更年期症状の「ホットフラッシュ」の本質 2016.11.25 有本政治

昨今では更年期症状を訴える女性が3割から5割近くにのぼると言われています。
これは一昔前からすると驚異的な数字です。その更年期症状の典型的な症状の
一つにホットフラッシュがあります。その原因は現代医学的には、卵巣で作られる
女性ホルモンのエストロゲンの分泌不足をあげています。

しかし女性ホルモンの減少は加齢と共に誰でも起きる現象で、いわば自然の摂理
です。これが原因であるなら全女性が更年期症状を起こし、ホットフラッシュ症状を
発症しなければなりません。しかし更年期症状発生比率が示す様に、全体の約5割
の方には更年期症状やホットフラッシュは起きていないのです。

女性の生理は毎月約60cc位の血液をおよそ40年位体外に排出しています。これは
考えてみれば、大変なエネルギーと労力を使う行為です。この重要でエネルギー
を使う生理活動が無くなるわけですから、体の変化は想像以上に大きなものがある
と考えられます。故に体に変調が起きないように、約10年位の長い時間をかけて、
徐々に閉経に向かわせます。つまり本来は症状が出ないのが当たり前なのです。
それが半数近くの女性が更年期症状を訴えるという事実は、単に女性ホルモン
だけの問題ではく、もっと全体的な自身の生命力や免疫力の低下と全身の血液
の循環・配分・質の乱れが大きく関わっていると考えるべきです。

上記の事実が示す様に、更年期症状を捉えるには、女性ホルモンだけでなく、もっ
と全体的な捉え方の中からその本質を導き出す必要があるのです。
元来生殖器官は種の保存を担う重要な臓器で、それ故に病気に侵されない様に
丈夫に作られ、細菌やウイルスに対する免疫力も高く、完璧な修復、調整力を備
えています。そうでなければ種の保存は全うできません。

その生殖器に絡んで症状が出る事は、現代女性の生命力、免疫力が一昔前に比
べて著しく低下していると見なければなりません。これは大変由々しき問題なのです。
つまり現代女性の生命力や免疫力は著しく低下し、元々症状の出ない生殖器官に
関わって病気が起きているのです。

これを立証する様に、出産適齢期の女性に不妊や流産が急増している事も、現
代女性の生命力や免疫力の低下を如実に表わしています。新たな生命を宿せな
い事は、母体自身が新たな生命を宿す環境にない事を意味します。つまり現代
女性の母体が生命力を低下させているいるのです(詳細はHP、院長の日記、妊
娠出産の項を参照)。更年期症状の本質を考察する上においては、女性ホルモン
の減少という局所的な問題だけではなく、全体との関連の中から更年期症状を捉
える必要があるのです。以下更年期のホットフラッシュを日本伝承医学的に考察し
その本質を解説していきます。

『ホットフラッシュといわれる様に、急に熱くなり一気に汗が出るのは何故なの
か』

日本伝承医学が首尾一貫して主張する病気の捉え方は、体の示す全ての反応は
必ず意味をもっているという事です。確かに急に体が熱くなり、一気に発汗が起こ
る事は気もち良いものではありません。しかし発熱も、汗を出す事も意味がある
のです。この意味とは何かの機能を高め、何かを守り、ひいては命を守るために
必要な対応なのです。発熱と発汗によって、何かの機能を高め、何かを守ってい
る事は間違いありません。

体の示す局所的な発熱と発汗はどうして起こるのかを知る必要があります。局所
に熱が発生する場合は、その部分に活発な生理活動が起こっている時に発生し
ます。例えば渾身の力で腕相撲をした場合、手や腕、全身に熱が発生し、汗もか
きます。これは強力な筋肉運動をするためには、一気に腕の筋肉に血液を集め、
筋繊維を収縮し続けなくてはなりません。局所の生理活動を最大限に引き上げる
のです。いわば局所の分子運動を活発にする事になります。この時熱が発生する
のです。そしてこの熱を下げるために汗をかきます。

また風邪等で発熱するのは、全身の分子運動を活発にする事で細胞の活性化を
図り、免疫力を高めることで風邪を回復に向かわせる体の必要な対応になります。
この場合に全身に発熱が起こるのです。これらと同作用が発熱場所に起こるので
す。つまり発熱させる事で、組織や器官の機能の活性化を図っているのです。そ
ういう状況に組織や器官が追い込まれた場合の対応になります。熱を発生させて
でも何かの機能を守る対応になります。つまりわざと熱を発生させているのです。

