこもると(脳の炎症・脳内温度の上昇)、
視床下部に炎症が起き機能低下し、自律神経が乱れていきます。
日本伝承医学が推奨する脳内温度を下げる為の氷枕とアイス
バッグによる頭部冷却法(ひたい・後頭部・首筋等)が理にかな
った家庭療法と言える所以はここにあります。頭部冷却法の詳
細は下記項目の局所冷却法を参照下さい。
【脳圧と眼圧の関係】
人間には眠っている時に脳圧が高くなり、目が覚めると脳圧
が下がるというリズムがあります。眠っている間に脳は血液を
集め、脳圧を高め、疲弊した脳を修復し機能回復をはかります。
脳圧が高くなると脳は熱をもちます。朝起きたときに枕が温
かく感じるのは、就寝時に脳圧が高くなり脳内に熱がこもって
しまうためです。就寝時に氷枕で後頭部を冷却すると、脳内の
炎症(熱のこもり)がしずまり、脳圧が正常になります。
目は脳の一部と言われ角膜(黒目)から入った情報は視神経を
通し脳に伝達されます。眼球は、脳みそがマヨネーズの容器か
ら絞り出されたような存在の為、脳圧が上昇すると眼球を前方
に押し出す為、眼圧も上がる仕組みになります。
【頭部冷却法がなぜ良いのか】
脳圧が上がると脳に炎症が生じ、自律神経のバランスが乱れ
ます。自律神経は心拍・脈・呼吸・代謝等を司る神経になりま
す。心拍や脈の乱れは自律神経と大きな関わりがあるのです。
日本伝承医学が推奨する頭部冷却法(後頭部、首筋、ひたい等)
は、脳内の炎症、熱のこもりを除去し自律神経を整える家庭療
法となります。
【ストレスと心臓の関係】
ストレスや心労、過労、生活習慣の乱れ等で肝臓に負担がかか
ると胆のうに負荷がかかり胆汁(たんじゅう)が正常に分泌でき
なくなります。胆汁には血液の熱(血熱)を冷まし血液の質を良
くする働きがあるので、胆汁が分泌されなくなると、血液がど
ろどろでべたべたになり(血液の質の低下)、脳への血流が滞っ
てしまいます。体は何とかこの危険を回避し、脳への血流を確
保しようとするため、心臓のポンプ力を高め、心臓機能に負担
をかけていきます。このようにストレスと心臓機能とは関連し
合っています。
【日本伝承医学】
日本伝承医学では、体に現われる症状を単にその部位だけで
みていくのではなく内臓、脳、血液の循環・配分・質等の体全
体との関連の中で捉えていきます。全体調整法で、身体のねじ
れのゆがみをとり、肝臓心臓等内臓機能を高め、症状に合わせ
て個別操法を用います。治療は血液組織の再生修復周期と合わ
せて2週間に1度の受診となっています。
当院では治療と併用して自身で行なえる家庭療法の指導を行な
います。家庭療法としての生活習慣を身につけるために通院し
て頂いています。日本伝承医学は受診しながら、体の事を学び、
家庭療法としての自助努力を身につけていく場となります。
家庭療法としては「食・息・動・想・眠」と「頭部と肝臓の
局所冷却法」を実践します。不調になる方は通常の水の摂取が
充分に足りていない場合が多々あります。水を飲むことは生命
を養う上での基本となるので、一日1.5リットル位を目安に習慣
として飲むようにします。
日本伝承医学では、体に起こる症状は悪いことではなく、命
を守るための正への対応として捉えています。身体に生じるね
じれのゆがみをとり、低下した内臓機能を高め血液の循環・配
分・質を整え、免疫力と生命力を高めていく治療の学技詳細は
ホームページの下記文献を参照下さい。
≪参考文献≫有本政治著:
「日本伝承医学とは~日本伝承医学の生命観と疾病観」
「日本伝承医学の家庭療法」(局所冷却法)
「不整脈の本質」
「肝臓を捉えなおす」
「食・息・動・想・眠」