円形脱毛症の機序と対策


円形脱毛症の根本要因は、脳内の炎症(熱のこもり)に起因
します。これ以上炎症と脳圧の上昇が続くと、脳血管障害(
梗塞、脳溢血、クモ膜下出血等)を引き起こす危険が生じるため、
脳内の熱と脳圧の上昇を回避する手段として、毛髪を抜いて皮
膚を出して熱を放出しやすくする対応をとるのです。この機序
は毛髪脱毛症全般にもあてはまります。脳内の熱のために髪の
毛が焼かれた状態と言えます。(脳圧や脳温を下げる為の対応
としては頻尿、ひたい、頭部の汗、頭部の皮膚炎、鼻水、涙、
鼻血等も挙げられます)
円形脱毛症は頭髪の一部が突然楕円や円形状に抜け落ちてし
まいますが、抜ける場所の内部(毛包周囲)には、強い炎症が起
きています。頭の右側にできれば肝臓胆嚢系の弱りが背景にあり、
左側にできれば心臓の弱りが背景に存在します。前頭部に出れば、
前頭葉の炎症が考えられます。1箇所だけではなく複数の箇所に
発生する場合もあります。では何故脳内に熱がこもるのでしょう
か、それは以下の要因にあります。

「脳の炎症は何故起きるのか」
脳内の炎症の機序は以下の4つの要因にあります。
   

(1)脳の酷使
 いわゆる精神的ストレスの持続からくる脳の酷使です。常に
脳が働き、神経が休まることがなく脳が覚醒している状態です。
良い感情であれば幸せホルモンと言われるセロトニンが分泌さ
れるのですが、ストレスは神経を疲労させ、脳内の神経伝達物
質、脳内ホルモンの分泌を阻害してしまうのです。この脳の酷
使が脳に熱をこもらせ炎症を生起させていきます。さらに現代
ではパソコンとスマホの普及が脳と眼を酷使させ、脳の炎症を
助長させる大きな要因となっています。

(2)全身の血液の循環・配分・質の乱れが脳に虚血を生み
 脳の炎症を生起させる
 脳の虚血(血液不足)は、全身の血液の循環・配分・質の乱れ
に起因します。血液の循環は心臓が担っていて、心臓のポンプ
力が低下すると、心臓より上に位置する脳に血液を送り込む力
が低下し、脳に血液不足が生じます。
 全身の血液の配分を乱す要因は、肝臓の充血と腫れ、炎症に
なります。肝臓はレバーと呼ばれ血液の固まった様な大きな臓
器になります。ここに充血が起きると全身の血液の配分が瞬時
に乱れ、脳が虚血になります
 血液の質の乱れとは赤血球の連鎖と変形を意味し、全身の毛
細血管を詰まらせ血流を阻害する要因となります。これが結果
的に脳への血流を妨げ、脳に血液不足を生起させます。この赤
血球の連鎖と変形に関わるのが、胆嚢から分泌される苦い胆汁
になります。この苦い成分には血液の熱を抑える役割がありま
す。胆汁が分泌不足になることで血液に熱を帯びて、熱変性か
ら赤血球の連鎖と変形が生じるのです。つまり脳の虚血は局所
の問題ではなく、このように内臓の弱りが背景に存在している
のです。
 脳に血液不足が生じると、少ない血液を素早く脳内全部に供
給する必要から、脳圧を上昇させて対応します。この持続が脳
内に熱を発生させ、脳の炎症へと進行します。

(3)食生活の誤りが脳の炎症を生むーー脳腸相関
 人体内には様々な相関関係が存在しますが特に重要なのが脳
と腸の関係です。脳腸相関と呼ばれ、腸の弱りは脳に反映され、
脳の炎症は腸に及びます。誤った食生活から腸が炎症を起こし、
これが脳に及び、脳にも炎症が生じるのです。食生活の誤りと
は、日本人が古来より築いて来た食文化から逸脱した食べ物の
摂取になります。それは乳製品と小麦製品の摂取過剰です。
(糖は脳を養うと言われるように、適度な甘い物、糖質は必要
です)
 日本人はパン、牛乳、バター、チーズ、ヨーグルト類はほとん
ど食さず、必要とせず、これらの食品が食卓にでるようになっ
たのは約60年位前からです。
 日本人は乳糖分解酵素を持たず、さらに牛乳内のタンパク質
ガゼインを消化する能力が極めて弱い体質になります。故にこ
れらが大量に体内に入ると、胃腸に大きな負担をかけ、腸に炎
症を生起させてしまいます。また小麦を主食としない日本人は、
欧米人に比べて小麦成分のグルテンを消化吸収できないため、
パン等の小麦の摂取は腸に負担をかけ炎症を生じさせてしまう
のです。

(4)横たわる時間の短さが脳の炎症を増大させる。
 人間は動物の中で唯一四つ足から二足直立を達成した生物で
す。そのため頭が最上部に位置することになり、重力の影響か
ら頭部(脳内)に血液が供給しにくい状況になっています。頭
部に血液を供給するには心臓ポンプに常に大きな負担がかかり
ます。この持続が脳の炎症を増大させる要因となります。回避
するためには体をできるだけ横たえ重力から解放する時間を増
やすこと必要です。

「円形脱毛症の根拠と機序が明らかになれば対策はできる」
 円形脱毛症の根拠と機序が明らかになれば対処の方法は見え
てきます。
(1)頭部冷却、局所冷却、肝胆冷却法
 精神的ストレスの持続からくる脳の炎症を最小限に抑えるた
めには。脳内にこもった熱を除去するために、夜間就寝中に氷
枕とアイスバックを使用して後頭部、ひたい、両首冷却法を行
なうようにします。さらに全身の血液の配分と質に関わる肝臓
と胆嚢を毎日氷冷却することで、肝胆の熱を除去し、肝胆の機
能を回復させます。
(2)食生活の改善
 脳の炎症の遠因となっている腸の炎症を抑えるためには、腸
に炎症を生起させる、乳製品、小麦製品の過剰摂取は避けます。
できれば1日二食にして腸への負担を減らし、腸の機能の回復
をはかります。就寝時の56時間前には食事を終えるように
します。
 ()「一日二食のすすめ」 著:有本政治
(3)睡眠の改善とスマホを見る時間の縮小
 脳への虚血と心臓の負担の軽減には、横たわる時間をできる
だけ多くとるようにします。スマホを見る時間は極力減らすよ
うにします。脳の酷使を最小限にするためには必要となります。
(4)日本伝承医学の治療
 全ての病気や症状には、必ずその人自身の生命力や免疫力の
低下が背景に存在します。体の生命力と免疫力の大元は骨髄が
担っています。日本伝承医学の治療により骨髄機能を発現させ
ることで、細胞新生(生命力)と造血力(免疫力)を高めていきま
す。直接的要因となる全身の血液の循環・配分・質の乱れを元
に戻すために、日本伝承医学では心臓調整法と肝胆叩打法を用
いて症状を改善していきます。また自律神経調整法を用いて交
感神経の緊張をとり、ストレスによる脳の炎症をしずめていき
ます。家庭療法としての局所冷却法も合わせて行ないます。
 ()「家庭療法のすすめ」著:有本政治