次に発汗とは、汗を出す事で内部にこもる熱や毒素を排出し、汗が乾くときの気化
作用で内部を冷ます働きを担っています。つまり体内を一定の温度に保つ体温調
節作用のための発汗です。ホットフラッシュによる発汗も当然同作用を目的にした
現象です。一気に発生した熱を急激に冷ます対応が大量の発汗現象になります。
ホットフラッシュの場合は頭や首、上半身に発熱と発汗が起こります。これは脳の
内部(脳幹や下垂体)や上半身(心臓)に熱が発生するからです。


『脳内(脳幹、下垂体)や上半身(心臓部)に熱が発生するのは何故か』

熱発生の機序は前項で解説してあります。脳内の脳幹、下垂体と心臓に熱が発生
するのは、この二ヶ所の機能を高める対応になります。脳幹とは脳の中心部を指
し、ここは基本的な生命維持機構に指令を出す中枢が集まっています。呼吸、心
拍、体温、自律神経、睡眠、生理の調整、情緒の安定等をコントロールする中枢
です。またその下に位置する下垂体はホルモンの中枢部になります。今回のテー
マとなる更年期症状の要因となる女性ホルモンの分泌を促進する性腺刺激ホル
モンはここから分泌されています。

脳幹と下垂体は脳の最深部に位置しています。脳という中身の詰まった臓器の中
心部は元々熱のこもりが起きやすい場所となります。脳という構造を見てみると、
脳は頭蓋骨という密閉された容器内に格納されています。例えればバイク用のヘ
ルメットをスッポリかぶった様な存在です。故に内部に熱が発生した場合、熱が一
気にこもる構造になっています。

前述の様に、組織器官の機能を元に戻したり、機能を高めるためには熱を発生
させる事が必要です。しかしこれは非常対応であって初めから熱を発生させるわ
けではありません。当然脳幹や下垂体の機能が低下した場合には、この機能を
守るために、働きを最大限に引き上げて対処します。
この状態の長期間にわたる持続は、当然熱の発生を伴います。これが次第に脳
の中心部(脳幹や下垂体)に熱を蓄積させるのです。

次に心臓の熱の発生は、過度の稼動が原因です。元々心臓は死の瞬間まで休み
なく働く事のできる永久機関の様な器官です。故に当然過度の使用にも耐え得る
様にできています。しかし遺伝的に心臓の弱い体質(心肺とも)の人は、過度の心
臓の稼動が持続する事で、次第に熱を蓄積する事になります。
急激な熱や汗の発生は、例えれば100メートルを全力疾走した場合、筋肉を最高
速に収縮させ、呼吸と心拍を最大限高めます。その結果急激に熱が発生し、この
熱を冷ますために頭や上半身に大量の汗をかきます。ホットフラッシュによる急
激な熱や汗も、この反応と同様な事が脳や心臓に起きているのです。つまり体に
とって必要な対応なのです。

脳幹や下垂体と心臓に熱が発生する機序は以上ですが、これは通常の状態では
生起されません。起きるべくして、必要に迫られての対応手段として発生します。
その前提となるのが、慢性的な全身の血液の循環・配分・質の乱れによる脳内の
血液不足(虚血)と心臓の虚血が背景にあるのです。


『慢性的な脳や心臓の虚血状態が、次第に脳幹や下垂体、心臓の機能を低下させ、
既に熱をもっていた所に、さらに熱発生の対応が加味される』

症状が起きるには必ずその前提となるものがあり、根拠と機序が存在します。脳
は人体内において常に新鮮な血液を大量に消費する場所です。その脳に血液の
供給不足が生起されると、少ない血液を脳の隅々まで早く循環させる必要上、脳
内の圧力を高める事で血液を早く循環させる対応をとります。所謂脳圧の上昇で
す。狭く密閉された脳内の圧力が高まる事は、熱の発生も意味します。この状態
の持続が脳内に熱をこもらせ、脳の中心部の脳幹や下垂体に熱が蓄積されて
いったのです。

