骨折と温冷浴
骨折は、とても小さな力が加わっても、骨の中のカルシウム
やミネラル等の量(骨量)が減って骨がもろくなっていると起き
やすくなります。骨量が多いのは20歳から30歳位まででその後
は徐々に減少していきます。30歳を過ぎると骨を作る力が弱ま
り、骨を壊す力が上回るようになっていくのです。
女性は閉経前後の40歳代から50歳前後でエストロゲン(骨の
形成を促進する女性ホルモン)が減少するため骨量は急激に減
り骨粗しょう症になりやすくなります。男性は50歳代からゆる
やかに骨量は減少します。
骨の連続性が完全に断たれている状態を完全骨折と言い、骨
の一部が損傷して連続性が部分的に断たれている状態を不完全
骨折(亀裂骨折)と言います。
骨折した個所が皮膚を突き破って外に突出している状態は開放
骨折(複雑骨折)と言います。
【骨の新陳代謝について】
骨には古い細胞を壊す破骨細胞と新しい骨を作る骨芽細胞が
あります。骨は常に「壊す」と「作る」を繰り返しているので
す。これを骨の新陳代謝と言います。このサイクルは約3か月
から6か月になりますが年齢やホルモンバランスによって大き
く異なります。
例えば子どもは骨代謝が活発なので骨折しても約3~4週間で
治りますが成人では約6~8週間かかります。高齢になるほど骨
代謝が悪くなり約8~12週間かかってしまいます。
【骨折の回復を早めるにはどうしたらいいか】
日本伝承医学には骨折の回復を早めるために眼圧調整法を用
います。骨折等の骨の異常は必ず眼球に眼圧の異常として表れ
ます。骨折した側の麻酔操法お行なった後に眼圧調整法を行な
います。これにより交感神経の緊張がとれ副交感神経が優位に
なるので骨芽細胞が発現され骨折を回復に向かわせることがで
きます。副交感神経が作動すると骨芽細胞にスイッチが入るか
らです。
家庭療法としては交感神経の緊張をとるために就寝時の氷枕
での後頭部の冷却は必ず行なうようにします。私たちの体は寝
ている間に脳内温度が上がるので、氷枕をすることで脳内温度
の上昇(脳内の炎症)を回避して正常な神経伝達物質を伝達する
ことができます。脳内に炎症があると、骨折の回復は大幅に遅
れてしまいます。また回復には「温冷浴療法」も重要な意味を
もちます。
【温冷浴療法】
バケツに温かいお湯と冷たいお水を用意して交互に患部を浸
します。温めることによって血管が拡張し、冷やすことで血管
は収縮します。この拡張と収縮を交互に繰り返すことで血流が
ポンプのように流れ(血液循環の強化)、骨折部位の細胞が活性
化し組織の修復が早まります。
お湯と冷水を使うのでお風呂場で行なうようにします。バケ
ツは二つ用意します(洗面器で患部が浸せる場合は洗面器でも
可)。冷たい水は水道水を使います。氷を少量入れて水にすぐ
溶けるくらいの冷たさにします。もうひとつのバケツに40度~
42度のお湯をはり、約3分間患部を浸します。次に冷たい水に
約1分間浸します。お湯はぬるくなったら熱いお湯をたして使
います。これを10分~15分間繰り返します(3~4セット)。
温めることで患部の細胞に血液(栄養)が行きわたり、冷やす
ことで炎症や腫れを抑え血流を促します。血流がポンプのよう
に働き骨折の回復を早めてくれます。温冷浴は西洋医学と東洋
医学の両分野で家庭療法として用いられています。早く治した
いかたは必須です。
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