腰痛発生の機序を人体のしくみとして構造・機能・形態
面から解説してみます。人体構造が他の動物と決定的に異
なる点は、“二足直立”であるということです。つまり人
体は接地面の小さい縦長な構造体になります。
 人体の屋台骨である脊柱構造を側面から見てみると、一
本のまっすぐな柱ではなく、S字状の湾曲した柱であること
がわかります。実はこの脊柱のS字状カーブが重要な問題と
なります。脊柱は、S 字状の湾曲を持つことにより、柱に
かかる重力圧を分散し、一点に力が集中することを防いで
います。高層のビルが地震のゆれの力を分散するために、
柔構造にして倒れるのを防いでいる構造に類似しています。
脊柱のこの湾曲を生理的湾曲と呼び、これがないと人体は、
直立の構造体を保つことができません。実は、すべての腰
痛発生の機序は、この脊柱のもつ“生理的湾曲”に乱れが
生じた場合に発生するのです。

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