子宮肉腫と子宮がん
 
 子宮肉腫と子宮がんはどちらも悪性腫瘍になります。子宮に
発生するがんの一種になりますが、発生する組織や性質に違い
があります。
 子宮がんは子宮の表面や内側を覆っている上皮(粘膜等の組織)
から発生するのに対して、子宮肉腫は上皮の下にある筋肉、
血管、結合組織(繊維や脂肪等)の間葉系組織から発生します。
 私たちの体を造るもとになる組織は、大きく分けて上皮系組
(じょうひけいそしき)と間葉系組織(かんようけいそしき)
に分類されます。上皮系組織は表面や粘膜を覆う組織で、間葉
系組織は体を支えたり、すき間を埋めたりする組織になります。
 間葉系組織に発生する肉腫の方は、体の深部にあるため診断
が難しく、発見が遅れてしまう場合があります。細胞診や組織
診を行なっても、良性腫瘍(子宮筋腫等)との見分けが極めて
難しく、切除後の病理検査(組織の精密検査)で初めて判明する
こともあります。
 肉腫の細胞は筋肉や血管、神経のすき間に浸みこむように広
がっていく性質があるため、見えない部分まで根を張っている
状態になりやすく、血液の流れによって遠隔転移を起こしやす
くなります。また進行がはやく予後が厳しい病状と言えます。
 子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがあります。どちらも
細胞診(組織検査)で比較的発見しやすいがんです。子宮頸がん
は子宮の入り口(頸部)にでき、大部分はヒトパピローマウィル
(HPV)の感染が関わっています。

 子宮体がんは子宮の奥(体部)の子宮内膜から発生してエスト
ロゲンの関与等が指摘されています。子宮の悪性腫瘍の大半は
この子宮頸がんと子宮体がんになります。

≪がんと肉腫のちがい≫
 がんは上皮性悪性腫瘍で、肉腫は間葉系悪性腫瘍になります。
私たちの体はたった一つの受精卵が細胞分裂を繰り返して成長
しますが、その初期段階(胚の時期)で、体を造る3つの胚葉に
分かれます。外胚葉と内胚葉と中胚葉です。

 外胚葉・・皮膚の表面や神経、感覚器等になる層
 内胚葉・・消化器や呼吸器等の内臓の粘膜になる層
 中胚葉・・筋肉、骨、血管、結合組織、子宮の筋肉や内膜の
      間質等になる層

 がんの発生のメカニズムは外胚葉と内胚葉等が中心となりま
す。体の表面や消化管、子宮の内側の粘膜(上皮細胞)を覆う
細胞から発生します。これに対して肉腫は中胚葉が中心で、筋
肉、骨、血管、脂肪等の間葉系組織(中胚葉由来)から発生しま
す。
 どの細胞の系統から始まったかで診断や治療が異なります。

≪治療法のちがい≫
 子宮がんは手術療法を基本として、放射線治療や抗がん剤治
(化学療法)を組み合わせて行ないます。子宮肉腫は手術によ
る病巣の完全切除が行なわれますが、肉腫は一般的な抗がん剤
が効きにくく、ホルモン療法や特定の分子標的薬、専用の化学
療法等が必要になります。

≪どちらも炎症反応CRPが高くなる≫
 どちらも血液検査で炎症反応(CRP)の数値が高くなります。
がん細胞が炎症を引き起こす物質(サイトカイン等)を作り出す
ためCRPが上がります。画像検査等で腫瘤(しこり)や異常な影
が見つかり、炎症反応が出ている場合、細胞診や組織診が行な
われることがあります。

≪血液検査表の見方≫
 がんや肉腫の場合、どれかひとつの数値で判断するのではな
く炎症反応の他、白血球数、赤血球数、血小板数等の数値も総
合的に見ていきます。

 白血球数(WBC)・・・一部の腫瘍やストレス反応が出ている時
          に高くなります。
 赤血球数(RBC)・・・がんが進行すると栄養状態の悪化、骨髄
          への影響等で貧血になり、数値が低下し
          ていきます。
 血小板数(Plt)・・・血小板は血液を固める成分ですが、腫瘍
          の影響や骨髄の状態によって数が減った
          り、逆に増えたりします。
 アルブミン(Alb)・・血液中のたんぱく質の一種です。栄養状
          態や肝臓の機能を示しますが、がんがあ
          ると数値が低下しやすいため、全身状態
          の指標として重要視されます。

 腫瘍マーカー・・・・CEA, CA19-9,AFP,SCC,PSA
               がん細胞が作り出す物質やがんに対する
          体の反応として産出される物質になります。

 私たちの体内では毎日微小ながん細胞や異常細胞が発生して
います。それをNK細胞等の免疫細胞がパトロールして退治して
います。ところが過労やストレス、睡眠不足等で免疫力が低下
してしまうと免疫細胞の力が弱まり、がん細胞が増殖しやすい
環境になります。
 横になる時間をできるだけ多くとり、体を休ませることが大
事です。体を休ませなければ、がん細胞も休眠しないで活動し
始めるのです。眠れなくても横になり身体を重力から解放させ
てあげるだけで、臓器も細胞も休むことができるのです。


≪参考文献≫ 『がんを捉えなおす』 著:有本政治
       「日本伝承医学の子宮がんの治療
       「子宮頸部異形成
       「日本伝承医学の婦人科の治療」