顎関節症の本質と対処法 2017.6.29. 有本政治


昨今顎関節症で悩まれる方が増えています。口腔外科や歯科の治療を受けても
完治せず、より悪化したり、慢性化したり、さらに心身症へと移行するケースも見ら
れます。これは顎関節症の本質が解明されておらず、根拠と機序がわかっていな
いからです。そのために全体像が見えず、局所の治療に終始するからです。
この本質が見えないのに、口腔外科や歯科で顎関節を手術したり、歯を削ってしま
うと、とり返しのつかない事態になってしまう可能性もあります。
以下顎関節症の本質とその発生の根拠と機序を解説します。本質と根拠と機序が
明らかになれば、対処法は構築できます。


『顎関節症は顎関節をとり巻く筋肉、腱、靭帯及び関節自体のゆがみが原因で
 発生しているが、それが何故起きたかの捉え方に問題がある』

顎関節症に限らず全ての関節の痛みや運動障害は、関節を動かす筋肉、腱、靭
帯等に異常な負荷がかかり、また骨と骨のつなぎ目にあたる関節に前後左右及び
ねじれのゆがみが存在する事で発生します。これは間違いのない事実です。顎関
節症を改善させるためには、上記の状態の回復修復を図るのは必要な処置です。

しかしこの顎関節の異常な状態は、何を根拠に、またどういう機序で発生したかと
いう解明が必要になります。残念ながらこの問題に答えるには、現代医学的な局所
的な見方と展開力ではその本質が見えず、ましてや根拠と機序は解明できません。
顎関節症の本質と根拠と機序の解明には、体全体と局所(顎関節)との関連を捉え
る“視点”が不可欠になります。


『全体と局所の関係を関連を知るには、日本伝承医学が解明した「人体積木理論」
と「人体 バナナ理論」が参考になる』

人体積木理論とは、縦長な人体構造を積木が積み上がった姿に例えてそのバラ
ンスのとり方を解説しています。要約すると、縦方向に積木を積み上げる際に、倒
れない様にバランスをとるためには、上に積む積木の位置を修正しながら積む必
要があるという事を解説しています。つまり、立位における姿勢のゆがみは、重力
線上にどうバランスをとるかで決定されるのです。

この積木を重ねた姿と同じ構造と仕組みになっているのが、縦長な構造体の人体
になります。積木の様な同じ形をした物の積み重ねではありませんが、長短大小の
形の違った骨、208個が縦に積み上がったのが人体構造になります。これが重力
線上にバランスをとることで、立位が成り立っているのです。

積木を重ねて縦長にした構造体と人体は同じ構造、仕組みで成り立っているのです。
つまり積木が斜めに積まれて、これ以上積み上げると倒れてしまいう場合、上に積
む積木はバランスをとるために、逆方向に積む必要が生じるのです。

上記の状態を人体にあてはめますと、後ろにそっくりかえる姿勢になった場合に、
バランスをとる方法は、人体上部にある肩や首、頭の位置を前方に突出させる事
でバランスをとることになるのです。これが人体に起こる姿勢のあり方の基本条件
となり、顎関節のゆがみの大元となります。この理論を「人体積木理論」と命名して、
人体構造のゆがみの本質を解説しています。「人体バナナ理論」は、体に起こる
ねじれのゆがみからの全体と部分の関連を解説したものです(詳細は日本伝承医
学ホームページの人体積木理論、人体バナナ理論の項を御覧ください)。

顎関節のゆがみの根拠と機序を知るためには、人体の上部に位置する顎関節と
全身の姿勢との関連を、人体積木理論に当てはめて考える事が必要になるのです。


『顎関節のゆがみは、全体の姿勢のバランスをとるためのバランサーの役割を担
い、ゆがみとして進行する』

よく学校等でクラスの集合写真を撮ると、首を傾げて写ってる人が何名かいます。
集合写真でなくても、正面から撮る写真において、故意に首を傾げているわけでは
ないのに、写る写真の全てに首を傾げた姿勢が見られます。これが人体の上部で
下部の構造のゆがみを補正するためにとっているポーズになります。

前項で人体上部でのバランスのとり方は、頭や首の位置、肩の位置を補正方向に
ずらす事でバランスをとっていると解説してありますが、その中でも、頭部に含まれ
る顎関節は微妙なバランスをとるバランサーの役割を担っています。

