心臓の弱りや心臓疾患の人の家庭療法 2016.9.12 有本政治

*以下の家庭療法はこの文章を読んだだけで行なわないで下さい。家庭療法を
 学びたい方は当院にて、家庭療法、ひとり操法の講習会を開いていますので
 受講するようにして下さい(詳細は「日本伝承医学受講案内」の項を御覧下さい)。


心臓疾患の中の不整脈、狭心症、心筋梗塞をとり上げてその根拠と機序を解説し
てきました。また前項では日本伝承医学の治療が心臓疾患に有効な理由を解説し
ました(詳細は、ホームページ院長の日記の項を参照)。日本伝承医学がいかに真
の医学でも、病気治しは、他力本願で達成できるものではありません。自身の強い
意志と、自己努力なくしては治るものではない事は明白です。生活習慣の改善を含
めた個人の日々の努力も必要です。以下、家庭で行なう各種補助法を教授致します。
これらは長い実践を通して立証してきたことであり、効果の高いものです(小冊子『日
本伝承医学一人操法』内に一部を掲載)。

以下に緊急救命法と、家庭療法を明記していきます。正しい救命法や家庭療法は、
日本伝承医学講習会にて教授しています。以下の文面だけを読んで、見よう見まね
で行なうことがないようにしてください。同じ病名でも症状は人によって様々になりま
す。対処法も症状によって異なる場合がありますので、日本伝承医学の各種講習会
を受講の上、原理を踏まえて使用してください。


<動悸、息切れ、胸苦しい、心臓の締め付け等の心臓発作時の緊急救命法>

軽度の場合は楽な姿勢で安静に横たわる事で自然に回復します。また以下に紹介
する家庭療法を実行する事も有効な方法です。発作がおさまらない場合は、以下の
処置を行ないます。
氷を入れたアイスバッグを2つ用意し、一番楽な体勢で横たわります。一つを”額”
にもう一つを”左首”に当て、安静を保ち、らくな体勢で、息を吐き出すことに集中し、
発作の終息を待ちます。家庭で行なう方法としては最善の方法であり、緊急救命法と
しての効果は高いものがあります。時間は最低でも30分間は横たわります。


<氷を使った冷却法ーーー心臓の弱り、心臓疾患、心臓に熱がこもりやすい人>

❶後頭部冷却法ーーー頭部全体と心臓に指令を出す延髄部の熱をとる。
❷額冷却法ーーーーー脳幹全体の熱のこもりと脳圧の上昇を除去する。
❸左首の冷却法ーーー心臓発作を鎮めるための救急場所となる。心臓の熱のこも
              りをとる。心肺機能を高める。
❹左肩甲間部(左肩甲骨と脊柱との間ーー心臓の裏側)の冷却ーー心臓の熱のこ
              もりをとり、コリ感や胸の詰まりを和らげる。
❺胸の痛む場所を直接冷却するーーー胸の締め付け、痛みと発作を和らげる。


<一人で行なう心臓調整法ーーーウナジムナサキ法>

操作時の体勢は立位、座位、仰臥位のいずれでも良い。左手の手掌部を後頭部
(ウナジーーー延髄部)に当て、右手の手掌部と手指部を左の前胸部3番肋骨(男性
の乳頭付近が4、5番肋骨に当たり、それより指2本分くらい上部)の胸骨寄りの
肋軟骨上に当てる。ウナジに置いた左手で首を前方に倒しながら、後頭部の付け
根から肩先まで富士山型に広がる僧帽筋を引き伸ばすと同時に、左前胸部に当て
た右手掌部と手指で肋骨の3、4、5番と順次に段階的に押圧を加える。左手で僧
帽筋を引き伸ばし、頸椎を反転させながら、右手で3番、4番、5番肋骨と手をズラし
ながら三段階に骨に圧をかける操作を三回位繰り返す。肋骨にかける圧は、弓状
の肋骨が少したわむ位にする。
寝たきりの方や首の引き伸ばし、胸の押圧ができない方は、手を当てて気持ちの良
いウナジとムナサキをバイパスするようにじっと手を当てて置きます。これだけでも充
分電気的バイパスがつながり、効力を得られます。発作時の緊急救命法としても使
用し、日常的にも1日に何回でも行なうようにする。


