人体の縦方向(前後面)の歪みについて



 人体の姿勢の歪みを前後面に限定してその姿を見てみますと、さまざま
な特徴的な姿勢が見受けられます。頭が前方に凸出した姿形をしている
人、あごを出している人、受け口の人、猫背の人、胸を突き出した姿勢の
人、肩が前方に巻き込んでいる人、このような特徴的な姿勢の人は数多
く見受けられます。これらに共通している点は、すべて人体の上部に起こ
っているという点です。ここに着目しなくてはいけません。
 つまり積木を積んだ状態と同様の縦長な構造物である人体が、重力線
上にバランスをとるために上部の骨の積み方を変えることで、このような
姿勢を作り出していっているのです。下部構造に起こった積木の積み方
の乱れを、上部で修正している姿なのです。これは重力線上にバランス
をとり、倒れないために不可欠な対応の姿といえます。


 これまでこれらの特徴的な姿勢が作られるのは、単純に習慣性による
ものだと考えられていました。
 例えば頭部が前方に凸出している姿勢の人は近視によってモノをより
近くで見ようと頭部を前方に押し出す動作の繰り返しによって、頭部凸出
が起こるというような習慣性にのみ原因が考えられていました。しかし事
実はそうではなく、頭部を前方に凸出させることで、下部構造のひずみを
修正し、転倒をさけるために必要にせまられてバランスを取っている姿で
あったのです。
 人体の上部で、下部構造の歪みを修正する方法は三タイプあります。
 (一) 頭部を前方に凸出するタイプ
 (二) 両肩を前方に巻き込むタイプ
 (三) 胸部を突き出すタイプ
上記の三タイプだけで修正不能の場合は、頭部にある顎関節(ガク)を前
方に凸出させたり(あごをだす、受け口)、女性であれば乳房を大きく重く
することで、前方への重りとしてバランスを取る補助的手段とする場合も
ありうるのです。ありとあらゆる対応でもって、人体の直立を維持するた
めに、上部で修正しているのが、実は歪みの本体であったのです。

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