古代日本人の心臓観と後世に伝えたい日本伝承医学の心臓調整法
                               2016.9.7 有本政治

不整脈、狭心症、心筋梗塞について、その本質を解説してきました(院長の日記の
項参照)。心臓疾患は死に直結した病気故に患者の不安は大きなものがあります。
この心臓の機能を回復させる方法を日本の古代人は生み出してくれたのです。
後世に的確に伝え残していくために、古代人の心臓観と技術の原理を解明し、その
機序を明らかにしておきたいと思います。


<心臓は延髄の電気信号と直接的には
 心臓内の”洞結節”からの電気で動いている>

私達の体の内臓も脳も筋肉もそのほとんどが超微弱な電気エネルギーで動いてい
ます。その証拠に心臓からの電気信号を心電図として、脳からは脳波として、筋
肉からは筋電図としてとり出しています。

心臓全体の拍動の強弱や心拍数は、脳内の脳幹の一部である延髄からの電気
信号によってコントロールされています。延髄は呼吸の中枢でもあり、生命維持に
直接関与する心臓と肺の調整の大元は延髄が担っています。

心臓を直接動かす電気量は、最大で約100mV(ミリボルト)位、(1ボルトは1000mVで
10分の1ボルト)です。心臓の心筋となる心房筋に電気刺激を出す場所が心臓の
右上に位置する「洞結節(洞房結節)」になります。直径が数ミリ、厚さが1ミリ位の
楕円形上の組織で、いわば心筋を収縮させる電気を出力するボタン電池でありス
パークプラグ(ピストンエンジンのガソリンからの気化ガスに点火する電気火花
の様な存在で、約80ミリボルト位の起電力があります。所謂心臓の拍動を司どるメイ
ンスイッチで、ペースメーカーとなる場所です。

次の電気発生場所が「房室結節」で、ここは予備スイッチに当たる働きを担って
います。心臓の中心部付近に存在します。洞結節から発生した電気刺激を受けて
心室を収縮する働きを担っています。この様に心臓は洞結節と房室結節の二つの
電気発生装置からの電気刺激で心筋を収縮させ、ポンプ機構を動かし血液を全身
に送り出しているのです。

心臓が電気刺激を受けて心臓の筋肉を収縮させるメカニズムは以下になります。
洞結節から発せられた電気刺激が心臓の上の部屋の心房を収縮させ、血液を下の
部屋の心室に流入させます。そして次の予備スイッチでスパークプラグである房室
結節が作動して心室を収縮させ肺と全身に血液を送り出しているのです。

つまり心臓のポンプを動かす心筋は、洞結節から出る電気エネルギーとその発生
リズムによって動いているのです。前述してある様に、その電気量は極めて小さく、
普通の乾電池の出力(1、5ボルト=1500ミリボルト)の15分の1の大きさの約100ミリ
ボルト位で心筋を収縮させる事ができるのです。また乾電池はすぐに寿命がつきて
しまいますが、洞結節の起電力は無くなることがなく一生続きます。まさに人体は
超省エネな電気エネルギーで動いているのです。人体は正に電気仕掛けのロボット
の様な存在です。内臓の全ても脳も筋肉も電気で動いているのです。

心臓のメインスイッチでペースメーカーである洞結節そのものは約80ミリボルトの
起電力があると言われていますが、ここで電気が作られているわけではありません。
ここはコンデンサー(電気を集める役目を果たす物)の様な存在で、電源は他にあ
ります。ここに電気を充電させるためには、元となる電気の発電装置が必要になり
ます。人体電気の大元はどこでどうして生まれているのでしょうか、これを解明する
必要がありそうです。


<洞結節の起電力をはじめ人体の電気エネルギーは、どうして生まれているのか
 ーーーー人体エネルギー造成説>

今から約33年位前に日本伝承医学では、この電気エネルギーの発生源を「人体エ
ネルギー造成説」と題して既に解説してきました。要約すると、今現在世の中で行な
われている発電方法としての、火力、水力、太陽電池、核分裂による原子力発電、
化学反応を利用した発電法、圧を利用した発電法の全ては人体内に備わっていて、
これらを総動員して人体の電気エネルギーは作られているというものです。

