心臓ペースメーカーの予後について 2016.10.3 有本政治

これまで心臓疾患(不整脈、狭心症、心筋梗塞等)の本質について、その根拠と
機序を解説してまいりました。そしてその回復の方法として、日本伝承医学の心
臓調整法と家庭療法を解説してあります(詳細はHP、院長の日記の項を参照)。

心臓のポンプ機能の作動と調整は、延髄からの電気信号と、心臓の洞結節(人体
に備わった心臓ペースメーカーの役割を果たす場所)から出る電気エネルギーと
信号によって強弱や心拍数等が制御されています。 この二ヶ所からの電気エネ
ルギーのレベルの低下と情報としての電気信号の乱れが心臓疾患の原因となっ
ています。

日本伝承医学においては、これらを元に戻す方法として、生命の仕組み(物質・エ
ネルギー・情報)に一番関与する骨髄機能を発現させ、全身の血液の循環・配分・
質の乱れを修正し、人体のもつ電気エネルギー発生の全てを網羅する技法を駆
使して対処しています(詳細は心臓調整法の項を参照)。

ただ日本伝承医学の治療法は当院の患者のみに限られ、ほとんどの方が現代
医学の処置法を受けるしかないのが実状です。また処置の予後についてはほと
んど知らされていません。今回は今後の治療法選択の指針となるべく現代医学
の治療法の中の心臓ペースメーカー装着の是非と予後について以下解説してい
きます。また既に心臓ペースメーカーを装着されている方の、予後の注意点も説
明していきます。


<心臓ペースメーカー装着の条件とされている徐脈(心拍数の低下)や脈の強弱、
                       拍出量の増減等は体の必要な対応>

日本伝承医学が首尾一貫して主張している事は、生きている体の示す全ての反
応(症状)には意味があるという考え方です。体の起こす反応は、体がより悪くな
る方向に体を導いたり、ましてや早く死ぬようにするという事はありません。生きと
し生きるものは、その種の保存を全うするために、最後の最後まで生き抜くように
設計プログラムされ、その対応手段を完璧に備えているものです。体の置かれた
状況に応じて今一番必要な対応をとり、最後の最後まで命をつなごうとしているの
です。それは生物としてあたり前に備える防衛手段であります。

故に体の症状を一方的に悪とする捉え方には根本的な間違いがあるのです。
そしてその必要な対応を悪として薬で封じ込めたり、手術で血管を拡張したり、
無理やり機械的に変化させてしまう処置には一考の余地があると考えています。
上記の延長上で心臓の表わす全ての症状を見てみると、体の脈を速くしたり、遅
くしたり、強くしたり弱くしたり、血液の拍出量を調節したりするのは、命を存続させ
るための一時的に必要な対応であり、状況に応じた最善の防衛手段と捉えること
が必要です(詳細はHP院長の日記、心臓疾患の項を参照)。


<心臓の徐脈の意味>

徐脈とは脈拍が1分間に60回以下の場合を指します。これを一方的に異常と見る
ところに問題があるのです。生物が示す反応には全て意味があり、何かの状況が
あって、脈拍を落とす必要があるからこそ自動調節しているのです。つまり徐脈
の究極の目的は、命を存続させることにあります。心拍数を下げなくてはならない
理由があるのです。

その理由とは、心臓の機能低下があるレベルを超えて、これ以上心拍を上げる
事ができない状況になっているのです。つまり命を存続させるには心臓の拍動を
最小限に保ち、できるだけ安静を保ち、省エネで動作をゆっくりとしながら、体全
体の回復と心臓の回復を図ろうとする人体の対応手段なのです。

つまり心臓の拍動を上げる事ができない状況に置かれているのです。言い換え
れば自身の生命力や免疫力が大きく低下状態にあるのです。生命力の低下とは、
生命の仕組みとなる「物質=血液」、「エネルギー=電気」、「情報=磁気」の三態
全てに乱れが起きている事を表わしています。特に人体の電気エネルギーのレベ
ルが低下すると、電気エネルギー(洞結節からの起電力)と電気情報((延髄からの
電気信号)によって動かされている心臓の心拍を上げることができない状態に陥る
のです。

