人体に起こる外形(姿勢)の歪みは、前後・左右・捻れ、どれも内部に何
らかの影響をもたらしますが、特に捻れの歪みは、人体内部に想像もつ
かない致命的な影響を与えることになります。わかりやすく例をあげて解
説してみましょう。
  簡単な実験として、水をたっぷり含んだ雑巾を用意します。それをロー
ル状にして、前後、左右に折り曲げても、中の水はしたたり出ません。
しかし、捻ってみるとどうでしょう。雑巾しぼりを考えてみれば一目瞭然で
す。捻るという行為によって、内部まで応力が及んだということになります。
 もうひとつの例として、ゴムホースを水道の蛇口につないで放水します。
ゴムホースが途中で折れても、水圧で元にもどり、水が止まったり、蛇口
からホースがはずれることはほとんどありません。しかし、ゴムホースが
途中でひと捻りしてしまうと、水圧では修正できず水の流れは止まり、つ
ないだ蛇口からホースがはずれてしまいます。 ゴムホースの例から言え
ることは、捻れが起こると内部の水の流れが、急に遮断させられるという
ことです。
 つまり物体の破壊で一番ひどい損傷は、捻り切られるという状態になり
ます。針金を切り離す場合でも、捻り切った場合にその損傷の度合いと熱
の発生は一番大きくなります。人体も同様に、捻れが起こるとその影響は
内部にまで及び、組織の破壊が起こります。内部に熱の発生も生起され
るのです。


 雑巾とゴムホースの例を、人体に当てはめて考察してみます。人体は、
ロール状の雑巾やゴムホースのように、縦長な構造をしています。縦長な
物体で、内部は水を含んだ雑巾や水が流れるゴムホースと同様に、人体
内は水系成分で構成され、血液・体液が上下に循環しています。
 これに捻れが起こるということは、二つの例で明らかなように、内部に応
力の集中が起こり、同時に循環不全が起こることを意味します。身体の中
心に応力集中が起こり、全身の血液・体液の循環が妨げられるということ
は、実はたいへん重大なことが人体内に引き起こされていくのです。
 まず、すべての内臓に機能低下が引き起こされてきます。そして、人体
の構造を担う、すべての骨格、関節に狂いを生じさせます。当然骨格に付
着するすべての筋肉群にも、影響は及びます。
 つまり人体に捻れが起こると人体の機能、構造、形態のすべてにわたっ
て、思いもよらない重大な影響を与えることになるのです。
 要約すれば縦長な構造物である人体に捻れが起これば上下の流通が、
不全になるということです。

次のページへ
目次へもどる