胆汁と脳循環障害との関わり
胆汁の分泌低下は、血熱を生じさせます。血液が熱をもつと、全身の毛
細血管の流れが悪くなり、毛細血管がつまっていきます。特に脳内は、血
管網の海といわれるように毛細血管が綿(わた)のように分布しているため、
血熱は脳内の血液の循環を悪化させていきます。血液循環に支障をきたす
と、脳内に一過性の虚血状態が起こり、頭痛やめまいが起きます。しかし、
これらの症状を薬で抑制してしまうと、脳内は血液の循環を守るために脳
の圧力(脳圧)を高くしたり、熱をすてる手段として、脳梗塞や脳出血を引
き起こしてしまうことになります。
また、胆汁の分泌が悪いということは、肝臓で作られる胆汁が不足して
いるということになります。肝臓と胆のうは一体のものであり、胆汁の分
泌が悪くなれば、肝臓も機能低下を起こしていきます。肝臓の機能低下は
肝臓を充血させ、全身の血液の配分を大きく乱していきます。
肝臓に血液をたくさんうばわれると、脳内や全身の他の組織、器官に血液
不足の状態をつくります。そして脳内は血液の循環を守ろうとするため、
まず全身の血圧を高めます。そして次に脳内の圧力を高めて、血液を一刻
でも早く脳に送ろうとします。脳圧の上昇は、血熱と相まって、脳内の温
度を上昇させていきます。特に脳の中心部である脳幹部の温度を上げ、脳
幹部にあるホルモン中枢、自律神経中枢の働きを低下させていきます。
胆汁が不足すると血熱が発生し、脳内の血液循環が悪くなり、毛細血管
をつまらせていきます。体はこれを回避しようとするため、脳圧を高め、
脳内温度を上昇させていくのです。胆汁の分泌不足は、このような機序で
脳の血液循環と関わってきます。 次のページへ