胆汁不足と皮膚病との関わり

   胆のうと肝臓は表裏一体の関係にあり、相互に相乗的な症状を引き起こし
  ます。肝臓の解毒作用の低下は、体内に内熱と毒素の貯留を引き起こします。
  そして肝臓機能が低下すれば、胆のう機能も低下し、胆汁の分泌不足が起こ
  り、血液、体液に血熱を生じさせます。これを回避する対応手段として、体
  は皮膚病を発生させ、熱と毒素を体外へ排出しようとします。初期的な反応
  は、全身の皮膚のかゆみから始まり、次に皮膚が黄色身を帯びてきます。皮
  膚がかさつき、体中が異様にかゆくなってきます。
  肝臓、胆のうが関与する皮膚病の代表的なものが、じんましんとアトピー性
  皮膚炎になります。皮膚病とは体内の内熱と毒素を排出するための手段であ
  り、その根底には胆汁の分泌不足が大きく関わっていたのです。


   胆のうを取り去った場合

   胆のうとは、単に胆汁を貯めて流す袋ではありません。
  肝臓で生成された生胆汁を胆のうに貯留させて、胆汁の約94%をしめてい
  る水分を蒸発、ろ過させて主成分である胆汁酸の濃度を高める働きをしてい
  ます。
  なぜこのような作業をするかというと、生胆汁を濃縮することによって濃度
  の濃い、最も苦い味の胆汁を作るためになります。
  これは海水を煮つめて塩を作る工程に似ています。こうして作られ胆汁は必
  要なときに、必要な量を袋を収縮させ、小腸の入り口である十二指腸に分泌
  しているのです。ところが胆のうを手術で除去した場合には、この胆のうの
  機能が果たせず、生胆汁のまま薄い胆汁が胆管を通って、小腸へ垂れ流しの 
  状態で常時流れてしまいます。  次のページへ