これを人体に当てはめ、東洋医学の基礎理論の中の「五行説」を応用展開して説
明しています。五行とは『木、火、土、金、水』を表わし、宇宙も自然も人体もこ
の5要素で構成されていて、この5要素の関連変化によって動いているというも
のです。

これを五臓(肝、心、脾、肺、腎)に配当し、さらに全ての生理機能に配当して全体を
統一させている理論です。これを応用展開して木(肝)は動く事で生まれる発電エネ
ルギーを表わし、火(心)は熱エネルギーを、土(脾)は化学エネルギーや核エネルギー
を、金(肺)は界面としての皮膚の太陽電池エネルギーを、水(腎)は水力エネルギー
に該当させて人体電気を造成しています。

現代の科学文明を支えているのは間違いなく電気エネルギーであり、上記の発電
法によって電気エネルギーを造成し、科学文明の全てを動かしています。人体も正
に自然界の備える各種電気発電法と同様の発電法を体内に備えているのです。
『天人合一』とはこのことを指しています。

奇想天外な発想からの展開の様に思われますが、世の中の全ての機械、器具、装
置は人体機能の延長上にあるものであり、科学的に未だ未解明ながらこの考え方
は真理であるのです。そうでなければ電気仕掛けのロボットとしての、人体の永
久機関の謎は解けないのです(詳細は、拙者著書の中の人体エネルギー造成説
を参照)。

このようにして人体の電気エネルギーは造成されています。このエネルギーによっ
て、人体の全ての組織器官を動かし、延髄からの電気信号としても使用され、また
洞結節(洞房結節)の起電力の源として使われているのです。現在科学的に実証さ
れている電気エネルギーの造成は以下のように解明されています。


<人体内の圧電現象と流動電位が人体電気を発生させ、伝播させ、蓄電する>

圧電現象とは、ある種の結晶体に圧力や振動、張力がかかった時に電気が生じる
現象を『圧電』と言います。人体内においての結晶体は骨がその代表になります。
骨の圧電現象について調べた結果、人間が一歩足を踏み出す度に、下肢やその他
の骨に圧力や振動がかかり、独特の電気エネルギーが発生する事がわかっていま
す。これを計測するために、骨にパチンコ玉を打ち付ける実験においては、一回
毎に数ミリボルトの電気が発生する事が実証されています。

しかし、この圧電現象は骨だけに認められる現象ではなく、筋肉や腱、靭帯また
皮膚や関節が伸びたり曲がったりする時にも微小な電気が発生するのです。
このように生体内で電気エネルギーが作られるメカニズムの一つが、骨や筋肉、
腱、靭帯、関節、皮膚等に圧力や振動、張力が加わる事で『圧電気』が発生し、
電気エネルギーが作られるのです。

そしてもう一つが「流動電位』という方法です。少し専門的になりますが流動電位とは、
電荷を帯びた液体が電荷を帯びた固体の組織の表面を流れる事によって生じる
電気を流動電位と言います。互いに帯電した組織(静)と液体(動)の間の静電気現象
により発生します。具体的には、血管内の血液の流れやリンパ液の流れ、組織内
の体液の流れ、細胞外の細胞外液の流れ、細胞内と外との液体の流入等によって
もたらされます。

わかりやすい現象として、魚や鮫が陸に上げられた時に、呼吸ができない状況で
命をつなぐ対応として、体をブルブル震わせたり、クネクネして、のたうちまわったり、
体を床に打ち付けたりする事で体内の体液を流動させ、流動電位に代えて組織に
流し延命する時に発生する電気です(日本伝承医学における人体を揺すったり、振
ったりする技術は、この原理を用いています)。

生体は以上の二つの発電方法により電気エネルギーを発生させているのです。圧
電気と流動電位によって発生した電気は足し算されて、電気、電子の流れとなっ
て全身の組織器官に伝搬していきます。また骨に蓄電されていくのです。


<上記の 発電法で発生した電気が大元の電気エネルギーになり、心臓や筋肉が
動かされ、さらに動きが生じる事で二次的な電気エネルギーが生まれている>

心臓に限って言えば、人体エネルギー造成説(木、火、土、金、水の性質を使った
発電法)で生まれた電気と圧電気や流動電位で発生した電気が統合されて、心臓
の洞結節に電気を蓄え、洞結節からの電気エネルギーと電気信号によって心房
(心臓の上の部屋)の筋肉が収縮します。さらに房室結節からの電気エネルギーと
電気信号によって心室(心臓の下の部屋)の筋肉が収縮する事で心臓全体の律
動的な動きが作り出されています。

