「場づくり」のための家庭療法



 前項の「どう対処すべきか」の中で生命力を高める方法として、日本伝
承医学の推奨する、体内の電気レベルを高める方法をあげました。その
方法を具体的に解説してみたいと思います。
 日本伝承医学概論の項で、「命の物理」と題して(詳細は命の物理の項
参照)、生命を成り立たせている要素として、体内の電気レベルの一定を
あげています。人間のような多細胞生物においては、生命維持機能のた
めの機能を細かく分担化して働かせています。その中からは、細分化さ
れているがために、本当の“命の物理”が判別しにくくなっているのです。
 生命の最小単位は細胞になります。単細胞生物は一個の細胞で生き
ています。単細胞生物が生きるための機能を、極限化して考察してみま
すと「命の物理」がみえてきます。細胞内と細胞外を仕切る界面(インター
フェイス)であります“細胞膜”にその秘密が隠されていました。単細胞生
物は、膜の内外の電位差を状況に応じて可変することで命を存続させて
いたのです。
 命を成立させている仕組みは、エネルギー・物質・情報の三態です。こ
の三態の受容・伝達・処理・反応を膜の内・外の電位差を可変させること
で、命を存続させています。


 私の命の定義は、たびたび述べてありますように「内外の環境変化に
時々刻々対応変化する姿」と捉えています。まさに、単細胞生物の命の
物理と同様です。単細胞生物が膜の内外の電位差を可変するためには、
細胞内の恒常性維持機能を一定に保っていなければ達成できません。
単細胞生物の細胞内の恒常性に一番関与しているのは電気であったの
です。
つまり細胞内の電気レベルをある一定量に保たなくてはならないのです。
恒温動物であります人体が、体温を常に一定に保たなければならない
機構と同様です。(熱をすてるシステムの項参照)
 単細胞生物の細胞内の恒常性維持機構の主要条件は実は電気レベ
ルの一定化にあったのです。細胞全体の機能低下は、細胞内の電気レ
ベルの低下であり、これを補充・充電することが細胞の生命力を高める
絶対必要条件なのです。この細胞の命の物理は、多細胞生物でありま
す人体にも当然あてはまります。生命力低下状態にある個体全体の生
命力を高めるには、低下した体内の電気レベルを一定値まで引き上げ
ることが最大の目標となってくるのです。

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