手首の痛みと運動障害の考察 2015.12.15 有本政治


<手首の痛みは、外傷的に打ったり、ひねったり、転倒が無くても発生する>

手首を打撲したり、転倒して手を着きひねったりという、いわゆる外傷的な要因で手
首が痛くなったり、動かなくなるのはよくある事です。しかし外傷的な要因は無くても
手首の痛みは起こります。
一番顕著な例として、突発的な手首の痛みがあります。ピアニストの方がリサイタル
等の当日の朝、突然手首が動かなくなったり、痛みが起こったりします。前日まで何
事も無く練習できていたのに突然痛みが発生するのです。似たような例が足の踵
(かかと)にも発生します。前日まで何もなかったのに、朝起きると踵が着けない程の
痛みが起こるのです。(踵の痛みの詳細は、HP院長の日記、箱根駅伝の項を参照)
一見信じ難い様に思われますが、体は時に人智を超えた反応を示します。よく心労
の極地で一夜にして髪の毛が白髪になるという事を耳にしますが、事実として起こ
っています。このように精神的な要因が肉体に及ぼす影響は想像を超えています。

一例として突発性難聴を挙げてみます。これは突然に耳が聴こえなくなる病気です。
現代医学的には原因不明とされています。この原因を探るには、視点を変えた正の
対応としての捉え方が必要です。正の対応とは、これ以上脳への刺激を受けたくな
い状況に置かれた場合、わざと聴こえなくする事で、脳への刺激を遮断し、脳圧の
上昇を防ぎ、脳血管の破裂を防ごうとする対応を言います。この例からわかるように
体の示す反応は意味をもっています。突発性難聴が正の対応のように、突然に手
首を固着させたり、痛みで動かなくさせる事にも当然意味があるのです。

手首の痛みや運動制限は、関節リウマチや痛風、偽痛風といった、血液の質の低
下からくる血液疾患からも発生します。また近年女性に多く見られる親指の付け根
の関節の変形性関節症も、手首の動きと連動して、手首にも痛みが生じます。
いずれも血液の質に関わる問題であり、血液の質が低下するということは生命力や
免疫力が低下し、重大な病に発展する可能性が高くなっているということになります。
故に、単に一つの関節が障害や痛みをもったという認識では済まされないのです。
特に人間にとって手の関節は、巧緻な動きを作り出し、生きていくためには重要な
働きをする関節です。大事な関節に障害が起きたという事は体の警告サインで、深
い理由が存在するのです。


<外傷的な要因がなくて起こる手首の故障は、体の警告サインであり、意味をもっ
た対応である>

外傷的な要因がなくても手首の痛みは起こります。当初患者さんは、打ったり、ひね
った覚えが無いのに手首が痛いのを疑問に感じて、何かしらの外傷的な原因を探り
がちです。整形外科の診断で、使い過ぎによる腱鞘炎(けんしょうえん)という診断を
受けて、それほど重要視しないで、冷湿布を使用して処置する事がほとんどです。
しかし、外傷的な要因がなくて起こる手首の痛みや腫れ、運動障害は、実は体の重
大な警告サインであり、血液の質の低下の表れなのです。体の起こす反応は必ず
意味があって発生させます。それは体をより悪くなるように、また早く死ぬように症状
を発生させているのではありません。反対に手首を固着させたり、痛みと運動障害
を起こす事で、何かを守ろうとして対応しているのです。

<手首は、足と同様に第二の心臓として作用し、脳や心臓への血液供給のポンプ
の役割を果たしている>

足は第二の心臓といわれています。心臓は血液を押し出すポンプであり、心臓まで
吸い戻すポンプではありません。全身に噴出した血液は、静脈血として、また心臓ま
で還らなくてはなりません。そのためには、筋肉と関節が連動した筋肉関節ポンプ機
構が必要です。その主体となるのが下肢全体の筋肉関節ポンプ装置なのです。そ
の中でも、足関節と連動した下腿筋(ふくらはぎの筋肉)は重要です。そしてこれを
作動させるためには、歩行が最適になります。歩く事で、血液を一番効率良く心臓
まで還せるからです。
これと同様な作用が、上肢の手首の関節と筋肉群にあります。四つ足動物に例えれ
ば、当然うなずける問題です。手関節は、心臓や脳に血液を上げたり下げたりする
ポンプの役割を担っています。手が動かなくなるという事は、心臓や脳の血流に大き
な影響を及ぼしてしまうのです。


