命を守るための対応処置としての第一段階の発動が、皮膚病という姿
になります。皮膚病を作ることによって、体内の余分な“熱”や毒素を体
外にすてて、体内の“熱”をコントロールしているのです。
 しかし皮膚病が発生するということは、誰しも好ましいことではありませ
ん。そのかゆみや痛みは耐えがたいものです。ましてや顔面部や首周辺
などの見える部位にアトピー性皮膚炎がおこった場合、落ち込んだり、負
い目を感じたり劣等感にさいなまれるという数々の精神的苦痛をも伴い
ます。
 この場合、かゆみ、痛みを和らげたり、精神的苦痛を取り除く意味で一
時的に“対症療法”を行うことは、意味あることでもあります。
人はかゆみや痛みには弱く、がまんにも限界があります。逆に精神的苦
痛の持続は自律神経のバランス失調を生起し、その影響は内臓や脳に
も及んでしまいます。
 この意味において、皮膚病を一時的に対症療法で消すことは否定しま
せん。しかし、これはあくまでも一時的な処置であって、アトピー性皮膚
炎を“根治”したことにはならないのです。また必ず再発してきます。
 現行の薬物療法の有効期間は、約85日くらいといわれています。
三ヶ月くらい経過すると、また発生してきます。この繰り返しに終始しては
ならないのです。
 長期に及ぶ“対症療法”は内臓及び内分泌機構(ホルモン系)に何らか
の破綻を起こしていきます。アトピー性皮膚炎をどう好転させていくかは、
この病の本質を正しく認識する必要があるのです。


 現代医学的には、アトピー性皮膚炎は、アレルギー性の疾患として扱
われています。これを引き起こす要因として、外部からのハウスダストや
ダニ、カビ等があげられ、食物としてアレルゲンとなる物質が解明されて
います。こういう対応も当然必要であり、現代医学の大きな成果のひとつ
であることに異論はありません。
 しかし、外的な要因だけに目を向けていては、アトピー性皮膚炎を改善
することはできません。実は、内部(自身)の命を守るシステムに限界が生
じ免疫機構の非常対応の姿という視点も必要なのです。
 アトピー性皮膚炎を負の対応という一方的な視点で捉え、これを押さえ
込む手段を繰り返すと、人体は次の“対応”でもって命を守るシステムを
作動しなければならなくなってきます。それ故、非常対応の第一段階が
“皮膚病”の本態であるという認識がどうしても必要になります。適切な処
置をしなければ、次の命を守るシステムを作動する第二段階に入ってい
くことになるからです。

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