(一) 皮膚病としての対応



 人体に発生する皮膚病のすべては、熱と体内毒素をすてるための対応
と考えられます。
アトピー性皮膚炎、ジンマシン、ロ唇(こうしん)ヘルペス(別名 熱の華)、口
角炎、帯状疱疹、インキン、タムシ類、各種難治性皮膚疾患、かぶれ、湿
疹、ニキビ等、皮膚疾患は多岐にわたって分類されています。その中から
代表的なものを列挙し、詳細にその対応システムを考察してみたいと思い
ます。
 まず代表例としてアトピー性皮膚炎を取り上げていきます。アトピーという
語源は、ギリシャ語で意味不明とか、わからないという意味のことばから、
この名称がついたといわれています。原因不明の皮膚病という意味なの
でしょう。
  アトピー性皮膚疾患で悩む人たちがここ30年来、急増しています。名前
の通り、有効な治療手段がないのが実状です。これは、この皮膚病の根
拠と機序が解明されていないからにほかなりません。
 結論的にいえばアトピー性皮膚炎は、人体のもつ“熱をすてるシステム”
に限界が生じ、体内の“熱”と“毒素”を非常手段として体外へ排出して、
命を守ろうとするための第一段階の対応の姿と捉えることができるのです。
 具体的にいいますとアトピー性皮膚炎を発生させている方たちの遺伝的
体質は、先天的に「肺」と「腎」機能の弱いタイプに属します。


 「熱をすてるシステム・手段」の中で論述してありますように、肺と腎臓は、
熱をすてるシステムの最大機構です。
 肺は呼吸作用を司り、呼く(はく)息で有害な二酸化炭素と体内の熱を体
外に排出しています。また、皮膚も呼吸作用をもつので、肺と皮膚とは密
接な関係にあります。
 皮膚は発汗作用でもっとも体内の熱をすてる最大の役割を担っている場
所でもあります。全身の皮膚は、内管系である“全粘膜”とつながっていて、
皮膚の状態は“全粘膜を映し出す鏡”といってもよいのです。すなわち皮
膚機能の低下は、イコール全粘膜の機能低下を意味します。また体内の
粘膜部は小腸と大腸で大半を占められています。小腸や大腸も“体内”で
熱をすてるためのたいせつな役割を担っています。
 このように、肺という臓器は、皮膚及び小腸、大腸とも密接に関わってお
り、人体のもつ熱をすてるシステム・手段の大部分は肺・皮膚・粘膜が担
っているのです。
 また腎臓は、血液、体液のろ過再生装置として、体内の老廃物を尿とし
て生成し、膀胱に送り、体外に排泄させています。これは体内の有害物質
と、熱をすてるための大きなシステム・手段になります。
 腎機能が衰えると、血液、体液の組成が一定に維持できないから、体の
液体成分に異常が発生し、全細胞に機能低下が起こります。
 つまり有害毒素と余分な熱をすてる最大機構である肺と腎臓に、遺伝的
な弱さをもっているということは、生命維持にとって、大きなマイナス要因と
して働くことになるのです。

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