心の捻れ(ねじれ)と身体の捻れ関係
身体の捻れが、内部に及ぼす影響を細部にわたり、検証してきました。
身体に起こった捻れ、よじれは、元に戻しておかないと内部に致命的な破
壊をもたらしていくのです。それは心の捻れも同じです。ヨリはただちにも
どす必要があるのです。
古来、日本語には、身体ことばといって、身体に由来したことばが数多
く見受けられます。身体ことばの表現は極めて豊かで、なおかつ「的を得
て妙」なのです。そしてその裏には、宇宙を貫く法則、自然の法則、社会
の定理、男女の妙、身体の法則、心と身体をつなぐ真理が潜んでいる場
合が往々にしてあるのです。
列挙してみますと、「面白い」「石頭」「面汚し」「二枚舌」「顎を出す」「眉
つば」「目の毒」「目くそ鼻くそを笑う」「鼻つまみもの」「口八丁」「腹黒い」
「片腹痛い」「目から鼻に抜けるような」「愁眉を開く」「胸を開いて」「骨が
ある」「骨抜き」「弱腰」「へっぴり腰」「尻が重い」「尻軽女」「掌を返す」
「肩身が狭い」「肩入れする」「乳臭い」「うしろ指」「足手まとい」「二股か
ける」「筋違い」「脈がある」「身持ちが悪い」「身に覚え」「へそ曲がり」
「つむじ曲がり」「頭をひねって」「鼻曲がり」「2つつむじはきかん坊」等、
枚挙にいとまがありません。
この中から、今回のテーマであります「捻れ」「よじれ」「こじれ」「ヨリ」
「ひねり」「曲がり」が意味するものを題材に、心の捻れと身体の捻れとの
関係を探ってみたいと思います。
「へそ曲がり」「つむじ曲がり」「鼻曲がり」という日本語は、古来より使わ
れています。これらは、すべて、身体の歪みを事実として、特徴的に言い
表している言葉です。しかし、意味するところは、素直な心を失って、心が
歪んでいる、ひねくれている、曲がっている人たちのことを形容したことば
です。「捻くれ者」「曲者」(クセモノ)「物事をハスに(斜め)に見る」「ハス
(斜)にかまえる」「モノ・コトを曲がって解釈する」ということばに代表され
るように、素直でない、正面切ってモノがいえない、正体をかくしたい、自
信がない、常に劣等感をもっている、そのようなひとをさしているのです。
さらにことばをあげれば「上目遣いにひとをみる」「横目で人をみる」「プイ
と横を向く」「人目をさけるしぐさ」等、ひねくれ者をあらわす身体こと
ばは多数あります。
「ヘソ曲がり」「ツムジ曲がり」「鼻曲がり」という身体におこった歪みの事
実と重ねて考えてみますと、心の捻れは、身体の捻れと深い関係がある
ことに気づくのです。どちらが先行するかといいますと、まず心の捻れが発
生して、次第に身体の捻れへと進行していくと考えられます。しかし必ずし
もそうでなく、先天的、遺伝的体質によって、先に身体の捻れがすでに発
生しているケースも考えられます。
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