今度は逆に積木に戻して考えてみますと、せっかく倒れないように前
方に修正して積み上げた積木を、その部分だけを、上部だけを後方にず
らしてなおそうとすると積木は即座に根底から倒れてしまいます。積木が
倒れないようにするためには下の積木の積み方から修正し、変えていか
なければならないのです。
 つまり人体においても下部構造のひずみを修正しない限り、上部の修正
は不可能になるのです。人体も上部だけを(局所だけを)修正しようとすれ
ば積木のように下部構造(内部構造)から、もろくも崩れ去ってしまうのです。


現代人の思考の中には前述した下部構造のひずみを修正するために首
や肩を前方にもっていったり、胸を前方に突き出したり(ハト胸)という「全
体と部分」との関連の中でバランスを取るために起こっているという発想
は皆無なのです。
 故に首が前方に凸出したり、肩が猫背になったりすると、その部分だけ
を修正すればこと足りると思ってしまいます。矯正具をつけたり、ギプスで
固定したりという処置を、治療する側も受ける側も何の疑問もなく行うこと
になってしまうのです。
 積木のバランスのとり方が示す通り、下部構造の歪みを無視して上部
だけを矯正することは、危険な状態を人体内部に作り出していくことにな
ります。
 人体積木理論は、人体の歪みの本体を知る上でたいへん重要な考え
方になります。現代人の偏重したものの考え方の目を覚まさせてくれる
ものと期待します。 以下歪みの本体を詳しく解説していきます。

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