さらにこの心臓の筋肉の力強い律動収縮が二次的な電気の発生を生み出していま
す。こうして死の瞬間まで心臓は動き続け、電気エネルギーが絶える事なく作り出
されているのです。心臓の永久機関としての動きはこのようなメカニズムで継続され
ていると考えられます。


<全ての心臓の機能低下の背景には、人体の電気システムの変調が関わっている。
さらに命の源となる血液の循環・配分・質の乱れも当然関わる>

これまで心臓の動くメカニズムには、電気信号と電気エネルギーが深く関わって
いる事を解説してきました。そこから導き出される事は、全ての心臓疾患には、延髄
からの電気信号の変調と心臓を動かすための電気エネルギーの過不足が深く関
わって発生していると考えられます。つまり「情報」としての電気と「エネルギー」とし
ての電気が深く関わっている事は間違いありません。さらに「物質」としての血液の
循環・配分・質も当然関わっています。

生命体全体の仕組みは、「物質」・「エネルギー」・「情報」の三態で構成されていま
すが、局所としての心臓も、情報としての電気、エネルギーとしての電気、物質とし
ての血液の三態がその機能を支えています。故に心臓の弱りを元に戻すためには、
情報としての電気信号とエネルギーとしての電気の過不足を改善し、物質としての
全身の血液の循環・配分・質の乱れの三態を正す事が必要になります。


<人体中で電気を一番産出するのが心臓であり、生命力の中心に置いていた。そ
して次の電気の産出場所は目になり、生命力を表わす場所とした>

”電気仕掛けのロボット”と称される人体の故障には、電気エネルギーの過不足と
情報としての電気信号が深く関わっています。その中でも心臓は、人体中で最も電
気エネルギーを産出する場所であります。正に心臓はシンボルとして形容される真
っ赤なハートであり、熱い熱エネルギーと電気エネルギーの源なのです。

心臓の次に電気を産出する場所は”眼球”になります。人間力の象徴はエネルギー
溢れる熱いハートと燃えて射抜くような眼力であります。それは電気の発生源と見
事に一致している事実は偶然ではないのです。

心臓の弱りは生命力全体の弱りであり、全ての病気の背景には、直接的な自覚
症状がなくても心臓の弱りが必ず存在するのです。この事実を重要視した古代
人は、全ての病気の根源を心臓に見出し、診断においても心臓の反応点となる胸
椎の3番と5番の陥没状態を一番の目安としてあげています。ここの状態は診断
の判断基準であり、また施術後の確認点としても展開しています。さらに不整脈
の反応点が右足の土踏まずに硬結として表われ、狭心症と心筋梗塞は左足裏に
硬結として表われ、ここも診断と判定に使われます。

また生命力があるかないかの診断の基準は目の力で診断します。顔面の診断にお
いて表情や顔色、顔の艶も重要ですが、一番の判断基準は目に力があるかないか
で決まります。また治療後の判定としても重要です。目に力が甦れば予後は良好
と判断します。正に電気エネルギーの発現場所となる心臓と目は最重要な診断点
であり、治療後の判定場所でもあるのです。


<古代日本人は内臓の中心を心臓に見出し、象徴として形に表した>

古代日本人の捉えた生命観、人体観、疾病観の中心には、人体最大の電気発生
場所であり、生命物質として最重要な血液の供給場所でもある心臓が置かれてい
ます。故に心臓を中心とした診断法、治療法を確立していたのです。心臓とは置き
換えれば”真っ赤な血”であり、赤丸であり、天の太陽でもあり、中心を意味し、調和
を表わします。それを象徴するのが、日本の日章旗の白地に赤丸という形で表われ
ているのです。


<心臓の弱りは延髄からの電気信号の滞り、洞結節や房室結節の起電力の低下、
 交感神経の緊張による筋拘縮が電気を帯電させる事で起こる>

全体としての心臓の心拍数と強弱は、別名”命の座”と言われる脳幹の最下部に位
置する延髄からの電気信号でコントロールされています。人体内で造成される電気
エネルギーに過不足が生じるという事は、全ての生理機能に影響を与えます。例え
れば、家庭用の電気器具のほとんどは100ボルトを基準に作動するようにできてい
ます。電灯を灯すのに100ボルト以下の80ボルトになると薄くボンヤリとしか発光し
ません。逆に100ボルト以上になると白熱球においてはフィラメントが焼き切れ
てしまいます。このように電気エネルギーの過不足は、体においては直ちに生理機
能に影響を与えるのです。

