生まれてから、約一年、いわゆる“乳飲み子”の時期、この時期の女性
の役割は絶大なものをもっているのである。
東洋の故事には、「三つ子の魂百まで」とあるが、この時期の“教育”が
その子どもにとって、最も大切な時期なのである。ある学者は、特に“乳
飲み子の期間”生まれてから約一年後で、その子どもの性格形成の大
部分は形成されると発表している。
特に“深層心理”に相当する部分はこの時期の母親の接し方で決定さ
れると述べている。
全幅の信頼をおいて、母の胸のお乳を吸い続ける子ども、そして母のそ
の子どもにかわすまなざし、優しさ、そして対話が、その子の一生を通して
決定される大切な人格形成に関与するのである。
故に母たる女性は人生最大の“師”なのである。こんな大切な仕事を神
は女性に与えているのである。
儒教的価値観の崩壊の中、価値観の多様化は、女性達に結婚−出産
−育児−家庭への価値を遠ざけていった。その中で、自己の生き方をモ
サクし、恋愛に仕事に、輝いている現代女性達、女性の社会進出、はな
やかな昨今である。走るだけ走って疲れたら、そろそろ結婚でもしようか
しら、楽がしたいわ、とのたまう女性達が増えてきた最近の現象である。
男女平等が叫ばれる中、男も女も人類として、同等であることは当然で
ある。人の価値観は、地位や名誉や金で決まるべくもなく、いかに人類に
貢献できたかを基準に図られるべきである。それが我々人類の使命であ
ろう。その意味において、男性も女性も同格に、その生き方を追求すべき
であろう。
その中で男女の特性を尊重しつつ、自己の生き方をモサクすべきである。
母なる大地、母なる海、母なる宇宙、神なる女性、その与えられた使命
を自覚し、人生最高の師たる所以を認識し、優秀な人材を世に送り出すの
は女性の肩に掛かっていると言っても過言ではあるまい。それがひいて
は人類に貢献し、この美しい地球を存続させる原動力となるのである。
人としてどう生きるかという問題においては男女の差などあろうはずは
ない。その意味において、結婚というワクにとらわれずどんどん社会進出
していただきたい。
ただ、人生最高の師たる母性なる時期は、それに専念していただきたい。
それが女性の女性たる所以なのだから。その神から与えられた使命を
忘れず、自己の生き方を確立すべきであろう。
私の女性への一方的メッセージである。
1992. 9..16