<右手と左手では作用が違うーーー日本の古代人が発見した左右手関節の働きの
違い>

日本伝承医学では、左右の手足の作用の違いを以下のように説明しています。体
を臍(へそ)の位置で上下に2分割し、体の正面で左右に2分割し、全体を4分割しま
す。その中で、対角上に右下肢と左上肢は、血液や体液、物を上にもち上げる作
用を付与し、逆に左下肢と対角の右上肢は、血液、体液、物を下げる作用をもつと
解明しています。
つまり右手は、血液、体液、物を下げる作用をもち、具体的には、心臓や脳の血液
を上肢の方に下げる働きをもたせています。左手は、逆に心臓や脳に血液を上げる
働きをもたせています。つまり右手を使うと、脳内の血液を下げ、心臓の血液を下肢
の方に下げ、左手を使う心臓や脳に血液を上げるということです。
これは日本の古代人の偉大な発見であり、見識の高さを示すものになります。この
左右の手の働きの違いが、人間の利き手となる右利きと左利きの謎を解明する大
きな手掛かりにもなります。また上記したピアニストの突発的な右手の固着や痛みの
発生原因を解き明かしてくれます。


<ピアニストの突発的な手首の固着や痛みは何故起きるのか>

体の示す反応には全て意味があります。これまでこのような視点で症状を捉えた
事が皆無だったために、原因を解明する事ができなかったのです。また症状は全
て悪いことという思い込みが、疑問すら抱かせなかったのです。

現在病気の種類は約2万種位あると言われています。その中で、原因がわかってい
るものは約1割しかないと言われています。つまりほとんどの病気は原因不明であり
ながら、ただ一方的に症状を封じ込める処置がとられているのが実態です。

ピアニストの突発的な手首の固着と痛みを正の対応の視点で捉え直してみます。
この場合の手首の障害はほとんどが右手に発生します。この原因を探る上で、問
題を解決する手掛かりは、日本の古代人が発見した右手の作用です。前項に解説
しましたように、右手には物を下げる作用があり、脳の血液を体幹の方に下げる
働きがあります。
これらの左右の手の作用の違いは、通常時においては、右手は物を下げ、左手は
物を上げる働きを付与させる事で血液の上げ下げを手助けし、血液循環をコント
ロールしています。特に脳内の血液の上げ下げを手助けしています。

人体の緊急時における人智を超えた対応は、これまでいくつかの例を挙げて強調
しておりますが、人体に備わった命を守るための対応には 驚かされます。脳内
の血液の循環を守るために、右手を動かなくさせ、血液を下げる作用を減退させる
事で、脳の血液が体幹の方に下がる事を防止しているのです。これが右手首が
突発的に固着したり痛みで動かなくさせる理由であったのです。
ピアニストがリサイタルの前日や当日の朝、突然に右手首の痛みや固着が起きる
理由はここにあるのです。既に例に挙げてる突然に起こる踵の痛みと共通する脳
の血液の循環を守る必要な対応だったのです。


<極度の精神的プレッシャーとストレスの持続が脳内の血液の循環を乱す>

右手の固着や痛みは脳内の血液の循環を守る対応として発生しています。それで
はどうして脳の血液の循環に乱れが生じるのでしょうか。それは精神的ストレスの
持続と極度のプレッシャーによります。ピアニストにとってコンクールやリサイタルは
強い精神的な緊張がかかる場でもあります。
精神的なストレスの持続とプレッシャーは、常に脳を刺激し、興奮させます。この状
態の持続は、脳内の血液を消費し、その中の脳の神経伝達物質や脳内ホルモンを
大量に消費させます。元々脳は人体中で血液の消費が多い場所で、常に新鮮な血
液の供給が必要になります。

