間質性肺炎・肺気腫を改善するにはどうしたらよいか
                           2023.2.24. 有本政治 

3年に及ぶコロナの流行が誘因となって間質性肺炎と肺気腫と診断される
方が急増しています。間質性肺炎と肺気腫の進行を止め、改善に向かわせる
ためには、臓器としての肺だけにアプローチするのではなく、呼吸作用への全
面的な認識と視点の変換が必要となります。

一般的には呼吸作用は肺が収縮と拡張することで空気を吸って呼いてが行な
われていると考えられています。しかし、実際は肺の収縮拡張は呼吸作用の
3割程でそのほとんどの約7割は横隔膜の上下の運動によって達成されている
のです。横隔膜とは人体の胴体を仕切る隔壁で立位でいえば、心臓と肺が
横隔膜の上部にあり、他の内臓は横隔膜の下部に位置します。横隔膜の動きは
吸気で腹側に下がり呼気で上方に上がります。その幅は最大で上下約10cm位の
動きになります。腹式呼吸がこれに当たります。呼吸のメカニズムは、呼気で
横隔膜が上がり、肺という空気室の空気が呼き出され、肺室内に陰圧が生起
されるため吸気は吸い込む必要がなく肺内に空気がとり込まれる仕組みになっ
ています。
 息は吐きさえすれば、自然に体内に入る仕組みになっており、吐く力が低下
した場合、咳という対応をとり、息を吐き出し、呼吸を助けていくのです。
(咳の効用の項参照)
 つまり肺自体の呼吸作用の負担を減らすためには、横隔膜の上下動を最大限
活用することが必要となります。この横隔膜の動きが阻害されると呼吸作用が
低下し、肺に負担をかけ、肺の中の肺胞に炎症を生じさせ、間質性肺炎と肺気腫
を発症させる根本的原因となっていきます。
 横隔膜の動きが阻害される原因は、胸部と腹部全体を覆う肋骨全体のねじれ
のゆがみになります。横隔膜はかご状の肋骨内に、帽子状の形で付着しており、
肋骨全体のかごにねじれが生じると、片側に引きつりを起こし横隔膜の動きが
制限されます。この肋骨全体のねじれのゆがみは何故起きるかと言うと、命を
守る上で一番大切な心臓の拍動を守るためです(ねじれのゆがみの項参照)

つまりこの胴体全体に起こるねじれのゆがみをとることで、肺の呼吸作用は
その負荷が軽減され、症状の悪化に歯止めがかかります。呼吸作用が改善され、
体の全細胞に新鮮な酸素が届けられ、体全体の生理機能改善につながります。

日本伝承医学は、この原理に基づいて肋骨のねじれ、胴体骨盤のねじれの
ゆがみをとることを目的に技術が構築されており、肺炎、ぜんそく、呼吸困難
を治す技術を確立しています。横隔膜の失われた動きを改善していくことで
間質性肺炎、肺気腫の進行を止め、回復に向かわせる機序を与えることができ
ます。
       ≪参考文献≫「肺気腫をとらえ直す」著:有本政治