心臓の熱の発生に関しては既に解説した様に、遺伝的に心肺機能の弱い体質の
人が、脳や全身への血液の循環供給を守るために心臓を過度に稼動させること
から、次第に心臓に熱を蓄積させる事になったのです。
これらの前提条件が既に存在していた所に、さらに脳幹や下垂体、心臓を鼓舞し
なくてはならない状況に追い込まれて、機能を最大限上げるための対応がさらな
る熱の発生を生む事になったのです。


『脳や心臓の虚血は、全身の血液の循環・配分・質(赤血球の変形と連鎖)の乱
れから起こる』

全身の血液の循環・配分・質に乱れが起きるのは、内臓の肝臓(胆嚢を含む)と
心臓の機能低下が要因です。所謂”肝心要”と言われる臓器です。当然全身に血
液を巡らせているのは、心臓のポンプ装置であり、この機能が落ちれば全身の
血液の循環は低下するのは必然です。
特に脳に血液不足が起きるのは、心臓のポンプ力の低下が一番の要因です。

心臓のポンプ力の低下は、心臓より上に位置する脳に血液を押し上げる力が低下
するために、脳への血液供給が遅くなり脳に虚血が起きやすくなるのです。この
代表的な症状が頭痛になります。痛みという信号を発して頭に血液を集める対応
に当たります。所謂”頭痛もち”と言われる人は、遺伝的に心肺機能の低下タイプ
の人に起きやすくなります。

次に全身の血液の配分の乱れに関与するのが肝臓になります。肝臓はレバーと
呼ばれる様に血の固まった様な中身の詰まった大きな臓器です。全身の血液の
約4分の1は肝臓に集まり、体のエネルギー物質の貯蔵場所としての働きを有し
ています。その肝臓が機能低下した場合、肝臓の機能を元に戻すために大量の
血液が肝臓に集められます。これは体の必要な対応になりますが、全身の血液
の配分を大きく乱す最大の要因となるのです。これが脳や心臓の虚血を生み出
します。

肝臓の機能低下の原因は精神的なストレスの持続にあり、肝臓の機能低下は内
包する胆嚢の機能低下も同時に引き起こします。胆嚢は苦い胆汁を分泌し、脂肪
の分解吸収を助ける働きとその苦い成分によって血液の熱を冷ます
働きを担っています。胆嚢の機能低下による胆汁の分泌不足は、血液に熱を帯
びさせ、熱変性により赤血球の変形と連鎖の最大原因となるのです。
これは血液の質を落とすと同時に、全身の毛細血管の流れに停滞と詰まりを生起
し、これが全身の血液の循環を遅くする事でさらに脳や心臓の虚血を助長するの
です。これが脳や心臓の虚血の機序になります。更年期症状の背景には以上の様
な前提条件が必ず存在しています。これが遺伝的な体質(心肺機能低下低下体質)
と合併する事で発生するのです。


『様々な条件が合併する事で、通常の手段では対応できなくなった時の非常対応
の手段が一気の熱の発生となる』

既に脳幹部と心臓に熱のこもりがあるところに、基本的な生命維持機構の弱りと
更年期の女性ホルモン減少を補う対応が合併する事で脳幹、下垂体、心臓に異
常な熱を発生させて、機能を維持しようとするのです。

脳幹は別名「命の座」と呼ばれ基本的な生命維持機構(心拍、体温、呼吸、自律
神経、生理コントロール、情緒安定作用等)に指令を出す中枢であり、下垂体は
女性ホルモンを分泌する卵巣に性腺刺激ホルモンを出す場所です。ここの機能
を一気に高める手段が発熱になります。

ホットフラッシュは、遺伝的に心肺機能が弱く、年齢的にも無理がきかない時期と
重なり、閉経の準備にエネルギーを使い、精神的なストレスの持続による肝心要
(肝臓と心臓)の弱りという様々な要因が一気に重なった為に起こります。基本的な
生命維持機構に弱りがきている状態に、女性ホルモンの不足を補うために、分泌
に指令を出す性腺刺激ホルモン中枢の下垂体を刺激する対応が重なっての非常
対応手段が、一気の発熱の正体なのです。
また脳への血液供給を上げるために、一気に心臓の心拍を高める対応も同時に
作動させます。これが心臓に急激な熱の発生を生むのです。


