胆のうと胆汁について

 胆汁は、肝臓の肝細胞で作られています。そして肝管に
集められ、胆のうという袋に運ばれます。胆のうは筋肉質
の袋で、運び込まれた胆汁から水分を絞り取り、約5〜10
倍の濃さにして胆汁をこの袋の中に蓄えていきます。

 胃で消化された食べ物が十二指腸に送られてくると、ホル
モンの合図で胆のうの袋の筋肉が収縮して胆汁が出され、
胆管を通って十二指腸に分泌されます。そして消化物の中
の脂肪分をすい液とともに分解、吸収し排出していきます。

  胆汁は肝臓の細胞で作られる弱アルカリ性の黄色い液で、
大人
の場合1日約0.5〜1リットルほど分泌します。
中に含まれる成分は水分、胆汁酸、ビリルビン、コレステ
ロールなどになります。胆汁の主成分である胆汁酸は、脂
肪を乳化する働きをもっています。脂肪を消化、吸収しや
すい形に変えるのが主な作用になります。胃から送られて
きた消化物の中の脂肪は、十二指腸で胆汁酸に乳化される
ことによって、はじめてすい液との共同作業で完全に消化
されていきます。胆汁にはこのように脂肪の消化、吸収作
用があります。

 現代生理学的には、胆汁の作用をこのように解釈してい
ます。しかし、胆汁の作用として最も重要なことは、胆汁
のもつ苦味(にがみ)の成分にあります。苦味には熱を冷ま
す性質があります。つまり胆汁には体内の炎症をしずめ、
体液や血液の成分を調整し、
不必要な熱を取り去ってくれ
る作用があるのです。
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