<胸骨への手指先を使用した叩打法>

胸骨とは全胸部の中心で心臓部の真上に位置する巾3センチ位で薄い縦長な板状
の骨です。この骨に軽い叩打を加えます。要領は医師が胸や背を打診するやり方
と同様に、身勝手の良い方の示指と中指の指先を鍵形にそろえ、胸骨上をトント
ントンと軽く良い音を出しながら叩打します。症状によっては、自分のげんこつの打ち
やすい面で強く早く叩打する場合もあります。胸苦しい、息苦しい、動悸、狭心症等の
救急法として使用します。この叩打法は症状によって異なります。見よう見まねで行
なうことがないように、正しい対処法は講習会に出席し体験して取得するようにして
ください。


<集約拳操法ーーー心臓に血液を集めるために、左手関節と指の形を作る方法>

古代人が開発した手指と手関節で心臓の形を作り、心臓に血液を集める操法です。
所謂手で”印を組む”形に相当します。
心臓は本人の’握り拳’大の大きさと言われています。心臓をとり出して正面から
見てみると、心臓本体から4本の動静脈が出ています。これと同じ形を自分の
手指と握り拳を使ってそっくりに作ります。

まず左手を開いて 手掌面を自分の方に向けます。示指と中指を第一関節を伸ば
した状態で折り曲げ 、折り曲げた2本の指を親指で押さえ込みます。この状態で
右手で左手の小指を持ち、押さえ込んでいる親指の上から小指で押さえます。
その上に残っている薬指を重ねます。つまり5本の指を上記の順番で折り重ねた拳
を作ります。正にそれを正面から見ると心臓の相似形ができ上がります。拳で心臓
を作るのです。

この形を崩さないように親指を押さえている小指と薬指を締めたまま、上肢を伸
ばした形で水平に肩まで上げ、拳を下向きにして形が崩れないように手首を下方
に屈曲する形を作ります。この屈曲した拳を心臓ポンプに見立て、締めている手
指と手首を ポンピングして心臓に血液を送り込む操作を10秒位繰り返します。
最後は屈曲したままで、拳に微振動を10秒位かける操作を入れて終了します。
水平にした上肢を内外旋させて角度を変えながら行なう事も応用として使用します。
(詳細な図と写真は小冊子『日本伝承医学一人操法』を参照)。

この心臓の形をとる方法を”集約拳”と呼んでいます。これは心臓に血液を上げる
作用と同時に頸椎と胸椎の境い目(ここは構造上、頭部を支える土台になる場所
であり、細い首の骨と肋骨という大きなカゴ状の骨との境目であり、構造的なゆが
みが集約する人体構造上の要所)のゆがみを修正する技法になります。首を左右に
倒し、痛みや筋肉の引きつりの有無を確認しておき、バランスがとれるのを目安とし
ます。上記の方法で集約拳技法を行なうと首や肩の凝りや痛み、上肢のしびれをと
り、首の動きを改善できます。

この集約拳操法は臨床応用が広く、心臓疾患、むち打ち症、上肢のしびれや痛み、
疼痛の除去にも使用します。この場合は術者が集約拳に微振動をかける方法をとり
ます。この他にも日本伝承医学ではこのように手や足に印を組む要領である形をつ
くり、各臓器(胃、腸)に血液を集めたり、血液を上げたり下げたりする技法として臨床
に応用しています。その代表がこの心臓の相似形を利用した心臓調整法です。心臓
に血液が集まり心臓の機能を高めます。これは世界に例を見ない驚嘆に値する技
法と言えます。


<頭頂叩打法ーーー脳幹と延髄への刺激と、延髄のある頭頸部(後頭部と頸椎の
 境い目)のねじれのゆがみをとる>

これは日本伝承医学の技法の中の「頭頂叩打法」を一人で行なう方法です。立位ま
たは座位で脊柱を真っ直ぐに伸ばした姿勢をとります。自身の両手を合わせた合
掌の形を作り、その手を15センチ位開き、親指を伸ばしたまま根元から内側に
回旋させ、示指と水平で平行になる位置で形を作ります。このままの両手の形で
バンザイをし、肘を曲げて、先ほど形作った示指と親指側を下向きにして、この部
を使って、両手を落下させる要領で交互に頭頂部を叩打します。
両手の間隔は12センチ位開き、頭頂部を介して垂直に心地よいヒビキが脳内に
入るように気持ちよく叩きます。10回位を1セットとして、首の回旋の動きが楽にな
るのを目安とします。

