アメリカの医学情報誌によれば、MRIによって人の6割近くに、椎間板
ヘルニア像が映るといわれています。日本人においては7割り近くの数
字が出るとある学者は報告しています。このうちほんの一割に満たない
人しか、痛み、しびれ、まひを訴えないのです。またヘルニアの手術を受
けても、その再発率は年を追うごとに増加し10年後くらいにはほぼ100%
に近い人が再発をすると報告されています。
 実はこの無症候性ヘルニアと同じことが「脳」のMRI画像診断によって
発生したのです。
 脳の血管がつまる「脳梗塞」という症状があります。脳の血管がつまる
ことは、悪い症状であり、これは放っておくわけにはいかないと判断する
のは、近代科学的思考法に洗脳された思考法しか持ち得ない現代人に
とっては“常識”となる考え方です。“目に見える異変はすべて悪”とする
思考法からすれば当然といえるものです。
 見えないものが見えるようになった“画像診断法”MRIは、脳の内部を
も正確に映し出しました。そこに見えたものは、脳の血管がいっぱい詰ま
った姿だったのです。しかしその患者は頭痛もめまいも手のしびれもまひ
も症状が何もなかったのです。しかたなくこれを“無症候性脳梗塞”と呼
ぶようになりました。


 身体の内部に発生している目に見える異変(ヘルニア像、血管のつま
り)、骨の変形、内臓の変形、筋肉や腱、じん帯等の部分断裂等はすべ
て“悪”とは言えなくなってしまっているのです。しかし洗脳されたがごと
くの現代人の脳はこれを容認できないのです。身体の内部は永遠に完
璧でなくてはならないのです。
 “モノは永遠に変わらない”この幻想が支配し続けているところに大き
な問題が潜んでいるのです。多少の変形は生きる上で許容できるもの
であり、逆に変形、変化させることでイノチを保持してくれている姿であ
るという視点が大きく欠落してしまっているのです。
 『目に見える異変、変形はすべて悪ではない』
MRIの登場は“目に見えるものしか信じない”現代人を満足させるもの
でありました。しかしその幻想を覆す事実を“浮き彫り”にすることになっ
たのです。

 

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