日本伝承医学の胸痛の治療

胸痛(胸の痛み)はその部位だけをみていくのでは
なく、心臓、肺、横隔膜、骨、神経、気管支、消化
器等の体全体との関連の中で捉えていくことが大事
です。日本伝承医学では心臓調整法、横隔膜操法を
用い、心臓機能のポンプ作用の低下を改善し、横隔膜
の上下運動を正常に復することで胸痛に対処していき
ます。横隔膜の動きが阻害されると、その下に位置
する肝臓、胃、膵臓、脾臓の働きにも支障をきたして
きます。肝臓は沈黙の臓器のため、胃に痛みや違和感
生じやすくなります。体はこのように全てが関連
し合って命を保っています。

 日本伝承医学の治療は、手技療法により骨の特性で
ある圧電作用を用い、骨にゆり・ふり・たたきの
振動や圧を加えて骨髄機能を発現させ、免疫力と
生命力を高めます。治療により血液の循環・配分・
質が改善されるので、血行不良による胸苦しさ、
胸痛、めまい、頭痛、下肢のだるさ、重さ、
下肢ブロック等が緩和されます。
 また胸部痛は咳やくしゃみ等が引き金になり、骨
にひび等が入った時にも生じます。骨は生きていて
毎日新陳代謝を繰り返しています。古くなった不要
な骨は破骨(はこつ)細胞によって溶かされ骨に吸収
されていきます。そして骨芽(こつが)細胞によって
あらたに作り出されています。胸部の骨は約1か月
(大腿骨は約2か月)で再生されていくので、ひびが
入ったときは患部に負荷をかけないように、
養生し
ながら
生活していけば自然に回復します(骨の細部
はレントゲンでは映らないので、痛みを訴えても病院
では異常無しと診断される場合があります)
 加齢やホルモンのバランスの乱れから、この破骨
細胞と骨芽細胞のバランスが崩れ、骨吸収が骨形成
を上回るようになってしまうと骨量(骨密度)が減り、
骨がスカスカになりもろくなってしまいます。女性
の場合は閉経の5年くらい前からホルモンのバランス
が乱れ、これは閉経後もずっと続くため、特に閉経後
は食生活には充分に気をつけていくようにします。
(錠剤やドリンク剤にたよるのではなくカルシウムや
鉄分、ビタミン等をバランスよく食事からとるよう
にします)

 ≪胸の痛みに関する参考文献≫  有本政治:著
    狭心症心筋梗塞
      心不全
      心臓疾患の家庭療法
   
心臓調整法