肺気腫をとらえ直す

1.肺気腫とは

 肺気腫は4050代ぐらいから、高齢者にかけて発生する病とされていま
したが、近年は若年層にも多発するようになってきました。肺胞が次々とこ
われていき、一度こわれた肺胞はもとには戻らないといわれています。多少
の進行をくい止めることはできても、現代医学的には、治療のほどこしようが
ない病ともとらえられています。
症状としては、少し動くだけでも息切れや呼吸困難を起こすため、苦しく外出
できず、家の中に閉じこもりがちになります。横になることが多くなるため運
動量が極端に減り、食欲がなくなっていきます。肺は水分を膀胱に送る作用
があるため、肺機能の低下はむくみや頭痛も引き起こしていきます。
 肺には何億個もの肺胞がぶどうの房のようについていて、肺胞を包むよう
に毛細血管が張りめぐらされています。そして絶えず膨張、収縮を繰り返しな
がら空気の出し入れをしています。呼吸によって吸い込んだ新鮮な空気から、
血液中に酸素を取り込み、不要になった二酸化炭素を排出するというガス交
(気体交換)を行なっているのです。
この肺胞の細胞がこわれて弾力性を失い、肺胞同士の境界線が次第になく
なり、隣接している肺胞が合わさり、大きな気腔となっていく症状を肺気腫と
いいます。肺の内部に大きな空洞ができてしまうのです。
 原因としては肺組織の老化や慢性の気管支炎、喫煙と大気汚染等があげ
られています。特に喫煙者に多くみられるため、たばこによる害が大きな要
因のひとつともされています。進行していくと耐え難い苦しみを伴うため、喫
煙ができなくなります。
最近発症率が高まる中、現代医学でははっきりした原因がつかめていない
のが実状です。

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