脳に新鮮な血液が供給できている間は何も問題は起きませんが、遺伝的に心肺機
能の弱い体質の人は、徐々に血液のポンプ役を担う心臓に負担がかかってきます。
この状態が持続すると、心臓のポンプ機能に減退が起こり、脳に血液を供給する働
きが落ちてしまいます。脳に血液不足の状態が生起されるのです。また、脳の神経
伝達物質や脳内ホルモンの大量消費は、これらの物質を作り出し、分解する場所
である肝臓に大きな負担をかけていきます。これにより肝臓の機能が低下していき
ます。体は、肝臓の機能低下を元に戻す対応として、肝臓に大量の血液を集め、熱
をもたせます。これが一時的に、全身の血液の配分を大きく乱す最大の要因となる
のです。
この様に、心臓のポンプ力の低下は、全身の血液の循環を乱し、特に脳への血液
の供給を減退させ、さらに肝臓の充血は全身の血液の配分を乱します。この二つ
の事態が合わさる事で、脳への血液の供給が大きく影響を受けるのです。


<脳内の血液不足を守るためには、血液を下げる作用を抑える対応が必要、その
ためには右手を使えなくする>

上記の状態の持続は、脳内に血液不足を生起し、今ある血液を有効に活用する必
要に迫られるのです。そのための対応として、血液を体幹の方に下げる作用を抑
える事になったのです。


<右手の固着と痛みの根本的な原因と警告サインの意味>

そのための緊急処置が右手の動きを止めて血液の下降を食い止める対応となった
のです。つまり脳の血液を下げる働きを遅らせる必要が生じたのです。これが右手
の固着と痛みの発生の根本的な原因となります。
さらに重要な事は、外傷以外で右手の痛みや固着が生じた場合は、脳内に虚血(血
液不足)が生起されている警告サインであるのです。脳の虚血は、当然頭痛、めま
いも引き起こし、さらに脳圧の上昇をもたらし、脳梗塞、脳の血管障害の大きな要因
となるのです。この警告サインを見逃さず脳の虚血を改善することが求められます。
(詳細は院長の日記、頭痛、めまい、脳梗塞、脳腫瘍の項参照)。

以上の対応は左手には起きません。ちなみに突発的な踵の痛みは右足に発生しま
す。右足は血液を上にもち上げる作用があり、脳の虚血に対応して、脳に血液を
送る働きをします。それをさらに助けるために、踵に痛みを起こし踵を着かせないで
つま先歩きをさせて、足関節の関節ポンプと下腿(ふくらはぎ)の筋肉ポンプを作動を
より強力に作用させる事で、心臓までの血液の還しを補助し、脳への血液供給を助
けているのです。


<血液の質の低下が手首の痛みを引き起こすもう一つの要因となる>

外傷以外で発生する手首の痛みのもう一つの要因は、リウマチや偽痛風に起因し
ます。リウマチは、難病認定されていて、自己免疫疾患として定義されています。
偽痛風は正確には、関節液の成分の異常として扱われています。血液成分の尿酸
やピロリン酸カルシウムが原因物質として挙げられていますが、正確な原因は特定
されていないのが現状です。

リウマチや偽痛風は、人体の関節や筋肉に痛みと腫れ、運動障害、関節の固着を
起こします。これが手首に起こるのです。特に初期段階において手首に反応が最も
出やすくなります。これは前項同様に病気の警告サインとしての役割も果たします。
いずれにしても、リウマチや偽痛風は、血液の質の低下が原因であることは間違い
ありません。血液の質の低下は大変由々しき問題です。全ての病の直接的な要因
は、全身の血液の循環、配分、質の乱れが存在します。循環の乱れには心臓機能
の低下があり、配分の乱れには血の固まった様な臓器となる肝臓の充血が要因
にあります。全身の血液の循環配分の乱れが病気の大きな要因である事は間違い
ないのですが、もう一つの要因となる血液の質の低下は、より重篤な疾患に結びつ
いていきます。

血液の質の低下は体の免疫力を大きく落とします。そのために、休眠しているがん
細胞を原発させやすくしたり、各種感染症、再生不良性貧血、リウマチ、膠原病と
いった難病の根源的な要因にもなりやすくなります。
このように、手首の痛みや運動障害は、重篤な病の初期症状として発生し、警告
サインとしての役割をもっているため、単に関節や筋肉といった運動系の疾患として
甘くみてはならないのです。


