胆汁不足が大腸に及ぼす影響
胆汁の主成分であるビリルビンは、大腸において腸内細菌の分泌物
と化合して、壮大な化学工場を営んでいます。そして、便の形成に不可
欠なウロビリンという物質を作り出しています。
胆汁の分泌不足は大腸内の腸内細菌の分布を乱し、有害な腐敗、発酵
を促進します。消化不良から有毒ガスを発生し、それがおなかにたまり、
腹部が張るガス腹の症状を引き起こしたり、悪臭をもったおならを出さ
せていきます。
また胆汁が不足すると熱を取る作用が低下し、内熱のために便が枯燥
して便秘がちになります。便秘が続くと体はますます体内に有毒な物資
を停滞させていきます。そして体は次の排出対応手段として下痢という
形をとっていきます。そして便秘と下痢を交互に繰り返していきます。
4〜5日間便秘が続いたかと思うと、一気に下痢になってしまう症状を繰
り返していくのです。これは胆汁の不足により脂肪の分解、吸収ができ
ないため正常な便の生成ができないことから生じます。有害物質が腸内
に発生するため、下痢という手段を用いて排出しようとしているのです。
しかしこの便秘、下痢の症状を薬などで人為的に抑制してしまうと、体
は次なる命を守るための対応にせまられていきます。
薬による対症療法は大腸壁に徐々に内熱を生じさせ、炎症を発生させ
ます。そして炎症だけで対応しきれなくなると、小さなおできを作って
熱をすてようとします。これが大腸ポリープになります。つまり便秘や
下痢の症状を薬等でおさえてしまうことにより、体は大腸にポリープを
つくり、これをなお取り去る処置をしてしまうと最終的には大腸がんへ
と移行することにもなります。
便秘や下痢を、ただ現象面だけの対応としてとらえるのではなく、内在
する胆汁の分泌異常という認識でとらえていくことが大切です。
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