咳を捉えなおす(咳の効用) 2023.1.30. 有本政治

 

生きている体に起こるすべての反応(症状)は、一方的に悪ではなく何かを
元に戻し、命を存続させる正の対応と捉えることができます。この視点に立っ
て以下解説してみます。体に咳を起こすことで何を元に戻し何を助けようとし
ているかと言うと二つの要素があります。

(1)咳をすることで吐く息、呼気を出しやすくして、体内に新鮮な酸素を取り
込みやすくさせている。

 肺の呼吸とは、息を吐く事と吸う行為を指します。呼吸には原則があり、息
を吐きさえすれば吸気は自然に行なえるように仕組まれています。この仕組み
をわかりやすく解説すると水泳のクロール泳法の呼吸法があてはまります。
クロールを行なう場合、水面下に顔がある時、息を吐けば吸うという行為をし
なくても息は体内に取り込まれます。呼吸は、息を吐きさえすれば、息は楽に
肺に取り込まれ、吸うことができるということです。つまり、咳をゴホンゴホ
ンと吐く事で、充分な酸素を肺に取り込んでいるのです。これが咳の効用の
ひとつ目になります。

(2)咳というかたちをとり、息を断続的に吐くことで、心臓の拍動リズムを
鼓舞する対応をとっている。

  肺と心臓の解剖的関係は、釣り鐘型をした肺の中にこぶし状の心臓が内包
されているという関係です。肺は1分間に約18回のリズムで呼気と吸気を繰り
返すリズムがあります。心臓は1分間に6072回位のリズムで拍動しています。

 実はこの心臓と肺の拍動リズムは、お互いに連動調和して行なわれていて、
体力の低下や加齢により心臓の拍動が弱まる期間が長くなると、体は命を守る
対応として、咳で肺をふるわせることで心臓の拍動を鼓舞させる対応をとりま
す。これがふたつ目の効用になります。この症状は現代医学では心臓性ぜんそ
くという病気とし、咳を止める処置を行ないますが、これは咳の効用に逆らっ
た処置になり、心臓を更に弱らせる事につながります。故に咳を止める薬の
常用は避けるようにします。特に咳止めの薬の成分は気管支拡張症等の重篤な
症状へと移行する危険性があります。

 

()有本政治著:「肺気腫をとらえ直す
        「「喘息」はなぜ起こるのか~その本質を知る