椎間板ヘルニアはどうして起こるのか?
MRIという画像診断法によってヘルニアが見つかったとします。前述して
ありますように、椎間板の脱出状態があったとしても痛み、しびれ、まひを
必ずしも引き起こしていないという事実が判明しているということは脱出
(ヘルニア)による脊髄神経の圧迫が痛みの根拠ではないはずです。
それでは何が根拠となり、機序となって痛みやしびれ、まひが引き起こさ
れるのか捉えなおしてみる必要があるのです。
現代の検査機器は今まで見えなかった身体内部を映し出してくれました。
今まではっきり見えなかった椎間板のヘルニア像を画像として取り出して
くれました。しかし、これは起こっている結果であります。その根拠と機序
に関しては、いまだはっきりとした見解を示し得ていません。これを明確に
してくれるのが人体積木理論であります。
椎間板ヘルニアがどうして起こるかと言いますと、身体全体に起こってい
る姿勢の歪みにその根拠はあるのです。
具体的には、脊柱という柱全体に起こっている正常の生理的カーブを逸
脱した状態の持続によって引き起こされていくのです。脊柱の正常カーブ
逸脱の形態はすでに解説してある通り、二種類あります。
脊柱の生理的湾曲を増大させるタイプと脊柱が生理的湾曲を減少させ
直線型になるタイプです。この二つのタイプの中でも、椎間板ヘルニアを
起こしやすいのは前者の生理的湾曲を増大させているタイプです。
積木に例えれば、積木の積み方のジグザグ度が一番大きな形となり
ます。上の積木と下の積木のずれが一番大きい積み方です。高く積めば
積むほど一番下にある積木の面圧の偏在が強くなります。積木がやわら
かい素材であれば、一番下にある積木の面にかかる力は増すばかりで、
ずらしてある分小さな面に応力の集中が起こり、ついには変形してしまう
のです。この通りのことが人体内部、脊柱の基底部、第4、第5腰椎間及
び第5腰椎仙骨間に発生するのです。脊柱の理想的な生理的カーブによ
って力の集中を分散している機構が生理的カーブの逸脱によって一点に
力の集中が起こってしまうのです。