後頭骨と第一頸椎間のねじれのゆがみが修正されることで、延髄の働きを高め、
心臓への指令を回復させます。また頭への血流を改善し、脳幹全体の機能を促進
します。さらに脳と体幹部の血液循環をコントロールしている僧帽筋(後頭部から
肩先に至る富士山型の筋肉)の緊張をとり、交感神経のバランスを整えます。


<下半身から心臓へ還る血液を促進し、心臓の虚血(血液不足)を改善する>

患者は仰臥位をとります。右足だけを45度位開き、下肢を伸ばした状態で心臓より
高くなる位置に足が置けるように、クッションや枕、椅子や踏み台、、壁や柱等高さ
を保持できるものを見つけて利用する。体の力を抜き、この状態をしばらく保持する
(30秒以上)。この姿勢は心臓に血液が還りやすくなる体勢であり、心臓に血液が
十分に還れば心臓の虚血が解消され、発作は鎮まります。


<心臓に血液を還すためのふくらはぎの筋肉と足関節の動きを連動させた
 爪先立ち運動>

足は第二の心臓と呼ばれ、心臓まで血液を還すポンプの役割を担っています。そ
の代表となるのがふくらはぎの筋肉とそれに連動した足関節の動きです。これを
強化する方法です。
立位をとります。足幅を骨盤幅位にとり、足先を逆ハの字に開きます。その体勢で、
爪先立ち運動を行ないます。体に一本中心軸をイメージ(天井から紐で吊り下げら
れてる感じ)して、目一杯踵を床から離し、そのまま踵を気持ちよく落下させます。
この手足を連動させて、ストンと落とす動作を10回を1セットにして10セットを目標
にします。回数や強度は自身の健康状態で臨機応変に対応してください。これに
連動して、両手を胸の前で合掌し、その形のまま両肩をもち上げて、かかとの落下
に合わせて、合掌した両手をストンと気もちよく脱力落下させます。

上記の方法の別法として、一回ずつ落下させず、爪先立ち状態で10秒保持する方
法もあります。フラフラせず安定して爪先立ち姿勢がとれるようにします。ふらつく
ときは、何かにつかまって安全に行なえるようにします。10秒を1セットにしてこれも
10セットを目標にします。
踵を一回ずつ落とす方法と保持する方法を交互に行なうのも良い方法です。自分に
合った方法を選択して下さい。上級法として爪先をもち上げて、臀筋と肛門を締め
て下肢後面全体の筋肉を鍛える方法もあります。

<ウナジムナサキ法、集約拳操法、頭頂叩打法、爪先立ち運動を
  立位で連続して一緒にセットで行なう法>

①爪先立ち法の中のかかとのもち上げと合掌手上方にもち上げて同時に落下させ
 る操法を10回行なう。
②爪先立ち保持法を10秒行なう。
③頭頂叩打法を10回行なう。→左右の首回旋の差がなくなるのを目安とする。
④集約拳操法を行なう。→首の左右倒しのバランスが整うのを目安とする。
⑤ウナジムナサキ法を行なう。
上記の連続法を1セットとして、10セットを目標にします。1回、何回も行なってもよい。

<腕立ふせを行なう>

心臓のポンプ機能を高めるためには、二の腕の筋肉を高めることも大事です。
上肢の関節である手関節、肘関節、肩関節と上肢の筋肉すべては、下肢(足は第
二の心臓)と同様に心臓まで、血液を還すポンプの役割を担っています。このポン
プ機構を強化するには、上肢の三つの関節に圧がかかることでポンプ力が向上し
ます。そのためには毎日腕立ふせを行なうことです。

床に手をついての腕立ふせが苦しくてできない場合は、自分にとってちょうど良い
高さの台の上に手を置いて、腕立ふせを行ないます。回数は体調をみて、無理が
ないようにしていきます。また、腕立運動ができない方は立位で壁に両手を水平に
伸ばした形で両手を開いて着き、そのままの形を10~30秒保持します。片手を水平
で横に伸ばす形でも可です。


