この視点に立って階層的に人体内をながめてみますと、生命の最小単
位であります細胞の核の中にあるD.N.A(デオキシリボ核酸)は二重螺旋
構造をしています。小さくコンパクトになおかつ、情報量を最大に増やす
ためには、うずまきを二重にして効率を高めているのです。螺旋形状を
とることで小さくまとまり、表面積が大きくなり、受容・伝達・処理反応能
力を高めることができるのです。
 例えば一本の長い針金を短くコンパクトにするためには、コイル状にす
ることです。もっと短くコンパクトにするためには、二重コイルにしなけれ
ばなりません。この方法が二重螺旋構造なのです。まさにヨルことで、小
さくコンパクトに収納できるのです。
 また脳や小腸をみてみますと、脳内ではシワを深く刻んだり、小腸内で
は小さな突起を全面につくり、その突起に絨毛(じゅうもう)をおおわせて
表面積を最大にとれるように工夫しています。人体という限られた容器
内で、個々の臓器はヨルことやうずまき状になることによって耐性を強く
し、表面積を大きくとり、その機能を最大限に生かしているのです。


 このように人体内部においては、ヨラれた状態が必要なのです。しかし
逆に人体外部、身体全体はヨラれてはいけないのです。内部破壊につな
がるヨリ捻れは外形上、姿勢には起こしてはならないのです。
 四足の動物には二足直立の人体のような身体の捻れは起こりません。
四足の構造体には、胴体に捻れが起こりにくいのです。動物が病気にな
らない理由のひとつには、捻れの歪みが発生しないという結論も導かれ
てきます。
 そう考えてみますと、上肢や下肢における関節の疾病を含め人体に発
生するほとんどの病気は身体に生じるヨレ・捻れから起因するといってみ
ても過言ではないでしょう。
 人体内には逆にヨラれた状態が不可欠ですが、人体の外側、容器に捻
れは起こってはならないのです。

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