“流水腐らず”のたとえのように、停滞をおこした水は腐っていきます。
血液・体液・リンパ液の循環が滞れば神経伝達という情報も滞り、内部の
循環に停滞が起これば筋肉は正常の機能を果たせなくなります。
まさに、外からではわからないバナナの中身が黒ずんだり腐ったりして
いる状態と同じことが大腿部の筋肉群に生じていることを意味します。
つまり、筋肉はすでに極限状態に来ているのです。ここに外部から引き
金となる作用力が加われば、筋肉はいとも簡単に肉離れを引き起こすこ
とになるのです。
大腿部におこる肉離れは、このような機序の中で、すでに弱い個所を
内部にもっていて、何かを引き金に発生しているのです。大腿部に限らず、
すべての肉離れの原因は捻れの歪みに起因しているのです。
ふくらはぎの肉離れも同様の機序の中で発生します。アキレス腱の断
裂も同様の機序です。「腱」とよばれる部分は、細いひも状になって骨に
固定されます。この部分を腱と呼びます。
アキレス腱は、ふくらはぎの筋群が一本のひも状にまとめられて、足の
かかとに付着している部分です。腱も筋肉と同様に捻れの応力を受け、
異常な張力を長時間受けていくと、当然弱体化していきます。それが極
限状態に達した場合に肉離れが発生します。アキレス腱の断裂はアキレ
ス腱を断裂した人が異口同音に述懐するように、大きな力が加わってい
ない時に発生しています。ほんのささいな動きの中で発生する場合がほ
とんどなのです。これは上記の理由によるもので、すでに、人体内部が
極限の状態にあった中で発生する場合がほとんどといってもよいでしょう。
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