生理機能が落ちた状態とは、白熱球がボンヤリと点灯した状態に例える事ができ
ます。このような状態に置かれた場合、当然延髄からの電気エネルギーや電気信
号は正常の状態を逸脱して伝達処理能力を低下させるのは必然です。これが心臓
の心拍調整や強弱の調整に支障を生じさせる要因となるのです。このような状態の
持続が、心臓の機能を低下させ、不整脈、狭心症、心筋梗塞へと進行していくのです。

これを改善するためには、人体全体の電気エネルギーの過不足と情報伝達を元に
戻し、延髄への血液の循環・配分・質を向上させる事が求められます。そして脳幹
(延髄を含む)の機能を低下させるもう一つの要因となる、脳幹部の熱のこもりと
脳圧の上昇を除去させる処置が必要になります。

次に人体全体の電気力の低下は、心臓収縮の直接的なスイッチとペースメーカー
となる洞結節と房室結節の起電力を低下させる原因となるのです。洞結節は約80
ミリボルトの起電力がある事がわかっていますが、前述した白熱球の例と同様に
洞結節の起電力の低下は心筋の収縮を最大限に引き出す事とリズムの調整力を低
下させる事は必然です。

さらに、全身的な電気レベルの低下と洞結節、房室結節の起電力の低下は、心臓
の機能を調整する自律神経の交感神経を緊張させます。生きている体にとって
心臓の弱りは非常事態です。これを元に戻す対応として交感神経を優位に働かせ
て、心臓の機能を上げるように働きます。

これは人体にとって必要な対応なのですが、交感神経の緊張は全身の筋肉と骨格
を固めるように作用します。特に後頭部から首、上部胸椎、背面の筋肉を固めて
筋肉の伸びを制限します。所謂”凝り”を生じさせるのです。特に首を前屈する動
作に窮屈さが生じ、頭部を前屈して顎が胸骨上部に着かなくなるのです。
この状態は首や肩、背中の痛みや凝り感だけではなく、筋肉や骨格が固着する
事で、電気の流れに抵抗を生じさせ、”帯電”を生み電気の流れを遮断してしまう
のです。これにより益々電気の供給を遅らせ、脳への血液供給を停滞させ、脳内
の熱のこもりと脳圧の上昇を生起します。この持続がさらに延髄の機能の低下を
もたらし、心臓の調整力を低下させるのです。
以上が心臓の弱り、不整脈、狭心症、心筋梗塞を発症させる根拠と機序になりま
す。


<心臓疾病の根拠と機序が明らかになる事で、どうすれば良いかの答えは出る>

これまで詳細に心臓疾患の根拠と機序を解説してきました。心臓の機能を元に戻
すためには、局所的な心臓だけを対象にする治療では回復させる事ができないの
は明白です。特に心臓は他の臓器よりもより大きな電気エネルギーと情報によっ
てコントロールされています。これを回復に向かわせるためには、全身的な発電
力を高め、低下した電気レベルを元に戻す事で、洞結節の起電力を高め、さらに
帯電した電気は”放電”させるか流す必要があります。

上記のような方法は、鍼灸医学の”気”の調整法と同様のやり方です。気(目には
見えないが作用のあるものーーー電気、磁気が代表となる)の不足する所は補い
(補法)、有り余る所は瀉す(瀉法)という方法で人体の「気」のバランスをとる方法
です(補瀉法と呼ぶ)。気の伝達ルートは経絡と呼ばれる目に見えない無線の伝達
系でその線上に経穴(ツボ)が存在します(詳細は拙者著書の経絡の本体を参照)。
ツボに鍼や灸を施す事で補瀉法を行ない、気(電気、磁気等)のバランスを整える
のです。

日本伝承医学では生命の仕組みの三態となる「物質・エネルギー・情報」を全て
骨に見出しています。物質生命として最重要な細胞と血液を、骨髄機能を発現さ
せることで増産させ、人体の骨に電気エネルギーや情報としての磁気の発生を見
出し、その伝達は人体の中心に歴然と存在する骨の骨伝導を使用します。また骨
を使用した充電法と放電法を用いて気(電気、磁気)の調整を行ないます。