<血液の質の低下は、どういう根拠と機序で起こるのか>

血液の質の低下は徐々に進行します。血液の質の低下に一番関わるのが、肝臓と
胆嚢になります。肝臓は、胆汁の生成、エネルギー物質としてのブドウ糖をグリコー
ゲンに変えて貯蔵と流通をコントロールし、有害物質のアンモニアを分解して尿素に
変え、体の毒素の分解を行なう重要な場所になります。肝臓の機能が低下するという
事は、胆汁不足が生じ、人体エネルギーの生成が低下し、有害なアンモニアが体内
を巡り、その他の有害な毒素が増える事を意味します。つまり有害な物質が血液中
に蓄積され、血液の質が悪くなる最大の要因として働くことになるのです。

また胆嚢が機能低下すると、胆嚢の働きを元に戻す対応として、胆嚢に熱と腫れを
起こす事で機能回復を図ります。胆嚢の胆汁を分泌する方法は、胆嚢という袋が収
縮する事で、胆汁(たんじゅう)を噴出させる仕組みになっています。しかし袋が腫れ
てしまうと収縮力が弱り、胆汁の分泌が減退します。さらに肝臓機能の低下により、
胆汁の生成自体も落ちていきます。

胆汁の働きは、脂肪の分解吸収を助け、便を生成するという解釈が一般的ですが、
一番重要な作用は、苦い成分による体内の炎症の鎮静と血液の熱を冷ますという働
きになります。漢方薬がその苦い成分により炎症を抑制するのと同様の働きが胆汁
になります。漢方薬のこの作用を”苦寒薬”と呼びますが、胆汁は体内の苦寒薬、抗
炎症剤として重要な働きを担っているのです。

胆汁の分泌不足は、体内に炎症を起こし、様々な病気を発症させていきます。また
血液が熱を帯びると熱変性により、赤血球の変形や連鎖(ドロドロでベタベタな血液)
が生じるのです。赤血球の変形と連鎖は、血液としての働きを落とし、これが血液
の質の低下を招くのです。

このように血液の質の低下に一番関与するのが肝臓、胆嚢の機能低下になります。
血液の質の低下はこれに起因し、この状態の持続は、腎臓の濾過(ろか)再生機能
にも減退を及ぼし、さらに赤血球を分解する脾臓の働きをも落とします。これにより
濾過再生と分解されない古い血液(漢方の瘀血)が体内を巡り、血液の質を益々落
としていくのです。これが血液の質の低下の根拠と機序になります。


<右手首は肝臓、胆嚢の機能低下が関与し、左は心臓が関与する>

胆汁は生命維持にとって重要な働きを担っています。体は胆汁の分泌を守る対応
として、腫れて収縮力を減退させた胆嚢を体ごと絞り込む事で、胆汁の分泌を助け
るのです。胆嚢は乳頭直下の右の脇腹に存在します。そのため胆嚢を絞り込むた
めには、上体を左にねじり、右肩を前下方に巻き込む体勢をとるのです。
この体勢をとると、右上肢全体が内旋位をとることになります。右上腕骨、右肘、前
腕の橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)、手関節という流れで内旋されます。この体勢
では上体をねじって上肢全体もねじれたまま行動する事になります。これを補正す
るために、上肢の中間に位置する肘関節や手関節を外旋させる事で、バランスをと
っていくのです。

この状態の持続は、親指側の延長にある橈骨に外旋のストレスを常に与える事に
なります。これは肘関節にねじれの歪みと筋肉の緊張を生み、肘関節の痛みに進行
します(詳細は、院長の日記、テニス肘、野球肘の項参照)。さらにこれは手関節
にもねじれのゆがみを生起し、手首の屈曲伸展の動きにも影響をもたらすのは必然
です。
この状態は、時間の経過の中で、手首の動きを固くし、左手首の動きとは明らか
に差が生じるのです。そして様々な引き金により、手首の痛みを発症するのです。
右手首の痛みや運動障害は、必ずこの過程を経て起こっています。
様々な引き金とは、スポーツでの手首の酷使、パソコンのキーボードの打ちすぎ等が
あり、さらに、血液の質の低下と赤血球の連鎖による手首の関節や筋肉内の毛細血
管の詰まり等が要因となります。

