日本伝承医学の膝の治療
 

日本伝承医学の膝の治療は、膝患部だけをみていくのでは
なく、体全体との関連の中で症状を捉えていきます。
  膝に起こる痛みは身体全体の姿勢と深く関わっています。
身体に起こるねじれのゆがみが、膝の痛み、膝関節変形の根本
要因となります。体幹部に生じたねじれのゆがみは、下半身の
関節である膝関節にひずみをもたらします。
膝という関節は下肢の中間に位置しているので、ねじれの集約
を最も受けやすい個所だからです。

 ねじれのゆがみは単に骨格だけの問題でおきるのではありま
せん。心臓、肝臓(胆のう)等内臓との関連の中でみていく必要
があります。右膝に負荷がかかる場合は(痛みや違和感)、右の
脇腹に位置する胆のうを絞り込み胆のうの収縮を助け、胆汁
(たんじゅう)の分泌を維持しようとする対応から生じます。
左膝の場合は、心臓の拍動収縮を助けるために、心臓を絞り
込む体勢をとることから起こります。両膝に症状が出ている
場合はこの両方が根本要因として挙げられます。つまり膝の
症状を治すためには、心臓や肝臓(胆のう)機能を改善していく
必要があります。日本伝承医学は肝心要(かんじんかなめ)
医学と言われ、心臓と肝臓、胆のう機能を高めることに技術の
主体を置いています。
 膝は強い負荷を支えるために、人体の関節の中でここだけが
膝蓋骨(膝のお皿)という骨が組み込まれています。筋肉の支え
を効率よく働かせるために、動滑車の役目を、このお皿の部分
に与えているのです。膝関節にねじれが生じると、この動滑車
の役目を果たしているお皿の動きが制限されて、膝関節と周囲
の筋肉に大きな負荷を与えます。この状態が続くと、膝に熱が
発生し炎症を起こし、痛みが発症します。
 痛みがある個所は内部に炎症が起きているので、アイスバッグ
で患部を冷却することが大事です。また痛みの信号は脳の中枢部
から送られてくるため、夜間就寝時に後頭部を氷枕で頭部を
冷やすことで、脳内の熱が除去され痛みが緩和されていきます。
家庭療法としてアイスバッグと氷枕の局所冷却を必須科目として
いる理由はここにあります。

 日本伝承医学では、三指半(さんしはん)操法で、体幹部の
ねじれのゆがみを除去し、心臓調整法を用い低下した心臓の
ポンプ作用を高め、血液の質を良くするために、肝胆の叩打法
を用います。ねじれのゆがみをとり去り、血液の循環・配分・
質を整えることで症状を改善していきます。膝に症状がみられる
場合は12週間に1度の受診が目安となります。御家庭では
家庭療法としての局所冷却法を実践していきます。

≪参考文献≫有本政治著:『病気を捉え直す』~膝痛を捉え直す
             続膝疾患~変形性膝関節症を捉え直す
      膝の痛みと違和感~ヒアルロン注射が良くない理由
        中山選手の膝痛はなぜ良くならなかったのか 
                 膝疾患の冷却について