膝に痛みや腫れが発生した場合、ほとんどの人がどこか
で打ったのかしら、捻ったのかしら、と直接的な要因を
まず探しますが、外傷性による膝痛は、対応が比較的楽と
いえます。しかし、膝の痛みと腫れは、外傷がなくても
発生してきます。実は外傷性でない膝の痛みは、たいへん
難しい問題をはらんでいる場合が多いのです。このような
外傷性以外の膝痛に関して解説してみます。
 日本人は正座を習慣とする民族であり、生活が洋風にな
ったとはいえ、まだまだ正座をする場面は多く存在し、膝
に痛みがあるとたいへん不便を感じます。日本人が正座を
生活習慣の中に取り入れたのは意味があることで、正座の
姿勢が一番背骨の健康を守り、病気予防につながり、ひい
ては心の姿勢もくずさないことと関わっているのです。
近年生活の洋風化に伴い正座をする時間は短くなってきま
した。正座をしなくなったがために、身体の歪みが発生し
やすくなってしまいました。正座をするから膝が悪くなる
のではなく正座をしなくなったから逆に膝がもろくなって
しまったのです。この証拠に戦前と比較すると、膝の変形
や痛みの発生は明らかに増加してきました。

次のページへ

膝痛をとらえ直す
              日本伝承医学の膝の治療