全身的な起電力を上げるという事は、生命力そのものを高める事です。さらにいえ
ば免疫力も同時に上げる事が必要です。全ての病気や症状の背景には生命力
と免疫力の低下は必ず存在します。生命力とは置き換えれば細胞の新生力です。
免疫力とは細菌やウイルスに打ち勝つ血液力であり、そのためには常に新鮮な血
液を作り出す事が必要です。つまり免疫力とは造血力に置き換える事ができます。
細胞新生と造血は体内の骨の中の骨髄で行なわれています。故に生命力と免疫力
を一番効率的に合理的に高めるためには骨髄の機能を発現させる事が不可欠と
なります。

以上の方法で全体的な電気エネルギーのレベルを高めることで、全ての生理機能
を上げ、延髄自体の電気レベルも上げる事で延髄からの電気信号を正常に戻す事
が可能です。さらに延髄への血液の循環・配分・質を改善し、脳幹全体の熱のこも
りと脳圧の上昇を除去する事も延髄の機能を元に戻すために必要です。

次に心臓への直接的なスイッチとペースメーカーになる洞結節と房室結節の起電
力を元に戻す直接的な方法も必要です。そのためには洞結節と房室結節に直接的
に圧刺激を送る操作が求められます。現在行なわれている心臓マッサージ法等も
心臓本体の圧だけでなく洞結節や房室結節にも働きかけています。
すでに詳細に体内の圧電気と流動電位による発電法は解説してある通りです。骨
に圧や振動をかける方法と、筋肉、腱、靭帯、皮膚、関節を急速に引伸ばす方法で
す。また体内に流動電位を発生させるには、液体要素でできている体全体をクネク
ネと揺すったり、細かく振ったりする方法です。

また直接的に心臓の洞結節と房室結節に律動的な圧を加えるために、心臓本体の
圧刺激と心臓を囲む様に存在する胸骨、肋骨の3、4、5番、上部椎骨(3、4、5番)
に圧を加え、一気に電気を発生し、発生した電気を心臓や脳、全身に伝達させる
のです。さらに交感神経の緊張で硬結した筋肉と骨格に伸びの反射を起こし、延髄
への反射刺激を生起させ、同時に帯電した電気を放電させたり、一気に流す方法
を用います。


<全てを網羅した日本伝承医学の心臓調整法>

古代日本人が開発した技法を知れば知るほど、古代人の見識の高さに驚嘆させら
れます。心臓の機能を元に戻す手段の全てを一つの技法に集約させているのです。
この様な技法を開発しえたという事は、これまで解説してきた心臓疾患の根拠と
機序の全て把握していたと考えられます。このような心臓調整の技術を開発した
のは古代日本人だけになります。それは骨に対する深い造詣が背景にあるのと、
生命とは何かをはっきりと把握しているからに他なりません(詳細はホームページ
院長の日記、生命の仕組みに準拠した日本伝承医学の項参照)。


<電気の発生に特化した日本伝承医学の心臓調整法の解説>

❶診断法
⑴座位での患者の背部の観察において、後頭部から頸部、肩甲間部、背部全体に
分布する僧帽筋と広背筋に筋肉の拘縮が起きているのを確認する(僧帽筋と広背
筋は円錐形状で脳への血流のポンプ役を担う)。また左肩が下がり、前下方に巻
き込んでいる(心臓を体ごと絞り込む対応姿勢をとることで、右スピンして格納され
ている心臓の収縮を助ける対応)事を確認する。

⑵座位での背部診断において、上部胸椎の後弯がなく前方に胸を突き出している。
(上部胸椎を前に突出させる事で、心臓の心室の収縮を助ける対応)。

⑶上記の上部胸椎の前方への突出の中で、背部の胸椎3番と5番の陥没状態を触
診する。胸椎3番の陥没は狭心症の反応、胸椎5番の陥没は心筋梗塞の反応を表
わす。技術行使後の判定としても使用。

⑷仰臥位での足裏の反応の確認。右足の土踏まずの硬結は不整脈の反応。左足の
親趾裏に二カ所の硬結が表われ、奥が狭心症で趾先よりが心筋梗塞の反応にな
ります。技術行使後の判定としても使用。心臓に疾患ある人は、左足の裏に引きつ
りや痛みが起きやすい。

