【前庭神経炎によるめまい】

めまいは、全身の血液の循環・配分・質の乱れから脳内に虚血(きょけつ)
起きることで発症します。脳が
虚血状態、つまり脳が血液不足になると、脳
細胞に必要な酸素や栄養分を十分にとり込めなくなるため、脳幹や小脳、内耳
にある前庭、半規管、耳石器、前庭神経等に異変が起きます。本来、平衡感
覚を司っている三半規管や耳石器等に障害が起きてしまうため、くらくらし
たり目がまわったり船酔いの様に気分が悪くなります。

良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとうい)の場合は、しばらく
安静にしていればおさまりますが、前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)から
くるめまいの場合は、安静にしていても横たわっていてもなかなかおさまり
ません。少しでも頭を動かすとぐるぐるまわるような激しいめまいや吐き気、
気もち悪さが数日から数週間続く場合があります。これらのめまいには耳鳴
りや聴力低下の症状は起こりません(耳鳴りや聴力低下が起こる場合はメニ
エール病と診断されます)。

 内耳と脳をつなぐ前庭神経は、体のバランスをとるための重要な役割を果た
しています。半規管や耳石器が感じた情報を脳に伝えていきます。脳の虚血
(きょけつ)で脳内に十分な血液が行きわたらなくなると、体は一刻も早く脳
内に血液を集めようとするため、脳細胞が過剰に働くため、脳に炎症が起き
ます。前庭神経炎は、「炎」と付いているように、脳の炎症が起因して発症
しているのです。なぜ脳に炎症が起きるかというと、心臓の弱りから血液の
循環・配分・質に乱れが生じ、脳が虚血状態(血液不足)になるからです。
肝臓の充血(胆のうの腫れ、胆汁の分泌不足)も背景にあります。

前庭神経炎はウィルス感染説があげられていますが、ウィルス感染が認めら
れない場合にも発症していることから、前庭神経炎の原因は定かではないと
現代医学では言われています。前庭神経炎に限らず、体がウィルスに感染し
てしまうということは、根底には免疫力、生命力の低下、つまり肝臓、心臓
等、内臓の機能低下、肝心要(かんじんかなめ)の弱りが存在しています。

どういうときに免疫力と生命力が低下するかというと、まずあげられるのが
睡眠不足、休養不足になります。過労、忙しすぎです。次に、かたよりのある
食生活、運動(歩行)不足、筋力の低下、心労やストレスが挙げられます。
これらは『心(シン)』(心臓、深部、こころ)を弱らせ、肝臓を充血させ、
血液の循環・配分・質をくるわせていきます。人間の体は、いやなことや心配
事、悩み、ストレス等を受けると瞬時に肝臓が充血して(肝臓に血液が集ま
り)全身の血液の配分が乱れ、脳に血液が
うまく行き渡らなくなります。

血液が行きわたらなくなると脳を養えなくなり、様々な支障をきたしていき
ます。
特に季節の変わりめは、体が季節の変化、気圧の変動についていけな
くなるため体に弱りが出やすくなります。遺伝的体質もあり、心肺機能(心臓
と肺の機能)が先天的に弱い人は、季節の変わりめに、めまいが発症しやすく
なるので、この時期は特に生活習慣には気をつけて過ごすようにしていきます。

めまいが起きたときはまず横たわることです。横たわることによって脳への
血流が確保されるからです。

脳内の炎症を速やかに除去するためにも、横たわっている時には氷枕で頭部
を冷却していきます。また、アイスバッグも用いてひたいや首筋を冷やしま
す。脳内に炎症が起きている時は、血液が熱をおび(血熱・けつねつ)ドロド
ロになっています。首筋を冷やすことで脳内の炎症が除去され血液がサラサ
ラになるので、脳内の血流が良くなります。めまいが起きにくくなります。

前庭神経炎によるめまいは長引きますが、ずっと寝ていれば良いというわけ
ではありません。人は寝たきりの状態が長く続くと、筋力が萎えて体の力
(体力)が消失します。衰弱してしまうのです。体調をみながら、めまいが起
きない時には、少しずつ起きあがり、座ったり室内を歩いてみることも必要
です。気もち悪さや吐き気を伴うので食欲もなくなりますが、食事も食べら
れそうなものから少しずつ摂っていくようにします。

※『めまいが起きた時の対処法~めまいを起こさないようにするには』
    の項に続く