疲労物質
脳や体を使いすぎた時に疲労感を生み出す原因となる物質を
疲労物質(ひろうぶっしつ)と言います。疲労物質には活性酸素、
サイトカインやアデノシン等があります。疲労がたまるとこれら
の物質が増えて「心身を休めてください」というサイン(警告)
を発します。疲労物質は休むことで分解、除去されるからです。
警告が出ているのに休まずに頭脳や体を酷使すると、どんどん
疲労物質が蓄積して、免疫力と生命力を大幅に低下させます。
「まだ大丈夫」「少し休めばなんとかなる」「今はちょっと無理
しているだけ」「忙しくて休みがとれない」「いつもこんな感
じだから」などと思っていてはいけません。疲労状態が続くと
疲労物質が蓄積し、内臓だけではなく脳や神経に大きなダメージ
を与えるからです。
疲れがたまると自律神経のバランスが乱れるので睡眠、呼吸、
心拍、血圧、代謝、情緒(感情)等の調整がうまくできなくなり
ます。肝臓胆のう機能も低下するので胆汁が分泌不足になり、
血液の質が悪くなるので造血力が低下します。造血力の低下は
休眠しているがん細胞を原発させたり、がんの再発や転移を招
いたり、様々な病気を発症させるリスクを負います。
病気に罹患している方、虚弱体質の方、がんの方、寛解と言わ
れた方は特に疲労を侮らないようにしてください。疲労の蓄積
ほど怖いものはありません。
【疲労の種類】
疲労は中枢性疲労(ちゅうすうせいひろう)と末梢性疲労(まっ
しょうせいひろう)の2つに分けられます。脳や神経の疲れで神
経伝達物質がバランスを乱すことで発症するのが中枢性疲労
(精神的疲労)になります。過労や運動性の要因による筋肉等の
身体的組織の疲れを末梢性疲労(肉体的疲労)と言います。
中枢性疲労は脳の制御機能が限界を超える精神疲労のことを
さします。神経伝達物質のバランスが崩れるのでだるさや情緒
不安、意欲・集中力・判断力の低下、無気力、うつ状態、物忘
れや記憶障害、頭痛やめまい、眼精疲労(目の疲れ)、切れやす
くなる、おこりっぽくなる等の様々な症状を発症させます。
肉体的疲労は寝て休息すれば回復できますが精神的疲労はどん
なに休んでもなかなか回復できず、暇になるとかえって余計に
いろいろなことを考えてしまうので難儀です。
★疲れの反応は肝臓、胆のうにあらわれる・・・
疲れている人のほとんどに、肝臓、胆のうに反応が出ています。
自分では、たいしたことはないと思っていても、心より体の方が
正直に反応が出ます。
肝臓(胆のう)は「沈黙の臓器」と言われるので、重症になって
から初めて異常数値として表れ自覚できます。肝臓ほど初期段階
での生活習慣の見直しが急務です。
日本伝承医学は肝心要の医学(肝臓と心臓の医学)と言われる
ように、肝臓(胆のう)と心臓におもきをおいています。肝胆叩
打法で肝臓の炎症(肝炎)を除去し、胆のうの腫れをとり血液の
質を正常にします。心臓調整法で心臓のポンプ作用を高めます。
肝機能に低下がみられたときは、血液の再生周期に合わせて2週
間に一度の治療ペースですすめていきます。
≪参考文献≫ 「肝臓の病気」
※疲労が蓄積すると右腰、右股関節、右肩甲骨下に急激に痛みが
起きることがあります。肝臓胆のうに炎症が生じ腫れて、体幹
部がねじられ右患部に負荷がかかるからです。右側の反応は精
神状態とも関わるので回復までに時間を要する場合があります。
家庭療法としてのストレッチも重要な意味をもちます。
★回復するためには・・・・
回復するためには脳と神経を休ませなければなりません。眠れ
なくても横になる時間をできるだけとるようにします。重力から
解放させ臓器にかかる負担を軽減するためです。本来人間の体は
週に2日続けて休む必要があります。
二日休むことで副交感神経が十分に働くからです。脳と精神の
回復には連続した休みが必要不可欠なのです。
疲れているときには肝臓の充血と脳の炎症があるので、日課と
しての就寝時の氷枕での頭部冷却とアイスバッグでの肝臓冷却は
必須です。
≪参考文献≫「家庭療法としての局所冷却法」
気分転換がうまくできなくて思い悩んでしまうときには、
「考えないこと考える」ようにします。浮かんでくる考えに巻
き込まれないようにすることです。塗り絵、プラモデルの組み
立て、部屋の模様替え、庭作業や植物の栽培、歩行や散歩等、
負担にならない程度の作業は思考を消してくれるので有効です。
(重労働は不可)
日本伝承医学では、自律神経調整法、後頭骨擦過法を用いて交
感神経の緊張をとり、神経伝達物質のバランスを整えます。家庭
療法としての頭と肝臓の冷却を日課として行なうことでより効果
が出ます。
≪参考文献≫「日本伝承医学の自律神経調整法と後頭骨擦過法」
★疲労物質の説明・・・
≪サイトカイン≫
サイトカインは免疫や炎症反応を調整するタンパク質になりま
す。疲れがたまり体に負担がかかると一部のサイトカインが炎症
を引き起こし筋肉や神経に作用します。本来炎症は組織を修復し
体を守るために必要な対応ですが、過剰になると正常な組織を攻
撃し始め、制御機構に破綻を生じさせてしまいます。
炎症反応(CRP)が高くなると異常とみなされ、がんの検査(腫瘍
マーカー検査)を行なうことがあります。がんは慢性炎症の病気
だからです。誰しもの体にはがん化の芽(異常細胞)は存在してい
ます。通常は休眠していますが疲労が続き炎症反応が強くなると、
休眠状態が破られます。度重なる抗生剤の使用は休眠している異
常細胞を原発させる場合があるので気をつけます。
※人間は38.3度の高熱で免疫機構(自然治癒力)にスイッチが入り
ます。自己治癒力にスイッチが入ってもこれを化学物質(抗生物質
や解熱剤等)で下げてしまうと、白血球が化学物質を異物と判断
して数値を跳ね上げます。疲労が蓄積している時は免疫力が低下
しているので何度も抗生剤を使ってしまうと急性白血病等を発症
することがあります。
≪活性酸素≫
活性酸素は酸素分子が変化して反応性が高くなったものになり
ます。体内でエネルギーを作る過程やストレスによって生じます。
少量であれば免疫反応に必要ですが、多量になるとたんぱく質や
DNA(遺伝子情報)を酸化させ細胞機能を低下させます。
≪アデノシン≫
アデノシンはATP(アデノシン三リン酸)が使われたときに生じる
物質になります。脳の神経に作用して「エネルギーが減っている
から休みましょう」と言うサインを送ります。アデノシンが増え
ると眠気やだるさを感じるのは、休みなさいという警告だからです。
このように疲労物質は体を回復させるための防御システムとなり
ます。重症化する前に警告が出た時点で休養することが大事です。
≪参考文献≫ 「脳疲労」 「頭蓋骨疲労(歯ぎしり)」