胆汁不足と高血圧症との関係

   日本人の生活習慣病(高血圧症、糖尿病、心臓病、脳循環障害等)の要因
  には、精神的ストレスに起因した肝臓の機能低下があります。肝臓の機能
  低下は、全身の血液の配分・循環・質を大きく乱す要因となります。また
  肝機能が低下すると、胆のう機能も低下し胆汁の分泌が不足していきます。
  胆汁不足は血熱を生じさせ、血液中の赤血球同士をくっつけ、血液をどろ
  どろの状態にしてしまいます。これは血液の流れを著しく阻害します。
  血液の流れを速くするために体は、血圧を高めることで対応していきます。
  これが高血圧という状態になります。つまり胆汁不足は高血圧症の影の要
  因として深く関わっていたのです。

  胆汁と精神作用との関わり

   医聖とよばれるヒポクラテス(紀元前460年生)は、胆汁の機能に着目し、
  胆汁を体液の主体としました。胆汁を単に脂肪を分解するだけのものでな
  く、体液の組成に関わる大事な体液調整作用としてとらえていたのです。
  彼は四大体液説を唱えて、体液の乱れが病気や様々な症状を発生させるも
  のとしました。そして発病のメカニズムを四つの体液である血液・黄胆汁
  (おうたんじゅう)・黒胆汁(こくたんじゅう)・粘液によって合理的に説明
  しました。また、病気を生物に起こる自然現象としてとらえ、環境条件が
  病を発生させ、人の体質、気質に影響を及ぼしていくということを明らか
  にしました。 
  彼の生命観、人体観は、独立したひとつの学となり、医の聖人、医聖とい
  われ、後世の医学に大きな影響を与えました。   次のページへ