日本伝承医学の人体観

人体バナナ理論 


すべては捻れ(ねじれ)から始まるー


  バナナほど、人々に愛される果物はないでしょう。南方の暖かい陽射
しの中で太陽のめぐみをいっぱいに詰め込んだあの色合い、何とも言い
尽くせない曲線美に包まれた形、香ばしい香り、バナナが嫌いだという
人に出会うことは少ないのです。しかしそのおいしそうな外見にだまされ
て、一皮むいたら中身が黒ずんでいたり、腐りかかっていたり、外見から
は想像もつかずに、残念に思った経験は誰しもあることではないでしょう
か。外見(外皮)は何ともなく見えるのに中身が黒ずんでいたり、腐ってい
たりする。これはどうして起こっているのでしょう。
 実験してみるとうなずけます。バナナの外皮にはキズやさけ目が極力
つかないように注意しながら、指で圧迫を加えたり、雑巾をしぼるような
要領で、左右に捻れを何回か加えます。2〜3日おいて、中身をみてみ
ますと、結果は黒ずんだり、やわらかくなって腐りかかっているのです。
特に捻ったバナナは芯までやわらかくなって腐りかかっています。


 実はこのバナナと同じことが、人体の中身にも捻れの応力が加わると
起こっているのです。外観はなんともないように見えても、身体の内部に
さまざまな悪影響を起こしているのです。
 身体の外観(姿勢)に起こる変形、つまり姿勢の歪みを分類してみます
と、前後面、左右面、捻れの三種類に分類できます。
 わかりやすく解説しますと、前後面とは姿勢が前かがみになっている形、
例えば老人の「く」の字に前かがみになっている姿勢があげられます。逆
に後ろにそっくりかえっている姿勢、これが前後面に起こる歪みの形です。
 左右面とは、正面から見て右に傾いたり、左に傾いたりしている歪みの
形です。肩や骨盤部が水平でなく、左右に高低差が見られる姿勢をいい
ます。
 捻れの形は、人体を上から見て、右捻れ、左捻れの形の変化をいいま
す。この捻れた姿形は、一見してなかなかわかりません。例えば、全身を
鏡に映してみても、捻れの形はほとんど気づきません。わかりやすい例
は、女性がスリット入りのスカートをはいた時にあらわれます。スカートの
スリットが真ん中にくるようにはいていても、動いているうちに中心がだん
だんずれて、スカートが回ってしまいます。うなずかれる女性は、きっと多
いかと思います。

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