❷施術法①ーーーウナジムナサキ法の術者が行なう方法。

術者は、仰臥位になった患者の頭上に膝着き爪先立ち姿勢をとり、一方の手掌部
で患者の後頭部(ウナジ)を優しく把持し、もう一方の手掌部を患者の胸部(ムナサキ)
の第3肋骨部に優しく接触させ、後頭部を把持した手を上方に持ち上げながら、頸
部の付け根から背部に富士山状に広がる両僧帽筋とそれと底部を合わせるように
連なる逆三角形をした両広背筋(人体中一番広い筋肉)を引伸ばす。それと並行し
て第3肋骨に当てた手を4番肋骨、5番肋骨と移動させながら肋骨弓がややタワム位
の押圧を加えます。
これにより心臓本体と洞結節、房室結節に圧刺激が入り、筋肉に張力、骨に圧と
振動が同時に生起できるのです。
つまりウナジに置いた手とムナサキに置いた手を同時にフワフワフワと三段階に
作用させるのです(患者自身が一人で行う場合は、左手をウナジにかけ右手を
ムナサキに置いて、同様に行ないます)。

頸部の伸び(僧帽筋の引きつり状態が伸びるようになる)と3、4、5番肋骨の可動性
が出るまで、3回~5回位操作を繰り返す。操作が効いたかどうかの判定は、左足
の足裏の圧痛と硬結が消失する事を目安とする。
操作後受者の足方に移動し、膝立て爪先立ち姿勢で受者に正対し、両手で受者の
両足を上部から優しく把持して受者の全身が波打つような(クネクネとした動き)
動きを作り出す。軽く1~2回揺すり、最後に受者の両踵が床から4~5センチ持
ち上がる位置まで持ち上げトントンと2回ほど気持ち良いヒビキを与えるように
床に落下させる。この操作により流動電位と踵への圧電気が発生し、全身に伝達
する(揺すってトントン)。
  
施術法②ーーー①より大きな作用力と瞬時の引き伸ばしが可能

受者は仰臥位をとり、術者は受者をまたいだ立位になります。受者は両手を後頭
部組み合わせた体勢を作ります。術者は組んだ両手の肘の部分を両手で把持した
まま、受者に言葉で指示します。受者の首と背中が丸くなるように「クルクルと
丸まって起き上がる」と指示し、術者も一緒にサポートしながら受者の背中が床
から30センチ位持ち上がるように2~3回反復します。
そしてタイミングを計りながら、把持した両肘を介して受者の僧帽筋と広背筋を
引き伸ばし、左肋骨の3、4、5番、胸椎3、4、5番に張力と押圧がかかるように、
順次三段階に作用力を加えていきます。順番は胸椎の5、4、3番と応力が及ぶよ
うに受者の丸まった体勢を床に近づけていきます。操作は瞬時に単刹那的に行な
います。操作後足方にまわり、左足裏の心臓の反応点の有無を確認します。
そして受者の両足を両手で把持して”揺すってトントン”を行ない流動電位を発生させ、
全身に伝搬させます。これにより心臓本体と洞結節、房室結節に圧刺激が入り、
僧帽筋と広背筋が瞬時に鋭く引き伸ばされ、頸椎及び脊柱の胸椎3、4、5番、肋骨
の左3、4、5番に圧と振動が生起されるのです。
以上が日本伝承医学の心臓調整法と診断法になります。

(注)上記の日本伝承医学の治療技術は、見よう見まねで施術するようなことが
   ないようにしてください。正しい施術法は日本伝承医学の実技講習会で
   教授しています。

<人体の発電法を全て網羅した日本伝承医学の心臓調整法>

日本の古代人が開発した心臓調整法はウナジムナサキと命名されています。ウナ
ジとは延髄を指し、ムナサキは心臓を指しています。上記のような技法を行使しな
くとも延髄と心臓を手掌部でバイパスさせるだけで、滞っていた延髄からの電気
信号を心臓に伝搬する事は可能です。術者が正座した受者の側面より両手でウナ
ジとはムナサキをバイパスしても良いし、自分自身で左手をウナジに右手をムナサ
キに置いてもバイパスできます。手掌部から出る”気”と輻射熱も伝搬に加味されま
す。手掌部の熱が伝わってくるのが目安です。家庭療法としても行なえます。