わかりやすく例えれば、通常家電製品は100ボルトの電圧で機能が維持されてい
ます。それが80ボルトに低下すると起動できなくなるのと同じです。白熱電灯に例
えれば、内部のフィラメントを発熱できず、明るさが薄くボンヤリとなるのです。
これと同じ様な状態に人体内が陥っているのです。これが延髄からの電気信号
の伝搬を遅らせ、心臓のペースメーカーの役割を担う洞結節からの電気エネル
ギーと信号を減退させ心拍数を上げる事ができない状況を作り出しているのです。

生命力や免疫力の低下状態とは、生命の仕組みとなる、「エネルギー」としての
電気レベルが下がり、「情報」となる磁気や電気信号の伝搬が途切れ、「物質」
となる血液の循環・配分・質の三態全てに乱れが生じている状態を指します。
人体全体の電気レベルが下がれば、当然洞結節の起電力も低下します。これが
心筋の収縮と心拍を上げる事ができない直接的な要因となっているのです。

以上の様に、心臓が徐脈になる状態とは、心臓だけの問題ではなく、背景に自身
の生命力や免疫力の低下が存在し、心拍数を上げられない状態に体が置かれて
いるのです。故にこれを元に戻すには、体を安静に保ち、動作をゆっくりと行ない、横
たわる時間を多くして食事を少食にし、体全体の回復と心臓の回復を図らなけれ
ばなりません。つまり横たわりなさいという体からのメッセージになります(横たわ
る意味は、HP院長の日記、病気治しの基本ーー動物に学ぶの項を参照)。


<心臓ペースメーカー装着の判定となる徐脈の根拠と機序がわかれば、
              ペースメーカーの予後は明らかになる>

生きている体の示す反応の全てに意味があります。その意味とは、命を存続させ
るための最善の選択です。この様な観点をもたない現代医学の処置は、徐脈を
悪い反応として捉え、これを一方的に変える手段を講じます。つまり局所的な心臓
のみを対象とした心臓ペースメーカーの装着です。

つまり心臓のみの問題という捉え方で、体全体との関連は考慮されないのです。
上記した自身の生命力や免疫力の低下『生命の仕組みの三態ーー物質(血液の循
環・配分・質)、エネルギー(電気レベルの低下)、情報(磁気情報の伝搬)の乱れ』と
いう観点は皆無なのです。

現代医学の対応は、体が命を存続させるために、必要な対応として徐脈にしてい
るという視点はもたず、全体との関連を無視して処置を施します。その方法は心臓
を機械的に動かす電池と電気信号発生装置(心臓ペースメーカー)を体内に埋め
込む事で、その電気刺激によって徐脈に対して心拍数をコントロールして対処して
いるのです。

ペースメーカーの電気エネルギーと電気信号によって、心臓の収縮力は増し、心
拍数を上げるという対象療法を施すのです。これらの機械的な刺激により心臓の
拍動は制御され、全身に血液は送られ、一過的に体を楽にさせる効果を生みます。
以前より体が楽に動かす事ができ、胸苦しさ、息苦しさ、めまい、脳貧血の症状が
軽減されれば、ペースメーカー装着手術をした事を喜びます。素晴らしい機械の
開発で、現代医学の大きな成果とほとんどの人が考えています。しかし人間の体
はロボットでは決してないのです。故障した箇所の部品交換をすれば元に戻ると
いうわけにはいかないのです。しばらくは良い状態が持続しますが、次第に予後
不良を生じさせて行くことになります。


<心臓のみが外部電力により機械的に無理やり動かされる事の副作用が発生する>

徐脈の根拠と機序は解説の通りです。これらは全て体の必要な対応として発生し
ています。その背景にはその人自身の体全体の生命力や免疫力の低下が
存在します。具体的には、全身の血液の循環・配分・質の乱れがあり、心臓を動
かす動力となる電気エネルギーの低下があり、心臓をコントロールするための電
気的な情報の乱れや伝達の停滞が要因としてあります。
つまり生命の仕組みの三態『物質(血液の循環・配分・質)、エネルギー(電気)、情
報(伝達系の停滞)』の全てに減退が見られるのです。

症状の根元に存在するこれらの体全体の機能低下が全く考慮されず、心臓のみ
の問題として処置するという事は、弊害を生むことは必然です。
心臓ペースメーカー内部に装備されたボタン電池で電圧を上げる事で、無理やり
心臓を収縮させ、電気信号の調節装置で機械的に心拍数を上げたりする事は、
自然でない収縮と心拍数を心臓にかけることになります。


