人体の内部はヨラれている



 四足動物から二足直立歩行に移行していった私たち人類は、直立によ
って、内部の臓器類は90度回転して、体内に収められるようになりました。
90°右捻れの状態で、体腔内に収まったのです。すべての内臓にその
痕跡を見い出すことができます。一番顕著なのが心臓です。心臓は明ら
かによじられています。
 四足の動物の場合は、脊柱を屋根としてすべての内臓は下方にぶら下
げられた状態で体腔内に収められています。動物の腹部を見てみますと
腹腔の体積に余裕があります。水平に近い状態の脊柱の屋根から、下
方に物をつり下げるのですから、腹腔の幅を大きくすることが可能です。
牛や豚の胴体を思い浮かべれば、納得できると思います。
 四足から二足直立になった場合、人体の構造は大きく変わらざるを得
ませんでした。縦長な構造体になるということは、肋骨全体が重力に従っ
て、下方に下垂せざるを得ません。これは胴体の幅を大きく扁平にするこ
とになります。故に、腹腔の容積が著しく小さくなってしまうのです。
つまり人間の胴体と四足の動物の胴体は、形と容積が大きく異なってい
るのです。


 ヒトの場合、直立によって小さく狭くなった体腔内に、すべての内臓を収
納しなくてはならなくなったのです。その場合、どうすればコンパクトに収
納できるかといえば、それは、捻ったりロール状に巻き取ることです。
 例えば雑巾を小さくコンパクトにするには、ロール状にして、なおかつ捻
ってしまうことです。伸ばした毛糸をしまうには、球状に巻き取ることです。
テープや包帯はすべて、うずまき状に巻き取ることで、コンパクトにしまう
ことができます。狭い容器内に効率よくしまいこむためには、捻ったり、
ロールにするしかないのです。
 まさに人体の体腔内の内臓はすべてよじられて、また長い腸は、うずま
き状に巻いてコンパクトに収納してあるのです。

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