(注)家庭療法として行なう場合も必ず、見よう見まねで行なうことがないようにして
  ください。正しい施術法は日本伝承医学の家庭療法講習会にて教授しています。
 
技法の解説の中で既に解説してありますが、日本伝承医学の心臓調整法は人体の
もつ発電法の全てを網羅した操作法です。人体の備える二大発電法の圧電気と流
動電位を駆使した操法です。圧電気としての骨への圧と振動と筋肉、靭帯、腱、
皮膚、関節への伸長法を全て網羅しています。その中で背骨の胸椎の3、4、5番、
肋骨の3、4、5番への圧と律動的な振動により発生した電気は、当該する心臓に電
気エネルギーを直接伝達し、心臓の収縮を促進します。
そして足方から人体を波打つように揺すって踵をトントンする事で流動電位を発
生させ、全身に伝搬しています。また洞結節や房室結節への圧刺激をも作り出し
ます。日本伝承医学の心臓調整法はこれらの全てを一つの技術に凝縮しているの
です。

特に僧帽筋と頸椎の反転伸長法は、延髄に直接に作用して心臓に電気信号を伝搬
すると同時に、僧帽筋が機能する事で脳内の血液の循環を瞬時に改善します。こ
れにより脳幹全体の機能を発現できます。脳幹は別名”命の座”と呼ばれるように
基本的な生命維持に指令を出す場所になり、心臓だけではなく生命力全体を引き
出させます。

さらに詳述してある様に、骨に電気が発生し、骨伝導を介して全骨格に伝搬する事
で生命力や免疫力の源となる骨髄機能を発現させます。これにより骨髄の持つ重
要な働きの細胞新生力と造血力が増進されます。細胞新生力とは生命力であり、
造血力は免疫力に置き換えられます。これにより心臓疾患の背景に存在する生命
力や免疫力の低下を元に戻す事ができるのです。

生命力そのもの向上は、今回のテーマとなっている体の基本的な発電力を高め、
人体エネルギー造成法の全てを活性化させます。これがさらに人体の低下した電
気レベルを引き上げるのです。人体電気が正常に保たれ、スムーズに流れるとい
うことは、電磁誘導による磁気の発生を活発化させ、情報として磁気作用を正常
に働かせるのです。

生命物質としての新鮮な細胞と血液(赤血球、白血球、血小板等)を増産し、人体の
エネルギーの主体となる電気を正常化し、情報の主役となる磁気の伝達を促進する
ということは、生命の仕組みとなる物質・エネルギー・情報の三態全てに作用し、
総合的で合理的に、また確実に低下した生命力や免疫力を元に戻す事が可能に
なるのです。


<独自の進化を遂げた日本の古代文明>

まさに古代日本人の開発した心臓調整法の全ては、知れば知るほど驚嘆に値する
技法です。これは生命とは何かを正確に把握していたからこそ開発しえたものと
考えられます。日本の古代には世界四大文明の様な物的な遺産は残されていませ
んが、日本語の発明という高度な言語能力と心臓調整法に代表される生命力発現
法の開発は、日本の古代人が高度な頭脳と精神文明をもっていたと考えられます。
これを証明するのが、縄文土器や土偶にみられる高い精神性と芸術性です。また
制作技術の高さにもうかがい知る事ができます。これは同時代のどの民族も真似
のできない高度の精神性を表わしています。

これは世界の古代文明とは一線を画す日本独自の文明の進化形と考えられます。
これを可能にしたのが日本列島という地理的状況と気候条件にあります。豊かな
自然の恵み(水と緑)が豊富な食料をもたらしました。食料の自給自足が人びと
に争いのない世界を作り出させたのです。この状況が権力支配と身分制の成立を
解消し、支配の象徴となる王宮遺跡や物的発展を望まず、精神文明の向上に向か
わせたです。その成果が世界に例を見ない高度な医療技術の開発を可能にしたと
考えています。


<古代日本人が残した偉大な遺産を正しく後世に伝え、人類の健康に貢献する>

医療の世界に身を置き、43年を迎えます。日本の伝統医療の研究と実践に従事
して30年が経ちます。これだけ価値のある医療をこのまま消滅させるわけには
いかないという一途な思いで、この医療の理論的解明と技術の習得に邁進してま
いりました。まだまだ未解決な部分も多く、技術的にも未熟であります。この努力は
永遠に続くものと考えています。