二足直立の縦長な人体においては、ほとんどの関節が重力の重さを受けて関節面
に重力の面圧がかかっています。その中にあって、頭からぶら下がっている顎関
節と肩からぶら下がってる上肢(肩、肘、手首)の関節は重力圧を受けない関節に
なります。

つまり吊りさがっている関節は、いわば糸に吊るされた重りと同じで、“垂直器”の
原理と同様に常に垂直方向に向いて作用します。例えば、顔が正面から見て斜め
になっても、吊りさがった顎は、重さに従って垂直方向に作用します。首を左右に
交互に倒しても顎は常に垂直方向を向くように作用します。また「水平器」は“やじ
ろべえ”の原理と同じで支点の角度が変わっても、常に水平を保ちます。顔が片側
に傾いてしまうと、顎は垂直を保つ分、顎関節の左右の関節にゆがみを生起され
ます。この持続した状態が顎関節のゆがみの本質になります。

これは左右の関係だけでなく、頭部の前後、頭部のねじれに応じて、水平器と垂直
器の役割を果たすのです。この補正の最も顕著な現われ方が、いわゆる“受け口”
になります。本来なら、下顎骨は上顎より後方に位置しています。受け口の場合は、
下顎が上顎より前方に位置してしまうのです。これもこれまでの原理通り、重りの
バランスとりによって発生しています。


『顎関節の位置異常は、下部構造のゆがみ関係によって規定されている』

人体に起きるゆがみは、立位において前後方向、左右方向、左右のねじれに分類
されます。この下部構造のゆがみが、人体上部の頭部、首、肩に重力線上でのバ
ランスの補正を余儀なくさせるのです。つまりは上部の頭の位置の前後面の補正
が、頭の位置の突出と首すくみを生み、顔の左右の傾きを生み、左右のねじれの
補正を生起させるのです。また肩の巻き込みやすくみ肩を作り出すのです。そして
これに連動して、水平器と垂直器の役割を担う顎関節の位置の変化が生じるので
す。これが顎関節のゆがみの本質になります。しかしどれも縦長な人体のバランス
を保つ上で必要に迫られて発生している事を把握しなければなりません。

故に、この全体と局所の関連を無視して、局所のみの処置を行なってはならないの
です。ましてや顎関節の骨を削ったり、位置を無理やり矯正したり、歯科で歯を削
ったりする事は絶対に回避しなければなりません。


『顎関節症は、すでに顎関節にゆがみが存在しているところに、何かが引き金に
なって発生する』

顎関節症は、無の状態から突然発生するわけではありません。これまで解説のよ
うに、全体の姿勢における下部構造のゆがみを、上部の頭、首、肩等で補正する
ことが原因で起こっています。顎関節はその中でバランサーの役割を担っています。
しかし、それは左右の顎関節のかみ合わせにゆがみを発生させます。これが持続
的に存在することによって、何かの引き金で違和感を生じさせるのです。その引き
金になるのが、固い物を強くかみくだいたり、一気に大きな口を開けたりする行為
になります。しかし、それはあくまで“引き金”であってそれが根本原因ではないの
です。


『どう対処すれば良いか』

これまでの顎関節の位置異常の本質と根拠と機序を詳細に解説してきました。根
拠と機序がわかれば、その対処の仕方は自ずと示されています。つまり顎関節だ
けを処置するのではなくて、人体の下部構造に起こっている、前後、左右、ねじれ
のゆがみを修復すれば、顎関節は自ずと元の位置に収まるのです。それでも元の
位置に収まらない時には、顎関節自体に矯正手技を加えれば良いのです。ほとん
どの場合、下部構造のゆがみを補正すれば、自然に収束していきます(なぜ下部
構造にねじれのゆがみが生じるかは、HP院長の日記と人体積木理論、人体バナナ
理論に詳しく書いてありますのでお読みください)。


『日本伝承医学の治療が目指すものとは』

日本伝承医学では、人体の下部構造に発生したゆがみの本態を解明してあります。
人体の前後左右ねじれのゆがみを古代人の開発した「三指半操法」という踵落とし
のヒビキ技法で修正します。そして顎関節の動きの支点となる頸椎のゆがみを「リ
モコン操法』という足の指の圧刺激操法で修正します。以上の全体調整をしておい
て、顎関節自体のヒビキ操法を加味する事で顎関節症を完治に導く事ができるの
です。