<徐脈を無理やり速くすると何が起こるか>

徐脈を無理やり電圧を上げる事で心拍数を増す処置は、当初は血液が体内に早く
供給され、一時的に症状は軽減されます。しかし体が必要な対応として心拍数を
落としているものを、ボタン電池の電圧で無理やり動かす事は、心臓の心筋に大
きな負担をかけることになります。機械的に無理やり動かし続ける事で、時間の
経過と共に心臓に熱を発生させ、心臓に熱が蓄積されていくのです。

生命体は内部に熱がこもる事で様々な病気を引き起こします。故にこの熱をすて
る手段を講じる事になります。この対応の第一手段が発汗になります。頭部や上
半身に汗をかくことで心臓の熱を冷ます対応をとります。また皮膚病が出やすく
なります。皮膚に湿疹や皮膚病を作ることで、皮膚に穴をあけ熱をすてる対応を
とります。肩や背中、首にオデキの様な化膿も起きやすくなります。口内炎、口角
炎、舌に炎症、潰瘍も起きます。これらは全て心臓の熱をすてる対応です。

この様な対応で心臓の熱をすてきれない場合は、心臓をとり巻く肺に水を貯める
事で心臓の熱を冷ます対応に移行します。この機序は膝の炎症をとる対応として
の膝内部の水の貯留と同じです。あるいは火傷をしてこの熱を冷ますために”水
ぶくれ”を作る機序とも同一です。つまりは熱を冷ますための必要な対応になり
ます。故にこの水を抜いても炎症が鎮まらない間は、すぐにまた水が溜まります。

ただ肺に水が溜まると、一時的ではありますが呼吸困難に陥ります。呼吸が楽に
できず、息苦しく、咳も出ます。そのため病院に行くとこの水を抜く処置が施されま
す。水を抜けば肺の症状は一時的に改善され呼吸が回復しますが、心臓の熱は
そのまま残り、すぐにまた水が溜まります。


<肺の水腫の水を抜く処置を繰り返すと肺炎に移行する>

肺に水が溜まる機序は解明されず、一方的に悪い反応として水を抜く処置が繰り
返されると、肺そのものの機能が低下してきます。生きている体はこれを元に戻
す対応として肺に炎症を発生させる事で対応します。つまり肺炎を起こすのです。
肺炎は重篤な疾患であり、死に至る場合が多く見られます。


<どう対処すべきか>

これまで心臓の徐脈の根拠と機序は解明の通りです。根拠と機序がわかれば、ど
う対処すべきかの答えは既に出ています。体を元に戻す必要な対応であるのだか
ら、これを封じ込めたり、機械的に変化を与える処置を選択してはならないのです。
心臓の諸症状の治療に関しては、前項で詳細にその対処法を解説してあります。
日本の古代人の開発した心臓調整法と各種家庭療法により心臓ペースメーカー
の手術を回避する事は十分に可能です(詳細はHP院長の日記、心臓の項を参照)。


<心臓ペースメーカー装着者の注意点>

既に心臓ペースメーカーを装着されている方は、前述の様に心臓に熱がこもる事
で発生する肺の水溜りを如何に防ぐかが命題になります。
そのためにはこれまで解説した肺に水が溜まる機序を十分に理解する事が必要
です。肺の水腫を回避するためには、病の背景にある低下した自身の生命力や
免疫力を高め、全身の血液の循環・配分・質の乱れを整える事が必要です。

上記の二つの条件を満たす事で、心臓の拍動と強弱をコントロールしている延髄
からの電気的の伝搬を修復し、心臓を直接動かす洞結節(人体に備わっている
心臓ペースメーカー)の電気レベルが上がり、自動調節機能を回復させます。
これにより心臓が無理やり動かされる状態に変化を与える事ができます。また家
庭療法として頭と肝臓の氷冷却法を行ない、延髄を含めた脳幹部の内熱を除去し、
脳圧の上昇を抑え、肝臓の充血炎症を抑える事で、全身の血液の配分と質(ドロ
ドロでベタベタな血液)を改善させます。

また心臓の熱のこもりを直接とる方法として心臓の真上と裏側(肩甲骨と胸椎3、
4、5番との間)と左首、額の氷冷却が大きな効果を発揮します。さらに家庭療法と
して指導している心臓強化法(つま先立ち、腕立て法、ウナジムナサキ法、集約
拳法、両肩ストン法、頭頂叩打法等)を実践します。日本伝承医学の治療と合わ
せて上記の方法を毎日実践する事で、肺の水腫を最小限に抑える事が可能に
なります。