解明できたものをここに紹介しておりますが、理論的根拠よりも、日本伝承医学
の本当の真価は、その臨床上の効果の高さにあります。それは日々これを実践す
る私の臨床実績が証明しております。正確な数字ではありませんが、40年以上
延べ10万人以上の臨床実績が物語っています。

わかりやすい臨床実績として不妊症の成果が挙げられます。不妊症の場合は他の
症例と違い、臨床効果が正確に把握できます。何年にも渡り不妊治療を受けたに
もかかわらず、子供を授からず半信半疑で日本伝承医学の不妊治療を受ける患者
の約8割の方が無事出産に至っています。これは驚異的な数値で、日本伝承医学の
治療が母体の生命力を一気に高める効果がある事を如実に示しています。

不妊の真の原因は、局所的な生殖機能の減退だけではなく、母体そのものが新た
な生命を育む環境にないという事です。つまり母体自身の生命力の低下が背景に
あるのです。その代表的な症状が、低体温症と生理の周期異常です(詳細はホーム
ページ院長の日記、妊娠出産するためにはを参照)。この二つの条件を克服する事で、
妊娠出産の確率は大きく向上するのです。

これまでの解説の様に、日本伝承医学の治療は世界で唯一骨髄機能を発現でき
る方法です。骨髄の働きの中の細胞新生と造血が活発になる事で、短時間で生命
力と免疫力を甦らせ、基礎代謝を上げる事で低体温を解消し、子宮や卵巣に血液
を集める技法によって生殖機能を改善していきます。これが母体の生命力を元に
戻し、新たな生命を宿す環境を作り出すのです。
日本伝承医学の不妊治療により、多くの方が妊娠出産に至っている事実が、この
医学の実績を物語っています。

また心臓疾患においては、本来ならペースメーカーや心臓手術(バルーン法、ス
テント挿入、人工弁等)になる人達が、日本伝承医学の心臓調整法と家庭で自分
で行なうウナジムナサキ法、集約拳操法、額と左首の氷冷却法、爪先立ち運動等で
異常なく本来の寿命を全うされています。
全ての心臓疾患は、これまで解説した根拠と機序を有しています。これを回復に向
かわせるためには、日本の古代人が開発した心臓調整法と各種補助法が大きな
効力を発揮します。心臓疾患の本質を正しく認識し、薬や手術という手段以外に有
効な方法がある事を知って頂きたいと思います。
日本のこの地に綿々と伝え残された日本伝承医学は、人類の健康に大きく貢献で
きる素晴らしい方法です。薬や器具を使用せず、誰でも原理を正しく理解すれば
病気に苦しむ多くの人を救える技術です。特に薬や器具を十分にもつことのでき
ない国々の医療として大きな力を発揮できるものです。古代日本人の開発したこの
医学を世界中に伝授し、後世に伝え残る様、努力を営々と続ける所存です。


<心臓マッツサージやAED法と同様に救急医療としての発展を願う>

日本伝承医学の心臓調整法は、原理を正しく理解すれば、老若男女を問わず行な
う事ができる技術になります。現行の心臓マッサージは押圧の力が大きく連続して
行使するには専門の技術と体力も必要です。またAED装置は数に限りがあり、
使用には専門の知識も必要です。日本伝承医学の心臓調整法は後頭部(ウナジ)
と心臓(ムナサキ)を両手の手掌部でバイパスするだけで効果を発揮します。その
状態から僧帽筋(首から肩まで)を引き伸ばす様に首を起こし、3、4、5番肋骨を順
次に三段階に分けて骨に圧をかける操法です。決して強い力を利用した技法
ではありません。日本伝承医学の心臓調整法が緊急時の救急法として広く活用さ
れることを願います。

尚、施術は文面を読んだだけでの見よう見まねでは絶対に行なわないようにして
ください。手の当て方や持ち上げ方、体の知識を正しく知らないで行なうことは、危険
です。日本伝承医学では、日本伝承医学講習会を通して、体に対する知識、救命法
心臓調整法等を教授しています。日本伝承医学の治療技術を学びたい方、家庭療法
士として学びたい方は、ホームページの日本伝承医学講習会の項を御覧下さい。