『特に女性ホルモンの分泌を維持する対応が脳幹と下垂体に熱を発生させる』

女性ホルモンのエストロゲンは、子宮や卵巣、乳腺のみならず、骨や血管、脳、
肝臓、皮膚などの器官に働きかけて、それらの機能の維持に重要な役割を果た
します。その作用は、脳の働きを活発にし、自律神経を安定させ、免疫系を強化
し、骨を丈夫にし、コレステロールの調整をし、血管を拡張して血流を増やす作用
等があります。男性においても少量分泌され上記の作用を担っています。つまり、
生命維持に欠かせない働きを司っているのです。
この女性ホルモンの分泌を維持し、生命維持活動を活発化させる対応が、脳幹と
下垂体に熱を発生させるのです。つまりは体の必要な対応手段になります。


『急激に脳内や心臓に発生した熱を冷ます対応が、大量に発汗となる』

脳内は密閉されて、中身の詰まった存在です。発生した熱は内部にこもってしま
い、熱を蓄積させます。脳幹や下垂体に熱を発生させる事で機能を発現する必要
な対応ですが、この熱はいつまでもこもらせてはなりません。速やかに熱をすてる
必要があるのです。この対応が急激な大量の発汗になります。特に熱がこもる脳
内の熱を冷ますために首、頭、顔面、上半身に一気に大量の汗が出ます。

また心臓も脳や全身に一気に血液を巡らせる必要上、過度に働く事になります。
そのために急激に熱を発生します。上記と同様にこの熱を冷ますために、首や上
半身に大量の汗をかくことになるのです。


『ホットフラッシュはわずかな刺激や環境の変化、心理的な作用に敏感に反応す
 るのは何故か』

生きている体に備わる命を守るための対応手段は、幾重にも段階的に整備され、
あらゆる環境や条件の変化に対応できるように完璧に構築されています。
特にホルモン系の反応は微細な調整機能があり、わずかな変化に対してもスイッ
チが入るようにできていると考えられます。これは生物として命を最後まで守ると
いう大命題を達成する上で当然の備えとなります。

人体におけるホルモンの分泌量は、各ホルモンによってその量は当然差はありま
すが”超微量”であります。女性ホルモン(エストロゲン)は一生の間でわずかスプー
ン一杯分の量と言われています。つまり超微量で大きな作用をもっているのです。
故にホルモンの分泌とその量の調整とタイミングは超繊細にコントロールされて
いると考えられます。

更年期の時期はこれまで解説した様に、遺伝的な体質に様々な要因が重なりデリ
ケートな時期になっています。これがホルモンの分泌機構にも影響をもたらし、本
来は反応すべき条件を満たしていないにも関わらず敏感に反応するものと考えら
れます。

ただこの反応は体を守る反応である事は間違いありません。この事を認識する必
要があるのです。
この事から言える事は、これほど微細で敏感なホルモン分泌制御機能をもってい
る器官故に、安易な外部からのホルモン補充は慎重に進めるべきと考えます。
女性ホルモン補充療法による副作用は当然起こるべくして起きているからです。


『更年期症状とホットフラッシュにどう対処するべきか』

この答えは既に更年期症状の根拠と機序の中に明確に示されています。ホルモン
補充療法という対症療法では更年期の諸症状を改善できないのは明らかです。
自身の遺伝的な体質を認識し、低下した生命力や免疫力を高め、直接的な引き
金となっている全身の血液の循環・配分・質の乱れを元に戻すことが不可欠です。

具体的には脳幹と心臓に起きている”虚血”を回復させる事が命題になります。
別名「命の座」と言われる脳幹と下垂体の機能低下を回復させ、基本的な生命維
持機構の中枢を機能させることが求められます。ここの機能が改善する事で、女
性ホルモンに頼らなくとも生命維持機能が確保されるのです。

これにより過度の女性ホルモン分泌を促さなくても体調を維持できるようになるの
です。これが達成される事で急激な熱の発生が必要なくなり、ホットフラッシュの非
常対応を軽減できるのです。

以上の事を合理的に達成できるのが日本伝承医学の治療法になります。それは
43年に及ぶ当院の治療実績が証明しています(治療法の詳細はHP、院長の日記
の項を参照ください)。