体脂肪について
体脂肪は脂肪組織の中に格納されています。脂肪組織は単な
る脂肪(エネルギー)の貯蔵庫ではなく、骨や内臓を守るクッシ
ョンや体温調節の役割を担っています。また様々なホルモンを
分泌して食欲や代謝、自律神経等を調整する働きもあります。
脂肪組織が正常に働かないと、食事から摂取した過剰なエネ
ルギーが血液中にあふれ血管を傷つけたり、肝臓や心臓等の臓
器に余分な脂肪を付着させて病気を引き起こす要因となります
(異所性脂肪)。
この脂肪組織の中で守られて保管されているのが体脂肪とな
ります。体脂肪は、私たちが生きていく上で必要な燃料です。
運動することで消費されると思われがちですが、実は座ってい
る時や就寝時にも常に体脂肪は燃料として24時間休むことなく
消費されているのです。心臓や骨格筋は体脂肪から分解された
脂肪酸を燃料として使い、一日中働いているのです。
体質的(遺伝的)に体脂肪が多い人は、心臓や骨格筋に常に安
定した燃料を供給できる良い環境に体がおかれているというこ
とです。体に脂肪をストックする容量(器)が体質的に多いので、
血液中に脂肪があふれ出ることがなく、内臓に悪影響を及ぼさ
ない良い体質ということです。
体脂肪は悪いものと思われがちですが、実は生きるためのエ
ネルギーを貯蔵したり、体温調節や、内臓を守るための大切な
役割を担っていたのです。
【体脂肪を無理して減らすと自律神経が一気に乱れる】
体脂肪は命をつなぐ重要な燃料となります。これを無理なト
レーニングやダイエットで減らそうとすると、脳の視床下部が
命の危険と察知して強烈な危険信号を発令します。視床下部は
パニック状態となりフル稼働して熱を帯びます(脳の炎症)。
視床下部は自律神経を調整する所なので、この部位に炎症が
起こると自律神経のバランスが乱れ、心拍、呼吸、血圧、体温
調節等すべてに支障をきたし、めまいや耳なり、動悸、息切れ、
眼精疲労、胃腸障害、情緒不安等の様々な症状が引き起こされ
ます。脳の炎症を除去するためには就寝時の後頭部冷却が有効
となります。
≪参考文献≫「家庭療法としての局所冷却法」 著:有本政治
また視床下部はホルモンの働きもコントロールしているので
ホルモンバランスも崩れます。体脂肪が極端に減ってしまうと
ホルモン分泌の激減から、骨密度が低下して骨がもろくなります。
髪質も悪くなり、肌のつやが失われます。急激に体脂肪を落と
した人、体重を減らした人が、明らかに老化してみえるのには、
このような理由があります。
【水を飲まないとなぜ体脂肪が増え太りはじめるのか】
体脂肪を分解してエネルギーに変えるのは水の力になります。
この反応を加水分解と言いますが、脂肪に水が合わさることで
初めて脂肪はエネルギーとして燃焼できます。水の摂取が足り
ないとこの化学反応が正常に行われなくなり脂肪が燃焼できな
くなり太ります。水を飲んでいない人ほど太ってしまう理由は
ここにあります。
※私たちの体は一日約1.5~2リットルの水分が排出されるので
同量の水分摂取が必要です。
また水を飲まないと血液がどろどろになり血流が悪くなるの
で筋肉の働きも低下します。筋肉の働きが低下すると体脂肪を
燃焼する力がなくなり余計に体脂肪が付いていきます。
植物や動物にはお茶やコーヒー、ジュース、スポーツドリン
クなどは与えないように、人間の体も純粋な水でなければ健康
を害することになります。水が足りないと体内に有害物質が増
えて、がん細胞が育ちやすい環境にもなります。人間を含め
全ての生物の細胞には水が必要です。
【加齢とともに体脂肪は増えやすくなる】
女性の場合は閉経の前後に女性ホルモン(エストロゲン)が減
少するので、脂肪が付きやすくなります。約50.5歳が平均閉経
年齢となりますが、その前後10年(40歳~60歳代迄)の間はホル
モンバランスが乱れる期間となります。60歳を過ぎてくると、
その状態で体は徐々に安定していきます。
つまり閉経後10年を過ぎたときの体形が、自身にとっての安
定した体となります。無理して体重を減らしたり体脂肪を落と
そうとしてはいけません。急激に増え続けても良くありません。
70歳以降になっても60歳代のときの体形を維持していくことが
大事です。
体重が増えていないのに体脂肪が増えている場合は、筋肉が
減少している時です。加齢とともに筋肉は減少するので、体脂
肪だけが増えても自然なことなので心配は要りません。
【急激に体脂肪が減ると免疫力が低下する】
体脂肪が激減するとがんになりやすいと言われることがあり
ますが、これは体脂肪が急激に減ることで免疫力が落ちてがん
細胞を抑え込めなくなるということです。
がん細胞は炎症物質(サイトカイン)を大量に分泌し、脂肪を
強制的に燃焼させる指令を発令します。体脂肪が減ったと思っ
ていると、いつのまにかげっそりして肉が落ちてしまい、がん
の疑いがあると言われることがあります。
【体脂肪の基準値は気にしない】
体脂肪は年齢や性別によっても異なります。重要なのは総量
ではなく、どこについているかが問題になります。皮下脂肪か
内臓脂肪かによっても異なるので基準値に惑わされないように
します。
体脂肪を減らすことばかりに気がいくと却って健康を害する
ことになります。体脂肪を寄せて胸を大きく見せる補正下着が
ありますが、この着用によって急性腰痛症(ぎっくり腰)を起こ
す症例があとをたちません。背部、脇腹、脇の下の大事な脂肪
が胸部に寄せられたことによって、背部から腰回りの脂肪が
失せたことで血流が一気に悪くなり、筋肉が固く萎縮してしま
うからです。
体脂肪には内臓を守る働きがあるので、体脂肪を寄せたり、
吸引や削ったり、脂肪溶解注射等で無理に減らすと、脂肪によ
って守られていた臓器がダメージを受けることがあります。
体脂肪は現状を維持しながら、急激に増えすぎないように、
心臓のポンプ作用を高め、血流を良くして脂肪を燃焼できる体
造りから始めていくことが大事です。
日本伝承医学では、心臓調整法によってまず心臓のポンプ力
を高めていきます。脂肪の代謝に関わる肝臓機能を高めるため
に肝胆の叩打法を用います。
胆汁(たんじゅう)の分泌が促進されると、胆汁酸が脂肪の燃焼
を促進させるので、体脂肪の蓄積を防いでくれます。また自律
神経調整法により、乱れていた自律神経のバランスを整えてい
きます。体はこのように全ての臓器と関連し合って働いています。