<ストレッチングボードを利用して、ふくらはぎの筋肉のストレッチと足関節の
 底屈、背屈の可動域を拡大する方法>

ストレッチングボードとは、当院で販売しているふくらはぎの筋肉を自重でストレッチ
する傾斜台(角度が0度から45度位まで可変できる構造になっている)の事です。
第二の心臓と言われる足(ふくらはぎ)の筋肉ポンプを十分に作動させるためには、
爪先立ち法の筋肉強化法だけではなく、十分に収縮も伸長もできる柔軟な筋肉を
作る必要があります。そのためのふくらはぎのストレッチと足関節の遊びと可動域
を拡げる両方を達成できる器具を使う方法になります。

ふくらはぎの筋肉を伸ばすストレッチ法は数々ありますが、このストレッチングボード
を使用したふくらはぎの筋肉のストレッチは様々な効果をもたらします。方法は自身
のふくらはぎの柔軟度と足関節の可動範囲に応じて、ストレッチングボードの傾斜角
度を決めます。筋肉に痛みがなく、腰が引けてなくて、気持ちよく筋肉が引き伸ばさ
れるようにセットします。

このままの姿勢を保持するだけでもふくらはぎの筋肉のストレッチと足関節の可動
域は改善しますが、筋肉がまんべんなく伸ばせるのと足関節の関節の固着を緩め、
遊び部分を回復させる目的で、ストレッチングボード上で全身を左右に気持ちよく
回旋させる運動を行ないます。

次に膝を屈曲した体勢で同じように体軸を左右に回旋する運動を行ないます。この
場合は、体勢を前屈して両手で足関節の屈曲する場所(内踝と外踝横のへこんだ
部分=距骨)を、両方の手指の親指と示指で軽くはさみ、足関節の屈曲部分の関節
の遊びの動きが出てくるのを確認しながら、自身の骨盤や臀部を左右に振る要領
で行なうと、足関節の”遊び”(車のハンドルのような遊びの動き)の動きが改善され
本来の足関節の機能を回復させ、足関節の可動域の拡大につながります。

この要領で、上体を前屈した状態で、次に両手を膝頭に置き同じように腰を左右に
振ります。これにより膝の遊び運動が改善されます。さらに同じ要領で、やや腰を曲
げた状態で、両手を股関節に置き股関節の動きを確認しながら左右に気持ちよく
骨盤を回旋させます。これにより股関節の固着が徐々にとれていきます。

以上の運動を行ない、さらに下肢の後面の筋肉の柔軟度を高めるために、ストレッ
チングボード上からの前屈運動を行ないます。ふくらはぎの筋肉だけでなく、下肢
の後面の筋肉(大腿二頭筋)や臀筋も心臓に血液を還すための重要な筋肉ポンプ
を担っています。この部分の筋肉のストレッチも必要です。

これ以外にも、ストレッチボード上での様々な運動が可能ですが、上記に紹介した
ストレッチ法が基本になります。始めはふくらはぎの筋肉が伸びず、立てる角度が
低くても、毎日継続していく事で徐々に柔軟度が向上できます。焦らず継続する事
が大切です。

ふくらはぎの筋肉の柔軟度の向上と足関節の可動域と遊び部分の拡大は、心臓
へ血液を還すの筋肉ポンプ、関節ポンプの役割を向上させるだけでなく、人体に
様々な効用をもたらします。足関節、膝、股関節の遊び部分の復活は、骨盤、脊柱
と連動して、関節の老化を防ぐ最善の方法になります。また体全体のひねり運動の
拡大は、全身の血液の循環、配分を改善し、病気治しに貢献します。

このようにストレッチングボードを使用しての運動は、体に様々な効用をもたらす画
期的な運動になります(ストレッチングボードは当院で購入できます)。
以上が心臓の弱りや心臓疾患の人の家庭療法になります。

尚紹介したこれらの家庭療法は、見様見真似で行なわないで下さい。手の当て方
や持ち上げ方、体の知識を正しく知らないで行なう事は、危険を伴います。日本伝
承医学では、講習会を通して、体に対する知識、救命法、ひとり操法、家庭療法等
を教授しています。日本伝承医学の治療技術を学びたい方、家庭療法士として学
びたい方、ひとり操法を学びたい方はホームページの日本伝承医学講習会の項を
ご覧ください。