椎間板ヘルニアを捉えなおす
(目に見えるものすべてが悪ではない)



 人体積木理論をベースに腰椎椎間板ヘルニアを捉えなおしてみたいと
思います。椎間板ヘルニアとは、脊柱の下部にある腰椎に起こる椎間板
の脱出(ヘルニア)症状を指しています。
 椎間板とは脊椎骨と脊椎骨の間に存在し、軟体性(コンニャク状)のもの
で、輪状繊維と髄核で構成されています。クッション性をもち、脊椎骨にか
かる圧力を液体的要素でもって、圧力を吸収する働きを担っています。
 また脊柱という固い柱がクネクネと動けるのは、この椎間板が24個の椎
骨の間にあることで、自由にカーブを変えることが可能だからです。


 腰椎、椎間板ヘルニアを発生する場所は限定されており、5個ある腰椎
の下部、第4、第5腰椎間、または第5腰椎と仙骨間に、そのほとんどが発
生します。この軟体性で袋状になった椎間板が破れ、外に脱出(ヘルニア)
し、脊髄神経を間接的に圧迫することで腰部や下部に痛み、しびれ、まひ
が発生するというのが腰椎、椎間板ヘルニアという病気なのです。
 この診断法は、以前は腰椎部に造影剤を注入し、X線撮影でもって判
定していました。昨今ではMRIという画像診断法により今まで見えなかっ
た内部が正確に撮影されるようになり、診断法が格段に進歩しました。
 椎間板ヘルニアと診断された場合、その処置法として神経の圧迫を解
除する目的で腰椎のけん引法が用いられたり、外科手術によって脱出し
た椎間板を除去する方法が病院ではとられています。
 まさに“理”にかなった方法のように思われています。近代科学思考法
に洗脳されたが如くの現代人は「目に見えるものしか信じない」という科
学の風潮を生み出しました。


 椎間板ヘルニアに関してもこれまで見えなかった身体の内部が、MRI
の登場によって、より正確に見えるようになりました。まさに“夢の画像診
断法”であります。見えなかった身体の内部がより正確に見えるようにな
ったということは、「目に見えるものしか信じない」現代科学者にとって、
朗報でありました。正確に椎間板の脱出(ヘルニア)の個所とその大きさ、
形が見えてくるのです。
 これまでの治効理論通り脱出した椎間板が脊髄神経を圧迫して、その
支配領域に痛み、しびれ、まひが発生するので、それを除去することでそ
れらを解消できると信じて、けん引法や脱出した部分の外科的手術をそ
の手段としていたのです。
 しかし“目に見えるものしか信じない”この思考法を覆さなければならな
い事態が、逆に“見えた”ことで起こってしまったのです。それは、MRI画
像診断で明らかにヘルニア像が確認できるのに、一切腰痛もしびれもま
ひも発生していないのです。仕方なくこのタイプを“無症候性ヘルニア”と
新たなる診断名をつけざるを得なくなってしまっているのです。

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