また急性の対応として潰瘍性皮膚炎というものがあげられます。
 潰瘍性の皮膚病は、皮膚上に穴をあけて口を開くことにより、内部の熱
を放出し、内部破壊(内臓の病気)と組織の壊死(えし)を防ぐ役割を担って
います。 
 故に潰瘍性の皮膚病はたいへん難治の皮膚病です。これを消そうと思
っても内部の熱(内臓の熱)が処理しきれなければ何度も再発を繰り返
すことになるのです。
 寝たきりの人がよくおこす褥創(床ずれ)も皮膚に穴があいていきます。
穴をあけることで内部の熱を放出しています。これは組織の壊死を防止し
ている非常対応の姿なのです。故に薬物によって消そうとする手段を講じ
ても、なかなか治らないのが実状です。壊死を防ぐための必要な生体対応
という見方が重要です。


 皮膚上に腫れ物(オデキ)を作ることで、内部の熱と毒素を排出し、生体
を元にもどす対応の例として、“弘法の灸”と呼ばれているものがあります。
呼び名は一定ではありませんが、日本の各地で昔から行われているもの
になります。
 これはまさに“起死回生”の非常手段になります。弘法の灸とは、難治
性の病やがんや内部の腫瘍を治すために、人体の背中の「ツボ(経穴)」
に親指大のお灸をすえ、わざと大やけどを作りこれを化膿させるのです。
こうして腫れ物(オデキ)あるいは潰瘍性の皮膚炎を人為的に体表に作る
ことで、体内の“熱”と毒素を排出し、がんや体内の腫瘍を回復に向かわ
せようとする非常手段をとります。


 体内にできた腫瘍(オデキ)は、体表の腫れ物と違って、その熱と毒素
を体外にすてることが容易にできません。故に体表に大きな“穴”をあけ、
化膿させることによって内部の熱と毒素を排出させているのです。
お灸の熱さと苦痛、また化膿による腫れと痛みもたいへんなものであろう
と推測されます。
しかし体表のオデキは致命的になるケースはほとんどありません。逆に、
の内部に起こった“腫瘍”は命取りになる可能性があります。“弘法の灸”
とはまさに“起死回生”の非常療法といってもよいでしょう。
 この療法により、好転をみるケースはたいへん多いと考えられます。な
ぜならば、命を守る第二段階の対応の姿が体表にできる腫れ物(オデキ)
や潰瘍性の皮膚炎であるからです。

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