左手首に関しては、右の逆パターンになります。左の場合は、心臓機能の低下を
補う対応として、心臓ポンプの収縮を助けるために、体ごと心臓を絞り込む体勢
をとります。これが上体の右ひねりと胸骨の突出、左肩の前下方への巻き込みを
作り出すのです。上体の右ねじれによる左上肢の内旋は、右と同様の機序をたど
り左肘や左手首にねじれのひずみを作り出します。これにより左手首の痛みと運
動障害が発生しているのです。


<手首の痛みや運動障害を改善に向かわせるには、どうしたら良いか>

外傷以外で発生する手首の痛みや運動障害の根拠と機序を、これまでに解説して
きました。発生の根拠と機序が明らかになれば、どう対処すれば良いかの答えは既
に示されています。

手首の痛みの根源的要因を要約すれば、全身の血液の循環、配分、質の乱れに起
因しています。そしてそれに関わっているのは、肝臓、胆嚢、心臓になります。つまり
”肝心要”(かんじんかなめ)の機能低下が背景に存在するのです。さらにそれを引き
起こすのは、精神的ストレスの持続と強いプレッシャーが根本的な原因となってい
ます。

既に解説してあります様に、手首を固着させたり、痛みで動かなくする事で、脳の虚
血や脳圧の上昇を回避し、命を守っているのです。また血液の質の低下と赤血球の
連鎖を知らせる警告サインとしての役割ももたせています。
故にこれを安易に捉えて、鎮静剤やステロイドホルモン等で痛みや腫れ、炎症を
封じ込めてはならないのです。生きている体の必要な対応を抑えては、命の危険
につながるのです。もちろん、薬で抑えても上記の根源的な要因が変わらない限り、
再発を繰り返していきます。そしてこういう処置を繰り返す事で、さらに重篤な状態へ
と移行してしまうのです。

これを回避し、回復に向かわせるには、手首だけをどう処置しても治癒には向いませ
ん。全身の血液の循環、配分、質を元に戻す全体調整と手首自体の局所療法の両
方からのアプローチが必要になります。肝心要となると肝胆と心臓の機能低下を元
に戻し、全身の血液の循環、配分、質の乱れを正し、脳の血液の供給を修復し、脳
圧を下げる事が不可欠になります。そして局所の手首の痛みや運動障害をとる治
療法を行ないます。また生活習慣の見直しも大切です(食事や睡眠時間、歩行、水
の摂取等)。


<上記の条件を満たすのが日本伝承医学の治療法>

日本伝承医学の治療法は、日本の古代人の骨への高い見識に基づいて構築され
ています。世界で唯一、骨髄機能を発現できる療法になります。骨髄機能を発現さ
せていく事で、骨髄のもつ”造血”と”細胞新生”を活発にし、低下した生命力や免疫
力を高めていきます。また肝心要を重要視し、肝胆の叩打法と心臓調整法で、肝臓
胆嚢、心臓機能を高めていきます。

日本伝承医学では「ゆり・ふり・たたき」と言った骨にひびきを与える技法を用います。
瞬時に体のねじれを修復する三指半操法を用いて、体のねじれと上肢のねじれをと
ります。大腿骨を叩く技法を用いて肝臓、胆嚢の熱と腫れを除去します。そして手首
の操法は、直接手首には触れず、古代人の骨への高い見識から開発された膝上の
骨の叩打法を用いて対処します。これは手首の痛みや運動障害だけではなく、リウ
マチや偽痛風といった血液の質の低下を元に戻す治療法になります。
さらに家庭療法として推奨する頭と肝臓、胆嚢の氷冷却法は、脳内の熱のこもりと脳
圧の上昇を除去し、肝胆の熱と腫れをとります。以上の統合的なとり組みによって
手首の根本的な治療にあたっていきます。

   ≪参考文献≫著:有本政治

     上腕や手指のしびれと疼痛について

※手首、上腕等に違和感や痛みがある方は『人体バナナ理論』を始めからお読み下さい。

     
捻れの肩・肘・手への影響