「皮膚病としての対応」の代表例として、アトピー性皮膚炎を取り上げま
したが、体表に発生するすべての皮膚疾患は、本質的には同じ根拠と機
序を有しています。
 分類すれば、全身性の皮膚病と局所的なものとに大別できます。局所
的なものとしてロ唇ヘルペスと口角炎を取り上げて解説してみましょう。
 ロ唇ヘルペスは、唇に特徴的に発生する、びらん性の皮膚病です。こ
れは俗名“熱の華”とよばれています。まさに、その俗名示す通り“熱”を
すてるためにできる皮膚疾患です。
 先人たちはまことに的を得た命名をしたものです。口唇ヘルペスは風邪
の後遺症として、また、食べすぎが続いたりするとできやすいものです。
正確には胃の炎症によって発生した内熱を、体外に排出するために発生
するものです。
 また、内部の異常を知らせるサイン的な要素も含んでいます。ウイルス
性の疾患として扱われていますが、本態はやはり、内熱を除去する“生体
反応”として捉えることがたいせつです。まさに“熱の華”なのです。これを
早期に鎮めるには、少食あるいは絶食して胃を休め、胃の内熱、軽い炎
症を速やかに取り去ることです。見事に効果があがります。
 次に「口角炎」ですが、これは心臓に内熱がこもってくると、内熱を捨て
る非常手段として発生する皮膚疾患になります。故に外用薬を塗布して
も軽減はするもののなかなか根治できません。
 この皮膚病も熱をすてる対応と同時に内部の異常を知らせる“サイン”
の役割をもっています。消失させるためには心臓にこもる内熱を処理しな
ければなりません。このように局所的な皮膚疾患は、各内臓の“内熱”を
処理するために発生すると同時に“サイン”警告ランプの役割も担ってい
るのです。


 全身的な皮膚病は、先に論述してありますように肺と腎臓という熱をす
てる大きな機構に破綻を生じた場合に発生していきます(アトピー性皮膚
炎)。肝臓の解毒機能の減退が加味された場合、皮膚病の発生率は一段
と高くなってきます。 肝臓の内熱はジンマシン、目の麦粒腫(モノモライ)等
の症状によって、処理されていきます。
 また風邪による高熱を無理やり解熱剤で急速に下げた場合、皮膚病を
発生するケースが高くなります。
発熱は、身体を元にもどす必要な対応でもって発生しているにもかかわら
ず、その機構を無視して急速に解熱した場合、熱がこもるからです。こもっ
た“熱”の非常処理の形は、全身的な「薬疹」や「帯状疱疹」という皮膚病
になってあらわれていきます。
 表向きは“ウイルス”と考えられていますが、その本質は、体内の内熱
の非常処理手段だったのです。故に脳に内熱がこもれば顔面や頭に発生
し、各内臓に熱がこもれば、当該臓器の体表付近に出現し、当該の 肋間
神経の走行上に“疱疹”が発生するのです。

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